あのアイス、いろんな食べ方があるらしい
コンビニのコーンのアイスのことで、気になる話を聞いた。
コーンの部分を、カバー越しに押し出しながら食べる人がいるというのだ。
こういうやつ
コーンの粉が散らないから、コーンを直接手で持ちたくないから、という理由らしい。
押し出すのだ。
かくいう僕は、上のカバーをつけたままアイスを上下逆さにし、下のカバーから取る、という技を最近発見したばかりだった。
この方が開けやすい気がするし、コーンがすぐに持てる。直接持ちたいのだ。
「逆さにする」というところに、とんちを効かせた雰囲気が出ていて人にも教えたくなる。
発想に「コロンブスの卵」っぽさがあって好きです。
しかしこの食べ方の違いである。
この時点で、いつのまにか世界には「コンビニのコーンのアイス、カバー越しに押し出し派」と「逆さにして下のカバーから外す派」が存在しているのだ。
マイナンバーという属性が我々に割り当てられたばかりだが、こんな属性もいつの間にか持っていたのだ。
通知カードもないままに
面白いので調べてみることにした。
アンケートを作った
アイスの食べ方にどんな流派が存在するのか、そしてそれぞれの流派の勢力はどれほどのものなのかを知りたい。
アンケートを作ってなるべくたくさんの人の話を聞いてみることにした。
アンケートを作るための事前調査として、デイリーポータルの皆様にも聞いてみた。画像は、編集部石川さんのスルメのような味わいのイラスト。「押し出し派」だ。
そしてインターネットで答えられるアンケートを作った。Googleフォームって便利ですね。
しかしコンビニの、ワッフルコーンのアイスの、食べ方である。
味ではない。食べ方の話である。
話題がニッチすぎやしないかという気もする。
どれだけの人が答えてくれるだろうかと思いながらTwitterで告知をして経過を見守った。
1,000件以上集まった
すごい…
なんと1,049件の回答をいただいた。
1,049である。
ラーメン屋さんでトッピングしすぎた時の値段以外で、こんなにも「1,000」という数字が自分に迫ってきたことはない。
噛みしめるように回答を読んで集計しました。
結果を発表します。
割れる回答…
まず、流派の整理である。
一番最初の大きな分類は、やはり「食べ始める段階からアイスを全部外に出すか否か」であろう。
コーンの粉や溶けたアイスを気にして受け皿として下のカバーを取っておくか、そうではない、こういうものは豪快に素手でバリバリいくのじゃ、とカバーは全部捨てちゃうか、この相反する思想の一騎打ちである。
結果を集計すると、
なんと…
このつの大きな流派、同じ勢力を持っていたのである。
1,000人に聞いたので500人ずつ。
ぶつかったらお互いただでは済まない緊張状態が、コーンを巡って続いていたのだ。
人間をつに分類する時、とりあえず使われるのが「男か女か」という分け方だが、「コンビニのコーンのアイス、下のカバー捨てるかどうか」で分けたっていいのだ。
すごいパラレルワールドを見つけてしまった。
アイスを全部外に出す流派の中に、派閥があるようだ
しかし事態はそう単純ではなかった。
このつの勢力、それぞれが細かい流派にはっきり分かれるのだ。
まずアイスは全部外に出す、「アイスネイキッド流」だが、この中につの派閥があった。
こちらである。
名前つけてみた
コーンをつまむと、カバーからせり上がってくるから「せり上がり派」。
正攻法に思えるせり上がり派だが、つまむ部分が小さいのでうまくいかないことがある。
そこで冒頭の、上下ひっくり返す「天地自在派」である。
しかし天地自在派にも、最初に上のカバーを取る「天」と、最初から逆さにしてしまい下のカバーを取る「地」が存在する。
ここで注目したいのは天地自在派・地である。
この一派には恐らく、上のカバーから開けようとしてアイスをもいでしまった悲しい過去がある。
再現しようと思ったのだが、思い切りが足りなくて上のカバーを押し付けるだけになってしまった。これはこれで悲しい。
悔しさから「コンビニのコーンアイス道」から去っていった者も大勢いたという。
しかし残った者たちは絶対に同じ過ちは繰り返すまいと、この流派を作り、磨き上げてきた。
300kgのリストバンドを手首にはめてアイスをひっくり返し続ける日々である。
下から外した方がアイスがもげる可能性が低い感じがする。筆者もこの流派である。
せっかくなので、アンケートに残されたアイスネイキッド流 天地自在派・地 の皆様の叫びを紹介したい。
「初めからプラ部分にアイスがくっついていてカバーを開けた時に崩壊すると深い悲しみに包まれる」
「外で食べようとして上のカバーを取った瞬間真ん中で折れてしまいどうしようもなくなった経験がない人なんていないですよね」
「たまに上のカバーを外すのを失敗して折れてつらい」
「上のカバーを取る時にアイスがカバーにくっついてぽきりと折れると非常に悲しい。」
「頭が取れて悔しい思いをしない方法を知りたい。」
「悲しい」「辛い」「悔しい」という言葉が並ぶ。
この戦いの背景に深い悲しみがあることを僕たちは忘れてはいけないと思う。
そして、アイスネイキッド流の中のつの派閥の勢力である。
先ほどの円グラフに入れるとこのようになる。
もう「マジかよ」としか言えない
なんとこのつの派閥も拮抗しているのだ。
円グラフがピザみたいになっている。
団結しているかに思えたアイスネイキッド流であるが、内部の駆け引きによってはこの中で抗争になる危険性もはらんでいる。
しかしなぜこんなにきれいに回答が分かれるのか。
これが乱世というものなのか。
下のカバー持ったままの流派にも…
さて、下のカバーを持ったままの「アーマードアイス流」であるが、食べ進めると「コーンをどうやって取り出し、食べるのか」という問題に直面する。
ここの部分に、また派閥があるのだ。
4つあった
そう、こちらにもせり上がり派、天地自在派が存在するのだ。
大もとの分類を超えて、下層の部分で通じ合っている。
組織は敵対しているけど男女で惹かれあってしまった、みたいなことだろうか。
ウエストサイドストーリーだ。
あと、噛みつき派があるのが意外だった。確かに便利だ。
グラフにするとこう
いよいよ群雄割拠してきたぞという感じがする。
「アーマードアイス流せり上がり派」が最大派閥となるが、それでも割程度である。
「アイスネイキッド流天地自在派」の「天」と「地」が手を組めばほぼ同じ勢力になる。
どの派閥も油断できないのだ。
組織に属さない荒くれ者たち
派閥と勢力はだいたい把握できたが、「その他」の中にどうしても無視できない荒くれ者がいた。
組織に属さない、フリーランスの殺し屋である。
この者たちを紹介したい。
盲点を突かれた感じがした
「コーン無頓着派」である。
上のアイスを食べたらなんとなくお腹いっぱいになって、コーンはカバーにしまって冷凍庫に入れてしまうのだ。もしくは人にあげてしまう。
あと、初めから包丁などでアイスとコーンをふたつに分けてしまい、コーンは冷凍庫へ、そしてアイスは何と容器に移してコーヒーをかけて食べるなんて方もいた。
アフォガードってやつだ。
おしゃれ
この流派は1,046名の中に3名、いらっしゃった。
「コンビニのコーンアイス道」に、根底から革命を起こそうとする地下組織である。
規模が小さいからといって油断してはいけない。
おしゃれだし。
最もかっこいい「ウエスタン派」
そして最後に1名だけいらっしゃった、まさにフリーランスの殺し屋、という感じの食べ方である。
いただいたコメントを転載します。
.上のカバーを外す。
.下のカバーを持ち、上方向に勢いをつけつつ一瞬振る。
.そうするとコーン部分が慣性で飛び出すのでそこをキャッチする。
.下のカバーを外す。
かっこいい。
西部劇の拳銃みたいにアイスを操るのだ。
何気なくさらっとこれをやられたら口笛で「ヒュー」とか言ってしまいそうだ。
やってみたが、うまくいくとすごく気持ちがいい。
音がかっこいいので動画も用意した。よく見たらコーンを持った手の指にアイスが付いちゃってる。
なんかカウボーイみたいだからウエスタン派 だ。急に日本を飛び出してしまった。
とにかく群雄割拠だ
もう一度グラフを載せます。「その他」の中には「コーン無頓着派」と「ウエスタン派」が潜んでいる。ぞくぞくしてきた。映画化して欲しい。
もはやこの「コンビニのコーンアイスの食べ方」という戦場に正解は存在しない。
群雄割拠の乱世を生き抜いた、次の時代の覇者が正しい食べ方として君臨するのであろう。
それまで我々は、歴史の生き証人としてこの戦いを目に焼き付けなければならない。
ここまで出てきた流派と、その特徴を整理しました。「なんかいっぱいあるしすごい」ことだけ伝わればと思います。
これから所属する流派を決めようという武将のためにチャート図を作った。参考にしていただきたい。
野暮だとは思いますが
写真撮影のために、アイスの上のカバーを何回か開けていたら気づいてしまった。
いや、違うのだ。
開けやすいとか開けにくいとか正しいとか正しくないとか、もうそういう次元の話ではないのだ。
それぞれの流派には、それぞれの信念を貫いて、是非歴史に名を残すような偉業を成し遂げて欲しい。