デカいはロマン!
しかしまあ沖縄というのは「デカい◯◯」がゴロゴロしている土地なのだとこの記事を書いていて改めて実感した。
生物について「デカい」というのはもっともキャッチーな要素であり、もっともロマンチックな形容詞である。
これからも動物・植物、陸・水問わず、己の心に素直なまま、沖縄の巨大生物を探し求めていきたい所存だ。

「沖縄の自然」といえば広大な原生林と、そこに暮らすやたらと巨大な魚や昆虫が思い浮かぶのではないだろうか。
事実、沖縄には「日本最大の◯◯」としてメディアで紹介されがちな大型動物が多種生息している。
だが、実は植物だって負けてはいない!
今回は沖縄のデカい草や豆や木や芋や薄を紹介しよう。
でーじまぎーだよ〜。
沖縄県にはとにかく「日本最大」やら「巨大〇〇」といった大型生物が多い。
昆虫やその他の虫だけ見渡してみても
日本最大の甲虫・ヤンバルテナガコガネ!
日本最大の蛾・ヨナグニサン!
日本最大のクワガタ・サキシマヒラタクワガタ!
日本最大のクモ・オオハシリグモ&オオジョロウグモ!
日本最大のムカデ・リュウジンオオムカデ!
…と、キリがない。
やろうと思えばいくらでも列挙できるが、デカい虫の名前だけでページが埋まってしまうのでやめておく。
ほかにも哺乳類でいえばケナガネズミも日本最大の齧歯類だし、魚もオオウナギやらナポレオンフィッシュやら馬鹿でかいのがいる。
ヤシガニやコンジンテナガエビもデカいし、ハブも長さでいえば日本最大級のヘビだしな。
とにかく沖縄は、他の地域に比べて棲息している動物の種数が段違いに多いので、こうした「巨大◯◯」のバリエーションも必然的に多くなるのだ(※逆に、やたら小さな生物も同じ理屈でたくさんいる)。
そして、本題の「植物」にも立派なものが多い。
以前に「沖縄で野生化したポトスが超デカい」といった内容の記事を当サイトに書いた。
温暖かつ湿潤な気候もあって在来/外来を問わず植物の生育ポテンシャルが活かされやすいという側面もあるのかもしれない。
たとえば、ポトスのように海外から持ち込まれたデカい植物だとこんなものもある。
竹だ。デカい竹。
その名も巨大な竹と書いて「キョチク」である。
ゾウタケ(象竹)とも呼ばれる世界最大の竹(!)なのだ。
英語ではジャイアントバンブー、あるいはドラゴンバンブー。学名はDendrocalamus giganteus(デンドロカラムス・ギガンテウス)といずれもその大きさへの敬意(?)が込められたバルキーな名前ばかり。
数年前、友人に「胴回りくらいある竹が生えてる」と聞いたときは半信半疑だった。
だが、現場へ案内されてぶったまげたのを鮮明に覚えている。太いし高いのよ、キョチク。
この竹の原産地は東南アジアで、沖縄にはもともと自生していないらしい。
沖縄本島には人為的に植えられたと思しきものがごく限られた場所に点在している。
有名どころだと南城市の「ガンガラーの谷」敷地内にも植えられており、ガイドツアーを申し込むと見学できるようだ。
※本記事に掲載されているキョチク群落は地元の方から大切にされているそうなので、もし見かけても竹細工の材料などとして切り出さないようにしましょう。
また、あまり熱帯感を感じないこの植物も、まるで別物のように大きく育つ。
ススキだ。
本州であれば夏にうんと背丈を伸ばした後は秋に穂をつけ、冬におおかた成長を止めて枯れてしまうのがススキというものである。
しかし、最も寒くなる1、2月でも本州の秋口ほどにしか気温の低下しない沖縄にあっては、彼らは枯れることを知らないのだ。
だから、僕らが思いもしないような領域、3メートル4メートルという高さまで伸び続ける。
自分の背丈の二倍ほどもあると、もはやススキとは思えない。
実際、初めて沖縄のススキ群落に遭遇した際は
「このススキに似てるでっかい草はなんなんだろうなぁ〜。ススキでないことだけは確かなんだがなぁ〜。」
と本気で思っていたくらいだ。
と、ここまでは「もともとは沖縄に自生していなかった植物」「内地にも生えてる植物」を紹介してきた。
ここらでそろそろ沖縄の本領発揮というか、沖縄にもとから自生していた植物たちを紹介していきたい。
そして沖縄の植物といえば、まずこの木は自然史的にも文化的な面から見てもはずせないだろう。
ガジュマルだ。
沖縄では山野に自生しているほか、庭木や街路樹としてもあちらこちらに植えられ、親しまれている樹木である。
この木もまた、老成すると紛れもない巨樹となる。
しかも、成長の仕方が一般的な樹木のそれとは異なっている。多数の気根(枝からぶら下がっている髭のような根っこ)が絡み合い、融合し、巨大かつ複雑で奇怪な樹相を呈すようになるのだ。
ちなみに、上の写真に写っているガジュマルは大木であるが、特に天然記念物などには指定されていない名もなき株である。
たいへんご立派な姿ではあるが、葉や実を路上や周辺の宅地へ大量に落とすことから、かつては地元の人たちから「もう切っちゃおうか」という声も上がったらしい。
だが、なんだかんだで「やはり切ってしまうのは惜しい」と、枝葉の選定をされる程度で伐採には至っていないようだ。
沖縄の人たちがガジュマルという植物に対して抱く特別な思いが見える気がする。
沖縄で暮らすにあたり、ガジュマルと並んでもっとも身近な巨大植物に「クワズイモ」というものがある。
サトイモに近縁で葉っぱの形もよく似ているが、名前の通り残念ながら食用にはならない。葉にも芋の部分にも毒があるからだ。
林の縁や公園の隅っこなど、薄暗い場所であればどこにでも生えている植物なのだが、これがどうしてなかなかド迫力なのさ。
上の写真はなかなか大きめな株であるが、それにしたって葉っぱの大きさを示すための比較対象に大の男の全身を使うというのは規格外である。
先述のポトスよりも巨大な葉っぱとなると、いかに沖縄であってもこのクワズイモを除いてはそうそうないだろう。
ほかに葉っぱの大きさでクワズイモに対抗できる植物といえば…。
これかな。
一見すると「たくさんの小さな葉がついた木の枝」に見えるが、実はこれで一枚の葉なのだ!
この超巨大葉っぱの持ち主は…この植物!
「ヒカゲヘゴ」という大型のシダだ。
ふつう、シダといえばせいぜい膝下程度の高さにしかならない植物である。
ところがこのヒカゲヘゴは「木生シダ」と呼ばれるタイプのシダであり、当然ながら日本最大のシダでもある。
一見するとヤシのようなシルエットだが、よくよく見てみるとなんとも摩訶不思議な姿をした植物だ。
固まって生えている場所へ行くと、なんだか白亜紀の森へ迷い込んだような気分になる。
実際、古生代にはこのような大型シダが繁栄していたらしいし、恐竜たちはこんな景色の中を闊歩していたのかもしれない。
ここまでは植物体そのものが大きなものを紹介してきたが、中には果実や種子が異様に大きくなるものもある。
その代表はやはりこのマメだろう。
モダマの仲間!
彼らのつける実は「ジャックと豆の木」を彷彿とさせる巨豆である。
また、モダマ類は豆と鞘が大きいだけでなく、その蔓の太さ・長さにも目を見張るものがある。
一株の重量でいえば、けっこうな巨木や大樹に勝るとも劣らない巨体ということになるのではないか。
母体(?)がデカけりゃ種子もデカい!とくれば、この樹種も紹介せずにはおれまい。
オキナワウラジロガシだ。
特に写真の株は沖縄本島北部の伊武岳山中に生える、というより「そびえる」最大級の巨木で、天然記念物に指定されている。
異様な風体だが、これでもカシの木すなわちドングリの木の一種である。よって秋にはドングリを実らせるわけなのだが…。
これがまたデカいのだ。
グリドンがカイデーでゴイスー。
僕が子どもの頃はドングリといえばビー玉サイズのクヌギやアベマキのものが最大で、十分に大きく立派に映ったものだが…。
こんな規格外を見せられては思い出も霞む霞む。
もう栗でも持ってこなきゃ太刀打ちできやしないじゃないか。
いやはや、葉っぱから種子まで容赦なくデカいとは。沖縄の植物、すごいぜ。
しかしまあ沖縄というのは「デカい◯◯」がゴロゴロしている土地なのだとこの記事を書いていて改めて実感した。
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