特集 2014年12月1日

曖昧さを回避したい

とにかく回避したい
とにかく回避したい
ネットで調べ物をするとき、よくお世話になるのがウィキペディア。そこでときどき出てくるのが「(曖昧さ回避)」という注意書きだ。
同じ言葉で複数の項目があると出てくるこの表記。読者を適切に導こうとする意図はわかる。曖昧さ回避。独特の響きがある言い回し。

ネットではなく実生活でも遭遇することのある曖昧さ。真っ当に向き合うことなく、回避してみたい。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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「(曖昧さ回避)」を見つめて

まずは「(曖昧さ回避)」の提唱者でもあるウィキペディアのそれを改めて観察してみよう。
意外なことが書いてある
意外なことが書いてある
例えば「ジャミラ」の項。私の場合ジャミラと聞いて一番に思い浮かぶのはウルトラ怪獣だが、解説の冒頭にあるのはアラブ系の女性の人名とのこと。

そう言えば怪獣のジャミラも元々は宇宙飛行士だったはずだ。続きを読むと、「アラビア語で『美しい』という意味。
アラビア語で「美しい」(こちらの記事より)
アラビア語で「美しい」(こちらの記事より)
あのような姿のジャミラの名前にこんな意味があったなんて。曖昧さと出会うことで、予想外の知識を得るパターンだ。
加速する曖昧さ
加速する曖昧さ
こちらは「あげまん」の項。個人的にはなんとなくモヤモヤする言葉。

隠語や映画、これはわかる。続いて「揚げ饅頭」もここに載ってくるのかと思わされて、さらには「揚げまん棒」。なにそれ。

想定以上の曖昧さ。回避なのに、言葉の深い森に入るようなイメージ。これも「(曖昧さ回避)」の味わいだ。

日常生活での曖昧さ回避を実践

ネット上ではなく、日常生活でも曖昧に思える言葉に出会うことがある。例えばレシピに出てくる「塩少々」。類似語として「塩ひとつまみ」もある。

調べてみると、これには定義があった。
塩少々
塩少々
塩ひとつまみ
塩ひとつまみ
「塩少々」は人差し指と親指でつまんだ量のことで、約0.6gほどだそうだ。「塩ひとつまみ」はそこに中指を加え、3本指でつまんだ量。約1gであるらしい。

少し賢くなった気がしてくる。こうして調べることで、曖昧さを回避できることもある。

ただ、そうではなく、もっと出会い頭に遭遇する曖昧さもあるだろう。
うわっ、曖昧さだ…
うわっ、曖昧さだ…
例えば会議室の机に曖昧さが乗っている場合がそうだ。輪郭がはっきりしていて存在感もあるが、太字でそう書いてあるだけあって曖昧だ。
これが曖昧さか…
これが曖昧さか…
ここは回避しておきたい
ここは回避しておきたい
あぶない!
あぶない!
よし、回避オッケー
よし、回避オッケー
正体の知れない不気味さをたたえたまま、そこにあり続ける曖昧さ。ここは安易に触れることなく、ほどよく距離を取って回避しておきたい。
油断するな!
油断するな!
ぎりぎり…通れるぞ
ぎりぎり…通れるぞ
床に落ちている場合もそうだ。壁と曖昧さの間は、ちょうど人ひとりが通れる幅がある。これならなんとか曖昧さを回避することができる。
なんかいる
なんかいる
ここまでのは直置きタイプの曖昧さだったが、二足直立型の曖昧さもある。
曖昧さんだ!
曖昧さんだ!
回避できるかな…
回避できるかな…
こいつ、動くぞ!
こいつ、動くぞ!
胸にそう書いてあるだけあって、いかにも曖昧そうな表情をしている。今回もうまく脇を通って回避したつもりだったが、箱タイプと違って、移動してくるではないか。
なんとか回避できただろうか
なんとか回避できただろうか
ただ、曖昧さだけあって、移動速度はそれほどでもない。曖昧さのイメージ通りに、敏捷性は高くないようだ。大丈夫、落ち着いて逃げれば十分に回避できる相手だ。

こちらの動きを見てあきらめたのか、元の場所に戻っていく曖昧さん。よし、回避成功だ。
うわーっ!
うわーっ!
安心していたら、目を疑う展開が待っていた。曖昧さんが増殖しているではないか。いつの間にか3倍化していた曖昧さ。
目つきも虚ろな曖昧さん2号
目つきも虚ろな曖昧さん2号
矛盾を孕む曖昧さん3号
矛盾を孕む曖昧さん3号
同じ曖昧さんでも、よく見るとそれぞれに個性がある。2号はいかにも曖昧だし、3号は曖昧を名乗ってるのにはっきりした表情に逆説がにじんでいて不安だ。

曖昧だけに、ますます捕らえどころがない。何を考えているのかわからない。
合体したり
合体したり
フォーメーション組んだり
フォーメーション組んだり
意外と仲もよさそうな曖昧さんたち。一体化したかと思うと、楽しく揺さぶりをかけるような動きも見せてくる。自由自在に姿を変えられるようだ。
あわわわ…
あわわわ…
まずい
まずい
あー
あー
基本的にはゆっくりとした動きの曖昧さんだが、3人もいるとさすがに逃げ道をふさがれる。すったもんだしているうちに、捕まってしまった。
何をする、やめろ!
何をする、やめろ!
ああああーっ!
ああああーっ!
うわーっ、曖昧だー!
うわーっ、曖昧だー!
完全に動きを封じられたところで、曖昧さん1号が曖昧さBOXをかぶせてきた。急に視界が曖昧になり、前も後ろもわからなくなる。
曖昧だよう
曖昧だよう
ひぃーっ
ひぃーっ
続けます。
よし、距離を取ったぞ
よし、距離を取ったぞ
うわっ!
うわっ!
箱を脱いで距離を置き、もう大丈夫かと思ったところで何か投げてきた。飛び道具を持っていたとは。なんとか回避して、床に転がったものを見てみる。
曖昧さだ!
曖昧さだ!
そこにあったのは、ボールタイプの曖昧さ。色づかいも書体もはっきりしているけど、書いてることは曖昧さだ。
攻撃の手を止めようとしない曖昧さん
攻撃の手を止めようとしない曖昧さん
数の圧力で守勢になる
数の圧力で守勢になる
回避ばかりはもう嫌だ
回避ばかりはもう嫌だ
受け止めてみせる!
受け止めてみせる!
どうにか回避しようと逃げ回るうちに、自分の心に変化が訪れた。回避、回避、そして回避。曖昧さを回避しようとするあまり、回避ばかりしていた自分。

それでいいのだろうか。曖昧さは回避するだけでなく、受け止めるべきではないのか?
ヒュー…
ヒュー…
スポッ
スポッ
いざ向き合ってみると、曖昧さんの放った曖昧玉は、手に吸い込まれていくように収まった。
なっ……!?
なっ……!?
曖昧さとばかり思い込んでいた手の中の物には、「誠実さ」と書いてある。それは、オネスティだ。
あ…
あ…
曖昧さん…
曖昧さん…
仲良くなったよ
仲良くなったよ

折り目正しく曖昧さ
折り目正しく曖昧さ

何かを象徴しているつもりは一切ない

世の中には幾多もの曖昧がある。それを回避しようとしていたら、それはいつまでも曖昧でしかないが、時にはそれと向き合うことで、何か大切なことが見えてくるのではないか。私が言いたいことは、別にそういうことじゃない。

いい年こいても、ふざけっこは楽しい。最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
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