ねえ、あした無人島に行かない?と言われても人は来ない
今回は『無人島に持っていくとしたらこれ』というものを実際に無人島に持ってきてもらい、そのこだわりや理由を披露するという企画である。
無人島でいかに役に立つか、価値があるかなどTEDばりのトークの期待でしたい。
参加するのは厳選された以下の6名+僕である。
・ライター 土屋遊
・ライター べつやくれい
・ライター 三土たつお
・編集部 橋田玲子
・編集部 藤原浩一
・読者 しばみーさん
なかでも読者のしばみーさんはツイッターで開催前々日に急遽募集をして応募してきた1名の中から厳正に選ばれた1名である。
人は急に無人島に行かない?と言われてもそうそう行かないものなのだ。またひとつ知見を得てしまった。
厳選されたメンバー in 無人島
横須賀 三笠埠頭から10分で行ける無人島である
10分とはいえ、海はかなり透明だ
では、日が傾いて寒くならないうちに持ってきたものを披露していこう。トップバッターは三土さんである。
ひとつって言ってなかったか
コーラ2本の理由は「人間は1日1リットルの水分が必要ですので」だそうだ。
サンタクロース並みのでっかい袋を持っているなと思ったらそこから次々と出してきた。
コーラ2本、寝袋、難しい本、歯ブラシ、ティッシュ、ボールペン、ライター
「ひとつじゃないの?」
たぶん今これを読んでいるみなさんもそう思っただろう。僕も思った。この場にいる全員が言った。
三土「募集の文章にひとつって書いてなかったので…」
三土さんは温厚な話し方をするし、文章もまじめな雰囲気があるのでいい人と思われているが、わりとこういう人である。いけしゃあしゃあとしている。
参加者からは
「臨海学校気分」
「すぐに助けが来ると思ってる」
「しかもコーラ、ラベルがリボンになるやつじゃないか」
「無人島なんだから鼻水はティッシュじゃなくて手鼻でかめばいい」
などのコメントであった。
見よ、この全員のテンションのだだ下がりっぷりを
そんなことは気にせず自分が持ってきたものを試す三土さん
枕元は無人島じゃなくて三土さんの家である
「これはいい!」とは三土さんの弁。「すごく快適ですよ。うふふふ」だそうだ。
他の人に試してもらったが、たしかに快適である
僕も試したが砂の上に敷いた寝袋が心地よいのだ。この日は冬ながら日差しが強く、寝ているとポカポカとして気持ち良い。
「無人島に寝袋、ありだね!」
と言ってしまったがアウトドアグッズなので当然である。
海水で歯を磨いてもらったところ、三土さんの毛量の多さが相まって無人島生活が長い人のようになった
三土さんは無人島映えする。いっしょに発見されたら先に救助されそうな雰囲気がある。トリアージ崩しである。
海水をすくおうとしたところに波が来てキャッ!となっているおっさんの写真が撮れたので載せておきます
読者代表 しばみーさん
今回のチャンレジ参加のしばみーさんはデジカメ。ただのデジカメではなく、「メッセージを砂浜に描いて、その写真を撮っておく」という使い方だ。
確かに砂浜にメッセージを書いても波で消えてしまうだろう。だからそれをデジカメで撮ておくことで長く残しておくという作戦である。
いい笑顔 しばみーさん
2人目にして気づいたが、持ってくるもので本人が無人島で「生き延びる前提」なのか「死ぬ前提」がはっきりしている。
砂浜にメッセージを書くのが意外に大変という気づき
ようやく完成して写真を撮っている。そのメッセージは
「ツイッターのアカウント消しておいて」
これが無人島からのメッセージ!なんというか、すごい煩悩。
このデジカメを拾ったら消す前にどんなツイートしているか見てしまうと思う。広告でそういうプロモーションはどうだろうか。
土屋遊「美を追い求めるのよ」
3人目はライター土屋さんである。上陸するなりクラゲを手づかみしたり、寝袋の枕元においてみたりと自由に行動してた(前ページ、うつ伏せで寝袋に入っている写真の枕元にクラゲがある)。
「あたしが持ってきたものを見たら度肝抜くわよ」
アメリカのプロレスのようなポーズをナチュラルにとっている。
「無人島に持っていくものはこれ!」
「ビューラー!」
「どんなところでも美を追求するのよ!」と言っている。
このビューラーのほかにはメガネも大事と言っていた。ちなみにメガネは色付きレンズなので「目の周りの化粧しなくていい」とのことでビューラーの目的と矛盾しているが黙っていた。
トンビに向かってまつげをアピールする
トンビに向かってアピールするあたりは無人島に残された人の心理状態を再現しているようでリアルである(それをやってしまうのは謎だが)。
まつげが上がってるのかどうかよくわからない
トンビにアピールしたのがこのあとの伏線になることはまだ我々は気づいてないないのであった。
僕は本気で選びました。林雄司
次は本企画の考案者、わたくし林雄司である。
コンタクトレンズの洗浄・保存液だ
無人島に持っていくもの、なんだろうか。わさビーフかテトリスキーホルダーか、GoProか二日酔いのくすりか。でも今回は本気で選んだ。
反応がうすいギャラリー
つまらないだろう。つまらないと思うが毎日かかさず使っているものといえばこれだ。
僕は石油王が今晩うちに来たら油田あげるよと言われてもコンタクトレンズの保存液がないと断る。これまでもコンタクトの薬がないからという理由でいろんなものを断ってきた。
保存液がないと寝れないし、コンタクト入れたまま寝ると目がカピカピである。
僕の裸眼の弱さがどれほどかちょっと外してやろう
裸眼では助けに来たヘリコプターか飛蚊症で飛んでるやつかの区別がつかない。(これはトンビ)
しかもトラベルパックは飛行機の機内持ち込みOKのサイズだ。これなら救助に来たヘリコプターの乗務員に「液体の持ち込みダメなんですよー、じゃ!」と言って帰られずに済む。
風が強い砂浜でコンタクトを入れるのに苦労してすっかり弱った。
戯れに砂浜でコンタクトを外してはならない。無人島からの教訓である。
“みんなで”食べるためにかつ丼を持ってきた・橋田
編集部 橋田は自信満々で持ってきた。
もう笑みがこぼれている
まいせんのかつ丼!
橋田はかつ丼が好きで週に2回以上食べる。ライターが集まってお弁当が必要なときも自動的にかつ丼が手配されている。
「みんなで分けて食べられるヒレカツのかつ丼にしたんですよ。」と橋田は語る。
「あんまりがっつりしてないのでちょっと日和ったかなと思ったけど」
どこがどう日和っているのかわからないが、無人島らしく砂浜で食べている写真を撮っておこう。
以上、現場の臨場感を出すために写真だけ貼ってみた。
橋田のかつはトンビが持っていったのだ。みんなで食べるのみんなに鳥類も入ってしまった。というかトンビしか食べてない。
トンビにとられた!と怯えて戻ってきたときにすかさずかつ丼にフタをしているのに注目である。そして撮影後に入った食堂でカツを食べていた。
遠くにいた藤原が撮った写真。橋田ごと持っていかれないでよかった。
マジサバイバル・べつやくれい
生き残るための知恵を持ってきたのはライターのべつやくさんである。
ディスカバリーチャンネルでなんでも食べるおじさんとして有名なベア・グリルスの本
ベア・グリルスが出演しているのはサバイバルの番組なのだが、目につくヘビや昆虫を次々に食べて「まずい」というシーンがいちばんの見どころである。
「食料を手に入れる」の章も、木や草まではいいが、蠕虫(ぜんちゅう、ミミズとかイモムシの類)という恐ろしい項目がある。
それを美容院でファッション誌を読むような感じで読む。そして寝袋をしまえなくなっている三土さん
実践してみたかったがすぐにできそうなものはなく、残念ながら「トンビからかつを奪い返す」という項目もなかった。
ただ猿島には遺構がたくさんあるのでベア・グリルスが見たら大喜びするだろう
でも猿島はサバイバル禁止で最終便に乗り遅れた人用のスイッチを押すのが正解
島全体が食料になるアイテム 藤原浩一
最後は編集部の藤原浩一である。
味ぽん
「これがあれば雑草を食べて生き延びることができるので」とサバイバルまで居酒屋発想である。
「じゃあ、これ食べよう!」
すっかり無人島が板についた三土さん(でも寝袋はしまえない)が無邪気に落ちている海藻を拾ってきた。こういう無邪気さがいちばん怖い。
そこらに落ちてた貝殻を皿にして(風流!)食べる
後ろではべつやくさんがまだ本を読んでいる。各自勝手な行動をとりはじめて無人島生活もリアルになってきた。
「あー」
「あー」「あー」「ん?あー」
ポン酢が美味しいので一口目はおいしい。噛んでると後から苦味がやってくる。
苦味が出る前に飲み込んでしまえばいいのだが、「飲み込んでいいのだろうか?」という疑問も一緒に飲み込む必要がある。
無人島に持っていくものに正解はない
無人島に持っていくもの、それはその人の生きかたである。ビューラーだったりポン酢だったり、ルールのすきを突いて大量の物を持ってきたり。
無人島に来て、その人の人となりを感じることができた。そのために猿島は東京湾に浮かんでいたのだ言っても過言ではないだろう。
わざわざ無人島まで行かなくても、飲み屋の話題でよかったのではないかと思う気持ちには耳を貸さず、今年も無駄にカロリーを消費していこうではありませんかみなさん!