変な初夢を見ました
初夢で、老人から「これは、壇蜜がにぎったおにぎりだよ」と言われて、僕はそれを受け取った。直接本人から受け取っていないのは、「金の斧銀の斧」的な話の展開だったからだと思う。
僕は、証拠もないのに「へぇ~、これが壇蜜のおにぎりかぁ~」と感心していた。それはとてもとても官能的なおにぎりのように、僕には映った。
そんな年初に見るには最高にいい夢だったのだが、悔やむべきは食べる前に目が覚めてしまったことだ。
壇蜜さんの壇は仏壇、蜜はお供えを意味するそうです
官能的なおにぎり
なぜそれを食べなかったのだろうか。壇蜜さんのおにぎりを手に入れるなんて、たとえ夢であってもそうそうあることではないだろう。
しかも、それがどんなおにぎりだったのか、細かいことは忘れてしまったのだ。たった一つのヒントはそれが官能的であること。
官能的なおにぎりって、どんなだ。
こんなふつうのおにぎりでは我慢できない
具はなんなんだろう。どんな形しているんだろう。だらしないおにぎりなのだろうか、それともキリッとしたおにぎりなのだろうか。
夢からさめても、僕の頭のなかは「官能的なおにぎり」のことでいっぱいだった。もう、作るしかない。僕は勢いに任せて米を買った。
コシヒカリよりゆめぴりかの方が官能的な気がした
サイズは小さい方がいい
大きさはどのくらいが官能的だろうか。サイズを変えておにぎりを握り、並べてみた。
実際に見るのと写真では印象が違うかもしれないが、僕はやや小さいくらいのおにぎりが官能的だと思う。握った人の細やかな手先を連想させるからだ。
少なくとも大きいのは食いしん坊が握ったっぽい
官能的な海苔の巻き方
官能的なおにぎりの、海苔の巻き方がどうなっているのか考えよう。海苔はおにぎりの服だ。
じゃあ裸にしてはどうかと思ったが、それはただの海苔のないおにぎりだ。なので、まず露出を増やそうと、海苔の面積を減らしてみた。
おにぎりポルノ
これは官能的を通り越して、卑猥ですらある。持ってるだけで警察が来そうだ。
僕はとっさに余った海苔を、違う方向に巻きつけた。
青少年の健全な育成をさまたげない範囲のおにぎり
これならおにぎり倫理委員会にも怒られない丁度いい官能具合だ。官能的おにぎりの海苔の巻き方は、このT字型に決定である。
しかし、もしかしたら……と思い、海苔を全体に巻いた後、ビリビリに破く、という過激なスタイルにも挑戦してみよう。海苔を服のメタファーだと考えると、所々破けているのも官能的なはずだからだ。
ビリビリと海苔をやぶく
かわいそうになった
やってみたところ、惨めなだけのおにぎりになった。
おにぎりの惨めな姿にエロスを感じる人はそうしたらいいが、僕にはちょっと理解できない。
官能的おにぎりの具ランキング
さて問題は、おにぎりの具である。
官能的なおにぎりの具は何だろうか。官能的な人は、おにぎりを握るとき何の具を入れるのだろうか。想像してほしい。
「そんな想像するのは嫌だ」という方のために、僕が想像した中でのランキングベスト4を発表します。
第4位 花らっきょう
花らっきょうの花ってなんですか
4位は花らっきょう。
コリコリとした食感と、甘酸っぱい味が官能的。おにぎりの具としては、ややパンチが弱いかもしれないところがマイナスと言えばマイナス。
第3位 メカブ
ふつうはおにぎりにはしない
ぬるぬるとした海藻、メカブは3位。
メカブはワカメの根本部分で、生殖細胞が集まっているのだという。説明はできないが、なんとなく官能的な要素が詰まっている気がする。
気になる本体のワカメの順位は7位だった。
第2位 あさりの佃煮
店で「これだ」と思った
2位に飛び込んだのはあさりの佃煮だ。
「飛び込んできた」というのは文字通り、僕が近所のスーパーで官能的なおにぎりの具になりそうなものを探していたら、目に飛び込んできたのだ。そのとき僕は「官能的!」と思った。
なんででしょうね。
第1位 卵黄
今でも捨てる前に躊躇する。
卵は命のかたまりだ。それをおにぎりの具に入れるなんて、そんな! しかも生のまま、卵黄だけより分けて!
やわらかい卵黄を、どうやって握るのか。そのテクニックを、「どうなっているんだろう」と想像させられてしまう。官能的だ。
そもそも夢のなかの話なので、こういう不思議があってもいいのだ。ただ実際に食べられないのが残念である。
圏外 直接的すぎるもの
逆に、だめだなあと思ったものも紹介しよう。
マカおにぎり
脅されているのか
牡蠣、うなぎ、マカなど、精力に関して直接的すぎる具材はどうかなと考えてみた。官能というより栄養の押しつけのようで、あまり想像力は働かなかった。
そんなに本気でどうするのだろうか。うまく匂わす程度にしてほしい。
その他の官能的要素はないか
味や見た目以外の要素で、何か官能的なアピールはないだろうか。こんなのを考えてみた。
「おにぎりは転がすと旨味が増すのでたくさん転がしておきました」と置き書きがある。
みかんは叩くと甘みが増すらしいが、これは完全におまじないである。はたしてここで言われている旨味とは一体何なのであろうか。
そんなことを言われたら、僕は官能的に考えてしまう。
たくさん転がしちゃったんですか……。
こんなのはどうだ
さらに官能的オプションとしてこれはどうだろう。
食べてみると一見なんの変哲もないおにぎり。
おにぎり、おいしいなあ
う~ん、お腹いっぱい
食べ終わると、そのタイミングでアラーム音が鳴るのだ。この音は…。
お、お風呂がわいてる!
お風呂が沸いている!
ごはん、おふろ、そして続くのは、めくるめく官能の世界。そんな想像をさせるではないか。それか実家。
考えれば考えるほど、わからなくなってきた。
夢見る官能的おにぎり
とにかく官能的なおにぎりの夢は、変だったけどいい夢だった。目が覚めて「これは最高の年明けだ」とすら思えたほどだ。
そんな夢の官能的おにぎりを追い求めて、いろいろ考えてみたが、何もはっきりとわかったことはない。
しかしそれは、まったく無知の手探りの状態から、多少の情報を手に入れた上での困惑への進歩だと言えないだろうか。それが2013年における小さな第一歩としたい。(小さすぎる。)