特集 2023年11月10日

鮭の卵「イクラ」ではなく鮭の精巣「白子」を食べる

鮭という魚がいる。焼いても生で食べても美味しい魚だ。お寿司でも人気で、中でもイクラは特別な存在だ。イクラ丼などはどこに行っても見かけるし、値段も高い。イクラが乗っていると高級感も感じる。

ただ鮭にはもちろんメスもいれば、オスもいるわけで、イクラはメスからしか取れない。オスは卵を持たない。代わりに白子を持っている。しかし、鮭の白子はあまり聞かない気がする。ということで、鮭の白子を食べてみたいと思う、美味しいのだろうか。

1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

鮭の遡上

秋に北海道の川を見ていると大きな魚が泳いでいることに気がつく。これが鮭だ。厳密にはシロサケということになる。川で生まれ、やがて海に降りて、1年から7年半ほどを海で回遊して過ごす。そして、産卵のために生まれた川へと戻ってくる。 

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北海道の川を見ていると、
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鮭がいるのがわかります!

鮭の稚魚は5mmほどと非常に小さい。イクラを見るとわかるけれど、そんなに大きくは生まれないのだ。しかし、海で生活して、川に戻ってくる頃は70cmほどになっている。そして、産卵して死ぬことになる。

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大きい!!!

その時期に川を見ていると鮭が死んでいることもわかる。ぷかぷかと浮いていたり、陸地に流れ着いていたり、死骸を鳥がついばんでいたりする。本州でも鮭が遡上している川はあるけれど、北海道はその辺の川でも遡上しているので最初に見た時は驚いた。

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産卵後の鮭は全て死にます
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鮭に捨てるところはない

鮭は捨てるところがないと言われている。頭は「氷頭なます」や「かぶと煮」、腎臓の塩辛は「メフン」と呼ばれ、胃と腸の塩辛は「チュウ」と呼ばれる。心臓も醤油や砂糖で甘辛く味付けされ缶詰で売っていた。肝臓も和物などで食べられる。 

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皮はこれですよね!

皮は食べることができるし、上記の写真のようにブーツにしてもいい。身はもちろん食べられるし、イクラは誰もが知る高級食材だ。ここに書いたのが鮭の部位の主な食べ方ではないだろうか。好みはあるけれど、どの料理も非常に美味しい。

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鮭です!

あれ、と思う。白子は? と。飲食店に入り、鮭三昧と書かれた丼を注文した。確かに鮭三昧だった。鮭を焼いたもの、刺身、イクラ、その上には鰹節ではなく、鮭節まで乗っていた。実に美味しい一品だった。

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鮭三昧!

ただ、と思う。白子はどこにもなかった。メニューを見ても鮭の白子は載っていなかった。白子自体を食べることは珍しくない。フグやあんこうの白子は高級食材だ。ただ鮭の白子となるとあまり聞かないのではないだろうか。 

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基本的にないんですよ!

北海道を歩く。季節的に鮭の時期だったから、鮭のポスターをよく見かけた。そこには鮭の切り身や刺身、イクラが載っていた。イクラは主役のような大きさで載っていることが多い。ただ鮭の白子は載っていなかった。一度も見ることはなかった。

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イクラは主役ですな!

鮭の白子は誰も求めていないのかもしれない、と思ったけれど、そんなことはなかった。北海道のスーパーを訪れると普通に売っていた。しかも、イクラや筋子とは比べられないほど安く。もちろん買った。鮭の白子を食べてみたかったのだ。

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買いました!
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安い!

100g98円だ。私の感覚ではイクラは100gで1500円は超えると思う。イクラの前の筋子だって100gで600円は超えるはずだ。そう考えると白子の100g98円はとんでもなく安いことがわかる。

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白いですな!

鮭の白子を料理する

鮭の白子を料理したいと思う。下処理がなかなかに面倒ではある。そのままではやはり生臭いのだ。それを処理する必要がある。しかし、行程が多いだけでやること自体は難しいことではない。 

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鮭の白子に塩をつけ洗います!
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その後、30秒ほど茹でます!
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茹でた白子を氷水に入れます!
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白子の血合いを取ります!
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さらに日本酒につけます!
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その後、またお湯で4分ほど茹でます!
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さらにまた氷水に入れます!

以上が下処理ということになる。野外でやっているので、さらに面倒だったけれど、普通に台所でやればもっとスムーズだった気もする。最近、スタッキングできるお鍋とかを買ったので使いたかったのだ。だから、外でやっている。

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キャンプみたいで楽しいよね!

鮭の白子を食べる!

下処理さえ終わればそのあとは簡単だ。白子といえば「白子ポン酢」だと思うけれど、一口大に切って、ネギを乗せて、ポン酢をかければ完成だ。実に美味しそうに見える。100g98円には見えない。 

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鮭の白子ポン酢!

食べてみると非常に美味しい。タラの白子と比べればクリーミーな感じは弱いけれど、白子の持つ旨味のようなものがきちんとある。生臭さは少し残るがこれは私の下処理が甘かったのだろう。それでも美味しいと思えるので、鮭の白子は美味しいのだ。

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あん肝みたいにも見えるよね!

クリーミーが弱いということは煮崩れもそこまで心配しなくてよさそうなので、煮物も作った。大根と玉ねぎと白子というシンプルなものだ。醤油ベースで味付けをした。砂糖もいれて甘辛く。

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美味しそうでしょ!
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完成です!

やはりこちらも美味しい。ポン酢より味付けが強いので生臭さもそこまで感じない。クリーミーさは煮たためにいよいよないけれど、口の中では溶けていく感じはある。100g98円の味とは思えない。多くの人はそう思うから、スーパーでは鮭の白子を売っているのだろう。

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美味しいぞい!

ただ、と思う。好みの問題だけど、タラの白子の方が好きかな、と私は思う。イクラのような突き抜けた美味しさはないのだ。そこが、白子が鮭の紹介であまり登場しない理由なのではないだろうか。値段を考えると十分過ぎるほどの美味しさだけどね。

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とにかくめっちゃ鮭はいた!

まだ見ぬ食材を

鮭の白子を初めて食べた。世界にはそのような食材があふれている。その地域では当たり前でも、違う地域に行けば普通でないこともよくある。そのような食材を食べていきたい。なぜなら、スタッキングできるお鍋を買ったからです。小さくてかなり便利。はまりそうだ。

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コンロも小さくて便利!

 

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