特集 2011年10月12日

戸隠の里のエクストリームそば食いスポーツ

このひと箸から、わたくしの2時間に渡る闘いが始まったのです。
このひと箸から、わたくしの2時間に渡る闘いが始まったのです。
以前そばについて記事を書いたところ「大坪さん、そんなそば好きなら2時間20軒食べ放題のお祭りがあるんですけど」という情報を教えてもらった。しかも場所は日本三大蕎麦どころである長野県は戸隠。前書いたそばの原稿といっても「100円で食べれるそば」というグルメや食通とは無縁な自分ですが、20軒食い放題と聞けば燃えるよ!しかし体験してみると予想以上の戦略と体力、それにもちろん健啖さが必要とされるスポーツだったのです。
1972年佐賀県生まれのオトナ向け仕事多数のフリーライター。世間の埋もれた在野武将的スゴ玉の話を聞くのが大好き。何事もほどほどに浅く広く、がモットー。

前の記事:机も!椅子も!ダンボール製のカフェ

> 個人サイト service&destroy

霧をまとった幽玄なるそばの地へ

友人から情報いただいたのは「戸隠そば祭り」。第42回というからずいぶんな歴史あり。ただ「祭り」といっても、ある一日に神輿かついでワッショイ的なものではなく「新そば献納祭」「半ざる食べ歩き」など、様々なそば関連のイベントがある期間全体を指すようです。
現地でもらったパンフレット。
現地でもらったパンフレット。
注目はこれだ。「大盤振る舞いそば」!
注目はこれだ。「大盤振る舞いそば」!
それは振る舞われたい!と言いたくなるこのタイトル。9月30日の6時半から2時間のあいだ、戸隠にある20軒のそば屋が食べ放題状態になるらしい。必要なのは参加パスとなる「そば猪口」と「マイ箸」を購入しておくこと。

とりあえず情報をくれた友人に猪口&箸をゲットしてもらうようにお願いする。しかし「限定2000個」ってことは、2000人近くがそばと猪口を両手に持って街中をウロウロしてるってことだろうか…。絵に描いたような食いしん坊ストリートだな、そりゃ。

そして当日。現地で友人と合流する約束をして、さっそく長野へ。大宮からだと軽井沢、次いで長野だから早いすな。
どうでもいい情報ですが、長野初上陸。
どうでもいい情報ですが、長野初上陸。
何の考えもなく朝飯はこれ。
何の考えもなく朝飯はこれ。
そうだ、夜に麺いっぱい食うんだよな…。まあ予行練習ということで気にしない。

それにしても、事前に友人からもらった情報を手がかりに戸隠を調べてみたのだけれど、いまいち戸隠周辺の距離感が掴めない。20軒といっても密集しての20軒か、車移動が必要なのか?現実的には2時間でどれくらい店を回れるのか?食えるのか?のんびり味わうつもりはないですよ、こちとら。
とか考えてるうちに到着。
とか考えてるうちに到着。
駅前にもう戸隠の名を冠したそば屋が。
駅前にもう戸隠の名を冠したそば屋が。
目指す戸隠は長野駅から車で一時間弱。もともと山岳信仰が栄えた戸隠は古くから修験者が集まり、その食料としてそばが戸隠でメジャーになったのだとか。(wikipediaより)そば以外にはスキー場で有名です。あと忍者。

駅から降りたロータリーで、今回のイベントを教えてくれたユザワくんと合流。かつて地下イベントで共演していた仲間で、当時は半裸でロケット花火を受け止めたり、卒塔婆でスキーしたりとヤンチャの限りを尽くしてましたが、今は長野で観光関連のお仕事にお勤め中。
今回共にチャレンジするユザワくん。
今回共にチャレンジするユザワくん。
時間あるので善光寺へ。予想以上にデカくてアガる。
時間あるので善光寺へ。予想以上にデカくてアガる。
「これ何かに似てません?」あっ、奈良の…。
「これ何かに似てません?」あっ、奈良の…。
地元も近いユザワくんだが、大盤振る舞いそばは話は聞いたことあっても参加したことはないという。戸隠自体も基本的には観光地というのもあってそれほど地元の人がそばを食いに行く、という場所でもないんだそう。

ま、今回はどちらもビギナーでチャレンジャーというわけだ。善光寺をぶらりとしたあと、車の中であらためて戸隠の地図をチェック。さてどの順で回りますかね…。
今回の参加店ガイドマップ。
今回の参加店ガイドマップ。
分かりやすくしてみました。9~18が集中してる。あとは車移動じゃないとムリ?
分かりやすくしてみました。9~18が集中してる。あとは車移動じゃないとムリ?
ちなみにユザワくんが聞いた話だと、参加した人が回れたそば店の数は「平均5軒、多くて7軒」くらいだとか。「あと量もどんなもんだろうねえ」「食べ放題だからやや少なめじゃないですか」と未知のイベントに向け想像を膨らます男ふたり。そばドリーミン。
とりあえず7軒7枚目指して戸隠へゴーだ。
とりあえず7軒7枚目指して戸隠へゴーだ。
長野市中心部からどんどん山へ。
長野市中心部からどんどん山へ。
進むたびにホラー映画ぽい光景に。
進むたびにホラー映画ぽい光景に。
それなりの都会である駅前から、わずか車で数分走るだけですぐ山際になる長野市。しかも視界は霧でうすぼんやり、さらに沼にペンションと『13日の金曜日』のクリスタルレイク的な感じだなあ…。でも戸隠なんだから忍者だよな、どっちかというと。目つぶし投げてドロンドロンの世界。

そんなファンタジーさを長野に感じつつ車で向かうと、一時間弱で一軒目の大盤振る舞いそば実施店が見えてきた。
ペンション風なそば屋「たんぼ」さん。我々を待ち受ける一の陣。
ペンション風なそば屋「たんぼ」さん。我々を待ち受ける一の陣。
まだイベント開始まで時間もあるので、戸隠一帯を偵察してみますか。しかしこの偵察が大事と思えるほど戦略(というか回る順番)が大事なのがこの大盤振る舞いそばなのに、この時は気づいていなかった…。
ちなみに昼も取材兼ねてとはいえ麺でした。美味いよヤキメン。
ちなみに昼も取材兼ねてとはいえ麺でした。美味いよヤキメン。
いったん広告です

まだ○時間前なのに行列ですか!

さて現地到着ということで、まずは地図を参照しながら大盤振る舞いそば実施店の位置関係を確かめる。実施店は20軒だけど、それ以上に戸隠にはそば屋はあって、どこでも食べ放題というわけではないよう。

普通に下から順番に攻めていってもいいけれど、「食べ放題」と言っても2時間という制限がある上に、店によって「予定食数」が決まっているだけに、その数が終われば閉店。予定数が少ないところから回るのが順当なんだろうなあ、ここは。
中心部から外れの店は大型店多いが、駐車場は大丈夫か?
中心部から外れの店は大型店多いが、駐車場は大丈夫か?
チェックしつつ戸隠のそば屋密集地帯に。
チェックしつつ戸隠のそば屋密集地帯に。
霧の中にぽつり、またぽつりと現れるそば屋を通り過ぎ、10軒くらいのそば屋が密集している主戦場ともいえる地帯へ。この一帯はどこも歩いていける距離なので、やはりここをスタート地点に回るのが一番効率良さそうだなあ…と思ったところの目の前に現れたのが行列!
雨&車中からなのでボケボケですが。鳥居の右足下に…。
雨&車中からなのでボケボケですが。鳥居の右足下に…。
傘持った人たちがもうずらり。え、開始何時間前だっけ…。
傘持った人たちがもうずらり。え、開始何時間前だっけ…。
えーっと、今3時半だから開始3時間前でもう行列が出来てるのか…。さすが2000個もの参加権を売るお祭り、こりゃちょっと舐めてたかもしれん。とりあえず一番上の店まで偵察してから、あらためてこの周辺の人気店をチェックしてみよう。
ということで一番上のそば屋周辺。
ということで一番上のそば屋周辺。
忍法資料館見たかったけど、それどころでないでござる。
忍法資料館見たかったけど、それどころでないでござる。
さて地図見つつお店の配置をチェックしてみたけど、やはり密集してる中央の10軒以外は車で移動しないとどうにもならない距離っぽい。一日食べ放題なら腹ごなしに歩きながらでもいいけど、2時間だからねえ。
離れた店の方が空いてるだろうが、ちまちま移動するヒマはない。
離れた店の方が空いてるだろうが、ちまちま移動するヒマはない。
先に聞いた「回れるのは多くて7軒」という話から考えても、中央の密集地帯をどれだけクリア出来るか?が大事だろう。 ということであらためて密集地帯を徒歩で偵察。店の位置関係を確認しておきたい。

さっそく地図中央の密集地帯駐車場に車を停めて降りてみた。まずはさっきの行列を見に行ってみよう。
うわー、20人以上はいる。3時間前ですよ!
うわー、20人以上はいる。3時間前ですよ!
行列の元は、人気店の「うずら家そば店」さん。
行列の元は、人気店の「うずら家そば店」さん。
ユザワくんから何軒か聞いてた人気店のうちのひとつ。とはいえこの時間からとはねえ…。とりあえずここは断念せざるを得ないか。

名所でもある戸隠神社の目の前に並んだ行列。木製の鳥居なんか珍しいから写真撮りたいけど、どうしても行列も入っちゃう。
威厳ある木製の鳥居。そしてそばの行列。
威厳ある木製の鳥居。そしてそばの行列。
もう何の記念写真かわからない。
もう何の記念写真かわからない。
ちなみにこの戸隠の一帯、神社も多いことから最近は「パワースポット」としても売り出してるのだとか。スキー・そば・忍者・パワースポット…なんでもありだな!あとはアニメタイアップだ。
自販機の売りもパワースポット。
自販機の売りもパワースポット。
パワー忍者って何なんだろう、もう。
パワー忍者って何なんだろう、もう。
それはともかく、人気店の位置を確かめにぐるぐる回ってみると、上の店だけでなく行列がチラホラ。ベテラン勢は早くから押さえるんですなー。基本的に行列は嫌いだけどもそうも言ってられない。ヤな行列でも旅とトイレだけは別!
2軒並んだこちらもそれぞれ行列。早いわー。
2軒並んだこちらもそれぞれ行列。早いわー。
あらためて地図をチェックしてみて、ユザワくん曰く「人気店」「100食限定」、それでいて場所が奥まってるせいか、まだ行列が出来てないお店があった。これは好機!とそこを第一歩とすることにした。のれんも風格ある「しなの屋」さんだ。
まだ店内は真っ暗。奥で仕込み中です。
まだ店内は真っ暗。奥で仕込み中です。
「100食で終了」の張り紙が。
「100食で終了」の張り紙が。
場所は11番。上に向かって食べて行きたいが…。
場所は11番。上に向かって食べて行きたいが…。
お店の方に「待たせてもらっていいですか?」と確認したら「どうぞどうぞ」と椅子まで出してもらった。先着特典!まだまだ2時間近くあるのだけど。

待ってる間にユザワくんから渡されたのが今回のチケットでもある「そば猪口」と「マイ箸」。
信州戸隠に伝わる鬼のイラスト入り。もちろん持ち帰りOK。
信州戸隠に伝わる鬼のイラスト入り。もちろん持ち帰りOK。
箸を首にかけるとロックフェス気分。
箸を首にかけるとロックフェス気分。
とりあえず2時間近く待機。しばしユザワくんに長野の観光コネタを聞きつつ待つことにする。その後は、同じ2時間でも電光石火の2時間となるだろう。ただそばを食い続けるだけとはいえ。よっしゃ食うぞー!まずは待つぞー!
いったん広告です

大盤振る舞い開始から5分ペースで食う男

坂だけにお店の位置確認でウロウロしてた時はTシャツ一枚でちょうどいいくらい汗をかいたけれど、さすが山だけに夕方になると冷えてくる。5時、6時…を過ぎて長袖を着直した頃、お店の灯りがついた!ついに大盤振る舞いタイムがやってきたようだ。
イベント開始30分前!
イベント開始30分前!
名前を書いて順番をキープ。
名前を書いて順番をキープ。
気づくと20人以上行列が出来ていた。
気づくと20人以上行列が出来ていた。
臨戦態勢!常在戦場!そんな意気込みの人たちが自分らの後ろにずらり。上写真は明るめで撮ってるけども、実際は真っ暗にごそごそと行列がある感じ。向いの一軒家の子供が怪訝そうに覗いていた。毎年の事とはいえ、ザワザワ感が伝わるのだろうな。

そして6時半、ついに開店!先に書いたリストの順に厨房に並び、そばを受け取っていく。待ってましたよー!
大盤振る舞いそば、スタート!一番手だぜー。
大盤振る舞いそば、スタート!一番手だぜー。
こちらで名前を言ってそばを一枚もらうスタイル。
こちらで名前を言ってそばを一枚もらうスタイル。
さて最初に書いたとおり「食べ放題だけど、そばの量ってどんなもんだろうね?」というのが始まる前に感じてた疑問。戸隠そばは「ボッチ」という束の単位が特徴だそうで、通常の量が「5ボッチ」、半そばが「3ボッチ」らしいので3ボッチかな、と思ってたのだけど…。
5ボッチ来たー!5束になってるのが分かるでしょうか。
5ボッチ来たー!5束になってるのが分かるでしょうか。
つゆは各自テーブルのを注いで食べます。
つゆは各自テーブルのを注いで食べます。
しっかりフルサイズ!どうやら食べ放題用のミニサイズ・ハーフサイズとかではないようだ。ケチってないよ!ともかく2時間近く並んで待った、大盤振る舞いそばのオープニングをかざるしなの屋のそば。もう慌ててそば猪口につゆを入れ、ズルズルっと口にかっこむ…。美味い!

ほどよい噛みごたえとズルズルとツルツルの間のような食べてる時の充実感。2時間待って良かった!この後2時間こんなそばを食べ続けれるなんて…と心の中でそばの風味を噛みしめていたら…
美味いわー。待っただけあるわー。
美味いわー。待っただけあるわー。
ズルズル…あれ?向いが消えた?
ズルズル…あれ?向いが消えた?
そばを受け取り、席についてからわずか3分!ユザワくんがもう食べ終えて外に出ようとしてた。予想以上の超・早食いペース!レースと聞いてはいたけど800m走と思ったら100m走だった、みたいな。

やっと席についたばかりの2番手の家族グループを横目に残ったつゆをバケツに捨て、ダッシュするユザワくん。待ってー!
エイトマンばりのフォームで走るユザワくん。
エイトマンばりのフォームで走るユザワくん。
もう次の店へイン寸前。早いよ!
もう次の店へイン寸前。早いよ!
慌てて残りのそばを片づけて追いかける。こりゃ味わってメモる暇なんてぜったい無いぞ…。ということで、これ以降の店の感想は全部「美味い」です。詳細まで書いてたら7軒は狙えない!

先行するユザワくん、まず1軒目の「しなの屋」さんのすぐ隣「戸隠食堂」さんを狙うも行列で断念。その先で席数多めの「戸隠観光会館」さんに向かう。
観光会館さんに無事到着、そばゲット!これも5ボッチ。
観光会館さんに無事到着、そばゲット!これも5ボッチ。
そば猪口と箸は各自手元にあるので、基本的には名簿に名前を書く→そばを受け取る→猪口につゆ)を入れる→食べる、という順番はどこも変わらない。ただ薬味が取り放題だったり、適量決まってたり。

さっきのしなの屋さんに比べてやや柔らかめで食べやすい観光会館さんのそば。麺もやや細身だし。ただ、食べやすい…ということはまたユザワくんはガツガツ食って次に行ってしまうということだ!急げ!
そばを追ってるのか、そばに追われてるのか。
そばを追ってるのか、そばに追われてるのか。
あ、もうラスト一口じゃないすか。
あ、もうラスト一口じゃないすか。
予想通り飛び出していくユザワくん…と思ったら軽い作戦会議。「二手に分かれて店の様子を見て、電話で連絡取り合って空いてる方に並びましょう!」は、はい!

リーダーシップを取られまくりながら、次いで自分は昼に並んでる姿を見た2軒並びの店へ。「ゆたかや」さん「二葉屋」さんだ。ただもはや20分経過、2杯目・3杯目狙いが行列を成している。
しかし「二葉屋」はこの行列。
しかし「二葉屋」はこの行列。
「ゆたかや」もなかなか。
「ゆたかや」もなかなか。
得に「二葉屋」は100食限定というのもあって列が長いようだ。これはどっちもどっちか…と思ったところに、ユザワくんより連絡あり。先ほどパスした「戸隠食堂」さんが比較的空いてるとのこと。
ということで戸隠食堂。ここまで急ぎすぎて店頭とか撮るの忘れてたよ。
ということで戸隠食堂。ここまで急ぎすぎて店頭とか撮るの忘れてたよ。
撮ったといっても、えらく斜めってますが…。ともかくここで3軒目!いまさらですが、ホント戸隠ってざるにボッチ盛りが基本なんですねー。こちらの食堂もコシがしっかり。3食目でもツルツル入るなー。
戸隠食堂のそば。ネギもわしわし入れて食べたい。
戸隠食堂のそば。ネギもわしわし入れて食べたい。
民芸調のお店でいろりに当たりながら…そんな風情を味わう間もなく。
民芸調のお店でいろりに当たりながら…そんな風情を味わう間もなく。
3軒食べたところでちょうど7時過ぎ、30分経過。このペースなら12軒も可能かも!?(地理的条件、体力の限界を抜きに考えて)ともかく密集地帯をあらかた攻めるべく、店の混み具合を確かめながら果敢に行列に加わっていきます。
リードするのはユザワくん。いやユザワ先輩。
リードするのはユザワくん。いやユザワ先輩。
さっき行列で回避した「ゆたかや」へ。
さっき行列で回避した「ゆたかや」へ。
ただ30分経過すると、お客さんたちの2軒目・3軒目狙いによって行列の度合いが変わってくるだけでなく、既に仕込みそばが終わり始める店も…。100食限定のお店なんかそろそろ終了のお知らせだ。
隣の「二葉屋」さんは既に終了!わずか30分。
隣の「二葉屋」さんは既に終了!わずか30分。
最後方のお客さんが並ぼうとする客を「もう終わったそうです」と制していた「二葉屋」さん。100食限定だとわずか30分で終了かー!ということは最初我々が行った「しなの屋」さんもそろそろ終了かな。

一方で、となりの「ゆたかや」さんはまだ余裕あり。だって300食の用意だもの。安心の準備具合。
慌てすぎてちょっと箸つけてから撮影しちゃいました。
慌てすぎてちょっと箸つけてから撮影しちゃいました。
「ゆたかや」さんは今までの3軒に比べるとつゆが全然違う!甘いというか濃いというか。味オンチの自分でもこれだけ立て続けに食べれば、店ごとに味が違うのは分かるもんですが、このつゆの味は印象的だったなあ。

ちなみにこのお店は4人-4人の8人がけテーブルだったのですが、対面に座ったのが若いカップルと女性2人組。
こちらはそばや食べてるお互いの写真撮りまくる男2人組。
こちらはそばや食べてるお互いの写真撮りまくる男2人組。
楽しそうにそばを味わう2人組×2に対し、まさに「ガッつく」というにふさわしい我々、男2人組。合間に写真撮ってるのも含めて「何してんの、この人?」だったろうなあ…。参加姿勢が違いすぎる!こっちリア充感ゼロ!ちょっと切ない。
そばコロッケバーガーも気になるけど、またいつか。
そばコロッケバーガーも気になるけど、またいつか。
並んではマッハで食い尽くす我々。全体的に見たら男同士客も多かったのだけどね。予想通り4軒目から行列が停滞しだし、「ゆたかや」さんを出たあたりで7時半。残り1時間でどれだけ食べれるか?
戸隠の街を駆け抜ける俺たちそばランナー。
戸隠の街を駆け抜ける俺たちそばランナー。
いったん広告です

7枚の壁は越えたいよゲフー

さて5軒目に入ったのは「岩戸屋」さん。近場でも最初に行列を目撃した「うずらや」さんは難しそうだし、「二葉屋」「そば苑」は既に予定枚数終了。当然空いてる店に客は集中するわけで、徐々に選択肢は狭まりつつある。

その点300食用意のこちら「岩戸屋」さんは余裕あり!まだまだ美味しいそばを用意してますよ、と白衣のお姉さんたちが素敵な対応。
店頭で手打ちの実演もしてました。
店頭で手打ちの実演もしてました。
そばの風味がしっかりした味。5杯目でも十分味わった!
そばの風味がしっかりした味。5杯目でも十分味わった!
そういえば戸隠そばの特徴のひとつはネギ・わさびと共に添えられた辛み大根。立て続けに食べてる胃に優しい効果がある…気がする。お店によっては取り放題のところもあったなあ。美味しいとはいえ、多少の味アレンジはしておきたいのでいいアイテム。助かります、ジアスターゼ。
この大根が意外とデカい、と思う。
この大根が意外とデカい、と思う。
ユザワくん、当然完食。
ユザワくん、当然完食。
坂の上にある岩戸屋から坂を下りつつ次の店へ。各お店の混み加減、それにそろそろお腹満腹具合もあって、最初のころの「ダッシュで次の店へ!」といった勢いはやや失われてきた我ら。

他のお客さんもダッシュでもなく、そば猪口持ってウロウロしている。奇妙な光景だなあ。「ユザワくんまだ大丈夫?」「あ~まだイケますけど…」その声にやや自信が無くなってきたようにも思えるが…。
どんどんユザワくんの背中が近くなってきた。
どんどんユザワくんの背中が近くなってきた。
そして6軒目!「そば処仁王門屋」さんは店構え自体も比較的新しいお店。ダイニング的なテーブルでそばをいただきます。
密集地点で入れそうな店ももうわずか。
密集地点で入れそうな店ももうわずか。
ピンと貼ったツヤあるそばで分かる通りのコシあり系。
ピンと貼ったツヤあるそばで分かる通りのコシあり系。
まだまだ食えます、食いきります!
まだまだ食えます、食いきります!
まだ追いつかれてなるか!
まだ追いつかれてなるか!
もはやこの頃になるとスポーツ、いやエクストリームスポーツばりのそば食いになってたのが正直なところ。もちろん美味しいんですけどね!食感を「味わう」というよりは「確認」という感じかもしれない。

たしかに「味わう」のは5軒くらいが限度かもなあ。しかし俺たちは行く!そして目標の7軒目である「山口屋」さん。お店は隣だから近いのがありがたい。
民芸品なども販売してるお店です。
民芸品なども販売してるお店です。
地元ネタからなぜか武術のDVDまで
地元ネタからなぜか武術のDVDまで
そしてそばも。500食用意と今回の参加店では最多。
そしてそばも。500食用意と今回の参加店では最多。
時間は8時過ぎ、残り20分。とりあえずコレを食べれば「そばチャレンジでは多い方」らしい7軒には並ぶ。ノルマ気分とはいえ、美味しいからこそ食べれるのだよなあ。ありがとう戸隠!がんばるよ戸隠!

と、思ってツルツルとすすってた所にユザワくんから運命のひとことが…。あれ?もしや…。
「すいません、ギブアップしていいすか?」
「すいません、ギブアップしていいすか?」
あんなに最初飛ばしてたのに!それが響いたのか、単にお腹いっぱいかどうかは分からないが(たぶん両方)、6枚半でユザワくん終了。自分はなんとか食い終えた。たしかに上から下まで、パンパンに詰まった内臓の位置関係がそばで感じとれそうな気がする。

これでとりあえず密集地点で行けそうなところはやり終えた。あとは要・車移動…。お腹いっぱいでつまって早々のところ悪いけど、ユザワくん移動お願いします!車両班よろしくだ。時間は残り15分!
7軒を終えて、時間的にラスト一杯を求めて…。
7軒を終えて、時間的にラスト一杯を求めて…。
最後は「千成」さん。
最後は「千成」さん。
最後のこちらの店についたのは8時20分。残り10分、ちょうどいい〆だ。お店もここまでの密集地帯の喧噪に比べるとどこかおっとり。出てきたそばもしっかりそば湯までついていた。ある意味、勝利の美酒!

というと聞こえはいいけど、この頃には腹はパンパン。落語の「そば清」の話が参考になるというか!いっそ溶けてしまいたい。
最後にふさわしい、そばとつゆとそば湯の小宇宙。
最後にふさわしい、そばとつゆとそば湯の小宇宙。
これが二時間の闘いの終わり…。
これが二時間の闘いの終わり…。
このそば湯を飲み干して全てが終わる…。
このそば湯を飲み干して全てが終わる…。
食べ終えたのは大盤振る舞いそば終了時間とほぼ同じ8時半。エンディングは何かあるのかな?夜空にはどでかい花火が鳴ったり…ということもなくイベントは「何となく終了」。しかしお腹にも精神的にも満足感があったのは事実。満ち足りた、まったく満ち足りすぎだ!
8枚そば食べたー!食いしん坊の歓喜。
8枚そば食べたー!食いしん坊の歓喜。
こういう食べ方は邪道食いなのかもしれませんが、食べ放題=時間制限である以上挑むしかねえ!でもホント普通に食べれば間違いなく美味かったですよ、どれも。来年も参加するなら、さらに効率よく美味く食えるルートも思いつくのだけど…。戦略で考えてしまう、恐るべき大盤振る舞いそば!これは間違いなくスポーツです。

しかし帰ってきて翌々日には立ち食いそば食ってたんだから、ほんとに飽きないですね、そばって。

旅館というかお寺が多い。
旅館というかお寺が多い。

時間があれば宿坊も

来て初めて知りましたが、戸隠周辺って「宿坊」(宿泊可能なお寺)がいっぱいあるんですね。善光寺の周りも多かったなー。長野は宿坊が身近な土地なんですかね。近場の人は泊まらないでしょうが。

ちなみに戸隠そば祭りは「大盤振る舞いそば」は終了しましたが、11月いっぱいまでいろいろイベントあるようなので興味ある方はぜひ。うまいゾ!
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ