特集 2020年2月6日

16年クリアできなかったゲームをクリアする

クリアできないゲームはゲームボーイソフトですが、大きい画面でプレイできるスーパーファミコンのスーパーゲームボーイでプレイしています。

私には16年クリアできないゲームがあります。ゲームボーイカラーソフト、ポヨンのダンジョンルームです。

「元号が変わる」と聞いたときに「新元号までにゲームをクリアしたい」という気持ちが芽生えました。私の中では平成に置いていきたいゲームだったのです。

しかし、平成のうちにクリアできず、クリアできたのはほんの最近でした。

どうしてクリアできなかったのか。クリアした心境はどうなのか…報告します。

1987年埼玉生まれの栃木育ち・群馬県在住。
週末は群馬の温泉を巡っています。
漫画やイラストを描いたり、それに付随した講師もたまにしております。(動画インタビュー)

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今、ボスと戦っています!

突然ですが今、16年の歳月を経てボスと戦っています。かわいいキャラクターなので弱そうに見えますが、ボスなのです。

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ゲームに集中すると口ってあいちゃいますよね。

今プレイしているゲームは『ポヨンのダンジョンルーム』というゲームボーイカラーソフトです。

『貝獣物語』『大貝獣物語』『M・O・Z』のポヨン。と言えばわかる人もいるはず!

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ソフトパッケージ。ツルハシを持った緑色の生物が主人公の『ポヨン』です。

ゲームの発売は1999年、21年前です。私は11歳。縄跳び、特に二重飛びに手をクロスさせて飛ぶ『はやぶさ』が得意な小学生でした。

ファミコンソフト貝獣物語を元にしたトレーディングカードゲーム発売とタイアップされたマンガがコミックボンボンで連載が始まります。ゲーム発売前の1998年でした。このマンガで私は丸くてかわいいポヨンが大好きになったのです。大好きなポヨンが主人公になったらゲームを買うしかありません。

「お小遣い・お年玉で買うのはなんか違う。自分の力でソフトが欲しい」と考えて、発売から5年越しの高校1年生(16歳)のときにアルバイト代で購入します。

あまり人気がなかったのか、発売から5年経っても通販で新品を買うことができました。

ゲームの大まかなあらすじ

ゲームの大まかなあらすじとゲームの目的を説明します。

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ゲームの内容自体はよくあるライバルを倒す物語です。

悪の大魔王たちを仲間と倒したポヨンは島の英雄になります。しかし、もともとのんびり屋で食いしん坊のポヨンは、魔王を倒して平和が訪れたから。と修行をサボります。

修行をさぼったせいか、水の勇者選抜戦でライバル(プリリン)にあっさり負けてしまいました。見かねた貝獣仙人(師匠的存在)が、7つのダンジョンにいるドラゴンを倒してきたらプリリンと再戦させてあげる。と提案します。7体のドラゴンを倒してライバルと再戦し、勇者になることがゲームの目的です。

とある攻略サイトに、プレイ時間は約10時間。とありました。私は16年かかっています。

なぜ16年間クリアできなかったのか、詳しい事情を説明しましょう。

なぜゲームをクリアできないのか・しなかったのか

クリアできなかった理由は2つあります。
1つ目は、ポヨン(主人公)に成長してほしくなかったからです。

先ほども説明しましたが、このゲームの最終目的はライバルと戦うことです。
ポヨンは『のんびり屋』と紹介されていますが、どちらかといえば『ぐうたら』の方がしっくりきます。

と、いうことは、ポヨンがライバルを倒してしまったら、ぐうたらな主人公がライバルを倒した。という成功体験とともに成長してしまいます。

ポヨンの『ぐうたら』で『食いしん坊』なところが自分と重なるところがあり、クリアしたらポヨンに置いていかれる気がしたのです。

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「そこまでキャラクターに感情移入を…?」と今なら思うけど、16歳って多感な時期だよね。

「ポヨンに成長してほしくない。ダメでいてほしい」と本気で考えていたことからなかなかクリアができずにいました。

2つ目は、クリアしないことによって「ああ、クリアしないとな」と頭の片隅で常にポヨンのことを考えることができるからです。

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私の脳内。片隅にポヨンがいる。

ポヨンは大好きなキャラクターの1人です。常に頭の隅にポヨンがいることにより、人生が辛い時にポヨンが一緒にいると考えられます。一緒に壁を乗り越えている気持ちになっていました。

たくさん困難や壁を乗り越えてきているので、私の脳内でポヨンとの絆が深まり、ますますクリアできなくなりました。

特に新卒で入った建築設計事務所では家に帰れない日が多く、脳内のポヨンを呼び寄せては「ポヨンも頑張っているんだ」と自分を奮い立たせていました。

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2度ゲーム離れを起こす。

そんな思考で過ごしていた私にも『ポヨンのダンジョンルーム』離れが起こります。18歳と22歳の時です。

18歳のとき、身内にセーブデータを消されました。ちょっと貸して。と言われたので、ちょっとなら。と油断していたら『セーブデータを消して最初からやるから』のちょっと貸して。でした。

ゲームボーイソフトなのでセーブは1つしかできません。
貸すときも、少し進めてはセーブ。を2年やっていてライバルとの再戦前で二の足を踏んでいました。そのデータを消されたのです。

私に確認なしのデータ削除は衝撃だったものの、いっぽうでデータ消してくれてありがとうな!と思う自分もいました。消えたことにより。またひとつ「クリアできない理由ができた」からです。

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表情は被害者ぶりながらも、心はフィーバー。

2度目は22歳のときです。
セーブデータが消されてから2年過ぎ、20歳でまた1面からやり直しをはじめました。

その頃は1人暮らしを始めてゲームより仕事や恋愛が充実しだした頃で、脳内のポヨンが少し邪魔になってしまったのです!

ポヨンに罪悪感がわいてしまい、中古屋ショップに売りに行ってしまいました。売ったお金で筋肉少女帯のオールタイムベストアルバムを買い、家で聞いて寂しさを紛らわせたのを覚えています。

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たしか、引っ越しも関係あったはず。引っ越すから身軽になろう、と。

手元になくなったことで「これで永遠にクリアできない理由ができた!」と自分を正当化し始めます。私はいつでも、このゲームをクリアできない理由を探していたのです。

しかしこのとき、世の中に『ポヨンのダンジョンルーム』がある状態では、この理由は弱いな。という考えもありました。

世の中にソフトがあるということは、また買うことができます。ソフトを手放してもずっとポヨンは頭の隅いる状態は続いていました。が、充実した生活を送ることで以前より脳内ポヨンを呼び出さなくなっていました。

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充実した生活中、1人暮らしの自分の部屋。都内に近かったので東京に遊びに行きっぱなしで片付けをしなかった。

クラブに行くことを覚え、好きなDJのクラブイベントに池尻大橋へ毎月行っていました。オールナイトなので朝帰り。24時間営業の松屋で朝日を浴びながらごはんを食べるのが好きでした。

ぼんやりと「いつかクリアはしたい。でもポヨンには成長して欲しくない」とチグハグな気持ちをうっすらと考えているところで買い戻すきっかけが訪れます。

トレーディングカードゲームを実家で発見

実家に帰ってなんとなく弟の部屋を見ると、私の化粧ポーチがありました。気に入っていたペイズリー柄のポーチです。弟を叱ろうと確認をとって中を見ると、トレーディングカードが!

そう、コミックボンボンでマンガ連載とともにタイアップされたカードゲーム『M・O・Z』です。弟が当時のデッキ(1ゲームで戦えるカードのまとめ)のまま保管していたのです。大きさ的に私のポーチがちょうどよかったとのことでした。

当時、弟の勧めで『M・O・Z』をやっていましたが、ポケモンカードゲームが爆発的に流行っていたので対戦相手は弟か弟の友達の福田くんしかいませんでした。楽しい思い出だったので弟を責められなくなり、ポーチはあげました。

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ポヨンのカード。『M・O・Z』の正式名称は『ザ・ミラクルオブ ザ・ゾーン』です。

偶然か必然か。カードを見つけたこともあり、今度こそ!と2018年にソフトを再購入。

再プレイするも、やっぱりなんだかんだ2年間プレイしたり休んだりを繰り返してきました。私はスマホか。2年しばりのプレイ。

そして2019年年末、「来年はオリンピックイヤーだしな。そろそろクリアするか」と考えて手をつけなかったデータを進めました。

データは、最後のドラゴンを倒すところにいました。ブランカドラゴンを倒せばライバルに再戦を申し込めます。

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ドラゴンを倒すともらえるスタンプ。各ドラゴンは5回倒せる。

クリアはしていませんが今回でプレイは3回目です。

プレイ中、16年の思い出がちょいちょいよみがえりました。余計クリアしにくくなるでしょうが。ここまでくると「クリアしたくない」という自分の執念に取り憑かれてきます。怖い。

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執念ついでに年表にしてみました。

 

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さぁ、いざライバルと再戦へ!

回想が長くなってすみません…。

ゲームは、ゲームボーイアドバンスでプレイしていました。でも「クリアは大画面で見たい!」と考えて、ゲームボーイアドバンス用のソフトをスーパーファミコンを使ってテレビでプレイできる、スーパーゲームボーイを購入。気合いは十分です。

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移動中はゲームボーイアドバンスでプレイしていました。同じ電車にニンテンドーSwitchで遊ぶ人とゲームボーイアドバンスで遊ぶ私。

ライバルと戦う前に最後のドラゴンと戦います。
ゲームクリアできない人あるあるだと思うのですが、クリアしたくなくてレベル上げに異様な時間を費やします。最後のドラゴンを4ターンであっさり倒してしまいました。

気持ち的にはここでセーブしてデータを寝かせたいところですが、ドラゴンを倒した勢いでライバルに再戦を申し込みます。

ところが!

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ライバルもあっさり倒してしまいました。
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第2形態もありましたが、自分が強過ぎてライバルの攻撃が1ポイント、クリーンヒットしても100ポイント以下という結果に。

ポヨンに成長して欲しくない!と考えてゲームをクリアできなかったのに…。めっちゃ成長してたじゃん。成長を認めてあげれなくて本当にすいません。

そしてエンディングが流れはじめます。

あっさりライバルを倒したこと、自分がポヨンの成長を認めてあげれなかったことでスタッフロールが頭に入ってきません。レベルをあげたのは自分なのにな。

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かわいい

 

ライバルを倒したあとに

さいご、『おしまい』という文字が画面にあらわれました。その『おしまい』の文字を見たら「終わったんだ」といったん心の区切りがついたのでした。

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ライバルを倒したときは何とも思わなかったのに、『おしまい』の文字が出たら泣いちゃった!

マンガやアニメの『終』や『完』は、ここで終わりですよ。気持ちを一区切りつけてくださいね。という優しさなのでは?と思いました。

ここで『おしまい』が出てこなかったらまた数十年終われなくて私、苦しみそう。

この『おしまい』でゲームは終わりましたがエンディング後、労いの言葉をもらえるかなと思って師匠に話しかけました。すると、ワシと戦うための条件を言ってきたので「何言ってんだこいつ」と思ってしまいました。

ライバルとのアツい戦いの後に水を差すなよ!よし!師匠に完封勝利するぞ!

ゲームは『おしまい』ではありませんでした。


クリアして

ゲームもそうですが、本もドラマも全部終わりを見られませんでした。終わりを見ると終わってしまう。と考えていたからです。

終わるのは当たり前なんですが、受け入れられなかったんです。終わるのが怖かったんです。終わりを見なければ自分の中で終わりじゃない!と考えていました。

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実は、ゲーム販売の翌年に2が発売されているんですよ。購入済みですが、一度もさわっていません。

しかし、16年クリアできなかったゲームをクリアしたことで物語の終わりに抵抗がなくなってきました。

終わっても自分が終わりじゃないと思ったら自分の中で永遠に物語は生きると考えることができるようになったからです。

-終-

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餅つきをするポカポンゲームを出展します!

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2日間これだけで乗り切るつもりです。

ポカポン戦士が人を攻撃するのではなく餅をつくところを是非見にきてください!

電池の状態によっては餅をつく速度が変わるのでそこも見どころです。

 

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