今回のルール
遊び方は簡単で、市販のドリンクを混ぜ、おいしい飲み物を作る、ただそれだけである。
しかしこれだけだとネットで検索した人が優勝してしまうので、ポイント制を導入した。
遊び方は簡単で、市販のドリンクを混ぜ、おいしい飲み物を作る、ただそれだけである。 しかしこれだけだとネットで検索した人が優勝してしまうので、ポイント制を導入した。
たくさん混ぜると高得点なので、絶対に5種類は混ぜ切りたい。でも「お茶」を入れたときのポイントも欲しい。あれ? ん? お茶とフルーツジュース、合わなくない?と脳内会議がせわしない。あとどうせなら他の人とかぶることも避けたい!
ルール表を持ちながら買い物をしたのだが、店外だったら不審者で捕まるだろうな、ぐらいの長い間、ジュースコーナーをうろうろすることになった。
「それ買ったの?」ドリンク紹介タイム
無事買い物が終了し、競技開始である。まずは購入したもの紹介です。
エントリーNo.1:橋田玲子「マロンは邪魔しないはず」
・まろやかカフェラテ
・ぷるんぷるんQoo もも(ゼリー)
・クレームブリュレティー
・希少糖の飲むヨーグルジー ピーチ味
・豆乳 マロン味
「ゼリーとヨーグルトを桃味でそろえました。豆乳は普通のものと悩みましたが、マロン味は邪魔しなさそうなので、5種すべて混ぜます」
会場から「それで5種いくのか」「すごく甘くなりそう」「ゼリーにヨーグルトに豆乳に忙しい」などの声があがる。ルールを作った自分としても、個体を入れてくるとは思わなかった。一発目から衝撃である。
エントリーNo.2:石川大樹「3種混ぜでおいしさ重視」
・グリーンスムージー
・のむヨーグルト プレーン
・アーモンド効果 チョコレート味
・豆乳
・コーヒーゼリー
「3種で勝負します。『スムージー/ヨーグルト/豆乳』もしくは『アーモンド効果 / 豆乳 / コーヒーゼリー』の組み合わせを試して、おいしさ最高得点で勝ちます」
ほとんどが強気で「全部混ぜる」と言うなか「5種混ぜない」という手堅い選択に驚く会場。この作戦が吉と出るのか凶と出るのか。
エントリーNo.3:與座ひかる「健康的な人が朝のむやつ」
・ジャスミン茶
・りんごジュース
・R-1 グレープフルーツ味
・CCレモン
・青汁
「お茶ポイントが欲しいので、お茶をベースにスムージー的なものを作ります。青汁とヨーグルトとりんごジュースを大半にすればスムージーになるのではないか」
会場から「青汁ってマズいけど大丈夫?」「ヨーグルトが分離する未来が見える」「お茶をスムージー?」とやんわりとした批判をもらう。少し心がおれた。
エントリーNo.4:べつやくれい「おしることレモンはおいしいはず」
・ソーダ
・烏龍茶
・レモン果汁
・しるこ(寒天入り)
・プルーンジュース
「おしるこが好きなのでおしるこを買って、あと烏龍茶にレモンを入れたらレモンティー味になりそうだと思いました。プルーンも邪魔しないはず」
「おしるこ、レモン、プルーン!」「色がすごいことになりそうだ」「この後私たちが飲むのか」とみんなの不満がつのってゆく。「おしるこが好きだから買った」という理由を聞いて、この人には絶対勝たねばという気持ちが湧く。
エントリーNo.5 藤原浩一「見た目の美しさ」
・ライチ味のラムネ
・アイスティー
・カルピスの乳酸菌
・三ツ矢サイダー
・いろはす いちご味
「色が綺麗ポイントを目指して、透明で揃えました」
一枚上手のアイデアに「透明って無だから綺麗とは言えないのでは?」「私のしるこあげようか?」と軽い妬みのようなコメントが続出した。
これで全部出揃った。「かぶるかもな~」なんて思いつつ買い物してた頃が嘘のようだ。透明が最強っぽいが、そんな今っぽい飲み物に負けたくない。謎の闘志が燃え上がる。
調合開始、そして悲鳴
調合タイムでは、少しずつ味を調整しながらひたすら混ぜて完成品を作る。
早くも茶色くなったドリンクに、ももゼリーを流し込む橋田さん。周囲から「キャー!」「うわああ」と奇声が上がった。すごい光景です。
「しることレモンを混ぜたら本当に美味しかった」と笑いが止まらないべつやくさん。想像していた味を超えると人は笑ってしまう。
これだけの透明飲料を混ぜながら味をたしかめていると、商品企画の人に見えてくる。「透明なミルクティーの考案者」という説明が入っても違和感がない。
人の悲鳴を聴きつつ、自分もやってみるがヨーグルトを入れた瞬間「こんなに邪魔する?」ってぐらい想定と違う味になった。気合いとごまかしで味を整えていく。
「これ池の水?」試飲開始
各々のうめき声が入り乱れる調合タイムが終わった。では審査です。
出場ドリンクのみなさん。5分の4が濁っている。
藤原浩一作「超透明ドリンク」
他のジュースが濁ってて怖かったので、透明なものから飲むことになった。出来上がりももちろん透明である。
一瞬「ウッ」と声を漏らした橋田さん。
橋田「あ!売ってそう! おいしい。ただ香料がすごいね」
べつやく「駄菓子屋がジュース出したらこんな味だ」
石川「商品としてありそうですけど、僕が商品開発部長だったらもうちょっとどうにかならない?って指示しますね」
気になって飲みに来た林「何か飲んだ後のコップに三ツ矢サイダーを入れた味がしますね。洗ってないだろこれ~って」
味はいいが、香料が混ざり合いすぎて「高級感がない」と評された。ただ美しさはピカイチだ。
藤原浩一作「超透明ドリンク」
・味評価:4ポイント
・5種類まぜる:5ポイント
・見た目がきれい:1ポイント
・お茶系を取り入れた:1ポイント
合計:11ポイント
與座ひかる作「学校の観察池」
スムージーを作るつもりが、理科の課外活動感が拭えない仕上がりになってしまった。
自分が作った飲み物を評価してもらうという状況は始めてた。バイトの面接ぐらい緊張する。
べつやく「これ飲みやすくて薄めの青汁だ!」
橋田「おいしい…けど、青汁ってほら、そもそも美味しくないじゃないですか。そう考えたらこれは美味しい」
安藤「味としては一番安心できますね」
石川「でも『青汁界では』という前提ありきのおいしさですよね?」
一時は「美味しい」と言われてウキウキだったが「青汁じゃなくてスムージーだったよね?」と言われ何も言い返せない。参加者が審査員なので、隙を見せるとすぐつつかれてしまう。
與座ひかる作「学校の観察池」
・味評価:4ポイント
・5種類まぜる:5ポイント
・お茶系を取り入れた:1ポイント
合計:10ポイント
橋田玲子作「タピオカではない個体が見えるドリンク」
橋田「ナタデココやゼリーが入ってるので、ストローで飲んでください」と初めて飲み方の指示が入った。う…怖い…。
飲んですぐ笑いが止まらなくなったべつやくさん。何があったんだ。すぐに自分も飲んでみる。
これは…!
與座「甘いのに酸っぱくて、その後苦くて本当にびっくりしました」
別役「味の種類が多いと脳って処理できないんですね」
石川「今まで倒したボスキャラが全部集まってできた強いボスみたいな味がする」
林「マロンの味がするのに酸っぱいと『これ腐ってる!』って印象になりますね」
酷評が続き「楽しんでもらうためにいろいろ混ぜたのに」と少し目が潤んだ橋田さん。他人の落ち度は自分の勝利につながる、非情なゲームだ。
橋田玲子作「タピオカではない個体が見えるドリンク」
・味評価:2.5ポイント
・5種類まぜる:5ポイント
・コーヒーを取り入れた:1ポイント
・お茶系を取り入れた:1ポイント
合計:9.5ポイント
石川大樹作「スタバの期間限定ドリンクっぽいやつ」
次は唯一の3種混ぜ、石川さんのドリンクです。こちらもストロー必須だ。
「うん…おいしい…」と藤原さん。
べつやく「この3つはおいしいよね、そりゃおいしいよ」
橋田「うん、これは絶対おいしいよ」
おいしさを追求した石川さん。味もスタバで売ってそうという高評価だが、3種に絞ったからか、なぜか「ズルをした」みたいな言われ方をされる。
安藤「というかこれ中に入れていた『アーモンド効果』がおいしいだけじゃないですかね」
藤原さん「『アーモンド効果』単体で飲んだらすごくおいしいですね。そのあと石川さんのドリンクを飲んだら、これ『アーモンド効果』を薄めただけですね」
「『アーモンド効果』がおいしかっただけ」と否定され続けた石川さん。ストレスで頭を抱えてしまった。
石川大樹作「スタバの期間限定ドリンクっぽいやつ」
・味評価:4.5ポイント
・3種類まぜる:3ポイント
・コーヒーを取り入れた:1ポイント
合計:9.5ポイント
べつやくれい作「しるこレモン」
「炭酸水も買ったけど合わなかった」と4種類に落ち着いたべつやくさん。しるこレモンの行方はいかに。
人生で初めて飲む味に全員顔がゆるんでいる。
石川「レモンの酸味がすごい。これ、しるこも入ってて『重すっぱい』という新しい味ですね」
橋田「酸味のあと、あずきがくるのに甘くないんですよ」
與座「江戸からある夏の飲み物、って言われたらすごくおいしい気がしてきました」
おしることレモン、そして烏龍茶にプルーン。おそらくこの4種類が出会ったのは世界初なのではないか。しかもまあまあ整った味がした。驚きの連続である。
べつやくれい作「しるこレモン」
・味評価:3.5ポイント
・4種類まぜる:4ポイント
・お茶系を取り入れた:1ポイント
合計:8.5ポイント
ここで、全員のポイントがでそろいました!優勝は…。
透明飲料で攻めた藤原さん!周囲から「本当にこういう時勝ってくる」「こういう子なのよ、この子は」と言われていた。
「透明」くくりで味のハードル、まぜる数、見た目まですべてクリアしてきた藤原さん。このルールの最適解を見つけ出し、堂々の優勝でした。
「人生で初めての味」を体験しまくれるゲーム
各々まったく違うドリンクになったが、それぞれ「この味体験は初めて」の連続で、飲むたびに爆笑が起きた。酸っぱい、甘いだけの形容ではおさまらない。心の底からの「なにこれ」である。
こうした見た目でも美味しかったりするので視覚と味覚のギャップもすごかった。
点数配分やルールも改善の余地があったが、「次は一つだけドリンクで縛るのはどうか」や「ヨーグルトが難しいのでポイントつけたほうがいい」などいろんな意見がでた。みなさんも独自のルールでお試しください。笑いが止まりません。