阿波踊りとは?
徳島県にやってきた。
阿波おどりは、8月のお盆期間に行われるが、ぼくが徳島に到着したのはその1週間ほど前だ。
街中いたるところに張り出してある阿波おどりのポスターをみてほしい「世界が阿呆に、恋をする。」とある。世界が、阿呆に、恋を! めちゃくちゃいい。
数年ぶりに、制限なしで開催される阿波おどりに、なんだか町中がそわそわしているようでもあった。
さて、メルカリのデータによると、徳島県の人はメルカリで阿波おどりグッズを買いがち。ということになっている。
なるほど、これはまあ、なんとなく納得できるような気もしないでもない。ただ、阿波おどり「グッズ」というのはどういうことなんだろうか。
というかその前に、筆者自身が、阿波おどりについての基礎知識がなさすぎる。というわけで、まずは阿波おどり会館に行って阿波おどりについて学んでおきたい。
江戸時代に始まったとされる徳島城下での盆踊りは、明治時代末期に「阿波踊り」という名称が使われるようになり、戦争で一時中断したものの、1950年代には徳島県や徳島市、観光協会が、観光資源として猛プッシュし、一挙に知名度が爆上がりした。
阿波おどり会館には、阿波おどりの期間でないときでも、阿波おどりを見られる阿波おどりホールがある。
男性は、浴衣と足袋で踊り、手にはうちわか提灯を持って踊ることもある。
女性は、編笠を被って、足袋や草履ではなく下駄で踊る。
そして、二拍子のリズムに合わせて「ヤットサー」などの掛け声とともに、踊りながら前に進む……というのが基本だ。
阿波おどりの振り付けは、正調の古風なものから、動きの激しいモダンなものまで、いくつもあり、最近のものは普通にかっこいいダンスになっている。
こういった踊りの変化は、1970年の大阪万博で、世界中の人に阿波おどりを見てもらうために加えられた改良が契機となったらしい。
阿波おどり会館では、踊りの実演のほか、実際に阿波おどりの基本的な踊り方を習って舞台上で踊ってみる体験もできる。
ここで、阿呆になれるか、なれないのか。同じ阿呆なら、踊らなければ損なので、踊ってみたが、これが意外と難しい。
指導してくれた人によると、右手、左手、右足、左足をリズムに合わせて前に出すだけなのだが、足の動作に集中すると手がおろそかになり、手に気を配ると足がでなかったりする。
おれはまだ、阿呆になりきれていないのかもしれない。
確かに、阿波おどりは、見る方はあのビシッと揃った振り付けの一団が、お囃子に乗ってじわじわ近づくのは迫力があって、感動すら覚えると思う。
一方、踊る方はおどりの動作を延々と続けると、いわゆるトランス状態になるだろうな……とは感じた。日常生活でそういった状態になることは、あんまりない。
「踊らなければ損」という感覚は、そんな得難い体験ができる「おどり」はやはり、参加しなければという意味なのかもしれない。
阿波おどりグッズ専門店があった
阿波おどりで踊る人たちは「連」というチームに入って踊る。連ごとに踊りの振り付けや掛け声、お囃子があるため、しっかり練習して合わせて本番で踊ることになる。
その時、衣装などの阿波おどりグッズはどうやって揃えているのだろうか。
阿波おどり会館の方に伺ったところ「岡忠」という専門店があり、そこでグッズを買い揃えるという。
というわけで、さっそく岡忠に伺った。
突然の訪問にも関わらず、店内を見せてくださった。
阿波おどりで使う道具、一切合切が全て取り揃えてある。お囃子の楽器、浴衣、手ぬぐい、足袋、下駄、編笠、提灯、うちわ……。思いつく限りの阿波踊りグッズはすべて揃う。
浴衣や手ぬぐいなど、連ごとに揃えるものは一括で発注されて、本番の際に着るということになるわけだが、例えば個々が身につける「たばこ入れ」などは自分の好みのものをあつらえて身につけるという。
今、この「たばこ入れ」に本当にタバコを入れている人はすくなく、貴重品や小銭、携帯電話などを入れているひとが多いという。
そのため、印籠タイプのたばこ入れではなく、ポーチタイプのものも人気があるようだ。
実際、メルカリの阿波おどりグッズを検索してみたところ、子供用のものを売りに出している人が多いようだ。
子供用はすぐにサイズが合わなくなるため、そういったものを売買しているひとが多いのかもしれない。
取材に訪れたタイミングで、子供用のたばこ入れをいくつか買っているお母さんも店に来ていた。
というわけで、せっかくなので、阿波おどりの手ぬぐいを記念にひとつ買った。
ホテルに戻ってテレビをつけたら、集団アイドルの歌を放送していたが、これが、振り付けがちょっと複雑な阿波おどりに見えてきてしまった。
集団アイドルと、その集団アイドルの推しを応援するファン、そしてオタ芸の関係性は「踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら踊らにゃ損損」の文脈に回収されるのではないか。
そう考えると、最新のアイドルの楽曲も、盆踊りという日本文化の系譜の中に立派に連なっていると考えることもできる。
余談・手帳を忘れる
岡忠さんの取材を終え、面白いものを見せてもらった! よかった、よかったと店を後にし、愛媛まで移動した後、取材手帳が無いことに気づく。
え、いつから無いんだ……青ざめるおれ。
ホテルやフェリー会社など、思いつく限りの場所に電話して確認するものの、無い。「あ」と気づいて岡忠さんに電話すると、まんまとそこに忘れていました。俺のバカ。
手帳はわざわざ、東京の家に郵送していただき、中のきたねえ字のメモを妻に写真に撮って貰い、PDF化して送ってもらってなんとか記事が書けました!
岡忠さん、ほんとにありがとうございました!!
メルカリの作った47都道府県タオルに書かれたことは本当なのか。全部行って確かめる旅に出ます。
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記事リスト
千葉県:千葉の人が落花生をあまり買わないって本当か
滋賀県:滋賀の人は箱メガネをよく買う?
京都府:京都の人は梅とぶぶ漬けをよく買うらしいので、京都でお茶漬けを食べて梅干しを買う
東京都:東京ではアニメグッズ買いがちって本当なのか
奈良県:奈良の人は(メルカリで)仏像をよく買う……のか?
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栃木県:餃子の売り買いしがちな栃木県に、新しい乗り物「ライトライン」が開通します
埼玉県:埼玉の人がアクリルスタンド買いがちって本当なのか
茨城県:茨城の人が干し芋売りがちって本当なのか
群馬県:群馬の人、上毛カルタ買いがちって本当だろうか
山梨県:山梨県の人は真夏でもほうとう売り買いしがちなのか
和歌山県:和歌山なのに奈良漬けと松阪牛?どういうことか考える
富山県:富山の人がとろろ昆布買いがちって本当だろうか
福井県:福井の人、お笑いチケット買いがちって本当か
大阪府:大阪で真珠やダイヤを買うのはだれ?
石川県:石川の人、加賀友禅買いがち、というより何にでも金箔乗せがち
宮城県:宮城の人が売り買いしがちだという「工大バッグ」とは何か
愛媛県:愛媛の人がメルカリでテニスラケット売りがち?
兵庫県:兵庫の人はピアノをどれぐらい弾くのか
秋田県:秋田の人、いぶりがっこ売りがちって本当なのか
山形県:山形ではさくらんぼ売りがちだしなにしろお米が美味しいし
香川県:うどん買いがちな香川の人はどれほどうどんが好き?
福島県:福島の人が自動車買いがちなのは行きたいところがいろいろあるからかもしれない
青森県:青森の人がりんご売りがちなのは冷蔵技術のおかげ
岩手県:岩手の人は宮沢賢治グッズ買いがちだし大人になったらぜひ読み直してほしい
愛知県:愛知では信長グッズに限らず、秀吉グッズも家康グッズも人気
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岐阜県:岐阜の人はあんかけスパを食べているのか
鳥取県:鳥取砂丘のラクダに乗る
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高知県:高知の人はよさこいグッズをどこで買うのか
島根県:漁村の民家に激突した隕石を見に行く
三重県:三重でダイビングをあきらめてうなぎを食べる
広島県:広島の人はお好み焼きを食べるときにヘラしか使わないのか?
山口県:山口県民が買いがちという「瓦そば」って一体なに?
徳島県:徳島の人は阿波おどりグッズをどこで買っているの?
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佐賀県:「佐賀県民はメルカリで天ぷら鍋を売りがち」とは一体どういうことか調べたら、最終的にイカの活造りを食べることに
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長野県:長野は参考書がたくさん売られているし、おやきも美味しい
熊本県:知っているようで知らない「からし蓮根」を知る旅
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大分県:「大分の人はメルカリでクリスマスツリーを売りがち」の謎