短い記事 2021年9月8日

「ミラクルフルーツ」でキウイが高級フルーツの味になる

ミラクルフルーツ。

よくバラエティ番組なんかで、芸能人の方が食べて「レモンが甘ーい!」とやっている、アレ。
なぜいつもレモンなのだろう。他のフルーツでもいいのではないか。というか、ミラクルフルーツ→レモン!という刷り込みのせいで、他のフルーツが美味しくなる可能性を忘れてはいまいか。グレープフルーツ、キウイ、パイナップルでも試してみた。

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの花屋。花を売った金で酒を買っている。

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ミラクルフルーツというのは、酸っぱい食べ物が甘く感じられるようになる、不思議な実である。

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なぜかスーパーで売っていた。5個で1,000円。

仕組みを調べたところ、口の中が酸性になると、ミラクルフルーツに含まれる「ミラクリン」という成分が舌の甘味受容体と結びつくのだそうだ。「ミラクリン」という名前のファンシーさが気になって全く頭に入ってこない。

ミラクルフルーツの定番といえば、レモンを食べて「甘ーい!」とやるやつ。
酸っぱい食べ物の代表としてレモンを使うのは理解できるが、逆にレモン以外のフルーツを試食しているのを見たことがない。酸味を甘く感じられるのであれば、他のフルーツだって「糖度○度以上!」という謳い文句の高級フルーツに変身するのではなかろうか。

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さっそく近所のスーパーで買ってきた。グレープフルーツ、キウイ、パイナップル。ついでにお試し用レモン。酸っぱいフルーツ盛り合わせ。
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食べる前にミラクルフルーツをしばらく舐める。クコの実のようなほのかな甘さで、これ自体がわりと美味しかった。
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まずは定番、レモンから試食。

甘…酸っぱ……うん?
甘いというか、「あるべき酸味がない」と言う方が正確だ。
酸味の刺激は舌と喉に確かにあるのに、じゃあ酸っぱいかと言われるとそんなことはない。食べられるが、美味しいかと言われるとちょっと考えてしまう。

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柑橘類つながりのグレープフルーツならどうだろう。

一口食べて確信した。ミラクルフルーツの本領発揮は「元からちょっと甘いフルーツ」だ。
加糖されているジュースのような甘さで、知らないフルーツを食べている気分。口に入れた瞬間の雰囲気や、甘さの加減はライチっぽい。

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続いてキウイ。まだちょっと固い。

笑ってしまうほど甘い。若いキウイのシャクシャク感に、ミラクルフルーツが作り出す完熟のような甘さがあいまって、ほとんど高級フルーツの味わいだ。1個500円の高級キウイと言われたら信じるかもしれない。
気付いたら完食していて、「え!ない!」と驚いてしまった。美味しいもののデメリットは、食べるとなくなること。

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最後にパイナップル。甘そうな見た目だが、そのまま食べると十分に酸っぱい。

もはやスイーツの域。ちょっと疲れるくらい甘い。
甘いからどんどん食べてしまうが、舌がビリビリしてきて「本当はそこに存在している酸味」のことをを思い出す。食べすぎると口の中と胃が危ないかもしれない。

このあと試しに黒酢を飲んでみたところ、「甘くなる」からといって何もかも「うまくなる」わけではないなと思った。ミラクルフルーツの本領発揮は「元からちょっと甘いフルーツ」。

現場からは以上です。

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