おにぎりの手間が一気にはぶける=最高助かる
そもそも「混ぜ込みわかめ」をご存じか、というところからまずは話をはじめたい。
商品としては、こういうやつだ。

小さなスーパーでもたいていふりかけコーナーに1品はある。
白いご飯に適当に振りかけて混ぜ、おむすび型に握ればこれでおにぎりができてしまう。塩を混ぜるか手につけて握ったところに用意した具を仕込んで海苔で巻く、普通のおにぎりに比べるとその手間のかからなさが本当に助かる。


もちろんふつうに茶碗のご飯を食べるときにも使えておいしい。
26種類ある!
そうして長らく、ありがた便利商品とだけ思って接してきた。
近隣のスーパーでは2~3種、多くても4種ほどが並ぶ様子しか見たことがなかったのだ。それでも十分豊富なラインナップだと私は思っていた。まさか26種もあるとは。
様子のおかしさに気づいたのは、生鮮品を1階に、日配品は2階に配するレベルの大型のスーパーで久しぶりに買い物をしたときだった。
混ぜ込みわかめが切れていたのを思い出し、ふりかけ売り場に行き、そこで見たのが3段7列で堂々展開される混ぜ込みシリーズだったんである。
その店では全部で18種類が陳列されていた。
それでも十分、えっ! と思った。こんなに種類あるの??? 急ぎ帰って調べ、18種類ではとどまらず26種ある現実を知ったのだ。

わかめだけで2種、若菜で2種ある
この混ぜ込みシリーズがすごいのは、淡々と種類が多いだけではない点だ。種類の多さに、もはやその先を感じる。
ラインナップを眺めると、おかか、たらこ、鮭、梅しそ、しらすといったおにぎりメニューの定番を押さえる季節はもう過ぎているのがわかる。
ツナマヨ、肉みそ、ごぼう、明太子といった、それふりかけでできる?? というフレーバーもすでに実装済みだ。
えび天むす、しゃけバター醤油、さつまいもなど、一般的なおにぎりの範疇をこえた取り組みも軽やかにこなして、そのうえで、ネクストステージはさらにその向こうにある。
なんと、一番の定番であるわかめと若菜が2周目に入っているのだ。

始祖的商品である「混ぜ込みわかめ」の先に「混ぜ込み 香るごま油味 わかめ」が輝いて到来している。
いっぽうの若菜は「混ぜ込みわかめ 若菜」の先に「混ぜ込み赤しそ 若菜」が、イン。

そもそも、わかめと若菜は名前が似ており、海藻と野菜でモノは違うとはいえ色が緑で識別が難しいことから、この2種がそもそも必要か? などと私はうがった目で見てしまっていた(ちなみに味はぜんぜん違うので、答えは「要る」であることは間違いないのだけど)。
そんな私の頭上を軽やかに飛んでいくような仕事ではないか。
まさに2周目の味「混ぜ込み 香るごま油味 わかめ」
興奮してちょっと早口になりすぎてしまったことをおわびしたい。
まずはそんな、拡張のその先を感じさせる「混ぜ込みわかめ」と「混ぜ込み 香るごま油味 わかめ」、さらに「混ぜ込みわかめ 若菜」と「混ぜ込み赤しそ 若菜」を食べてみよう。
私は小学5年生の頃に転校した経験のあるどこに出しても恥ずかしくない転校生なのだけど、転校により給食環境がぐっとグレードアップしたのは数少ない転校して良かったことのひとつだ。
そんな転校先の給食で人気だったのがわかめご飯だった。混ぜ込みわかめで作るご飯はまごうことなく、あの給食のわかめご飯の味がして、いまも食べるとちょっとおいしさの横でドキッとする感覚がある。

そんな「混ぜ込みわかめ」のネクストとして飛び出した「混ぜ込み 香るごま油味 わかめ」だが、こちらはまったく、わかめご飯が世界を知った味わいであった。

簡単に言うと、韓国のりの味なのだ。まさに2周目の味。むちゃくちゃおいしい。

いっぽうの「混ぜ込みわかめ 若菜」と「混ぜ込み赤しそ 若菜」は、どちらも安定感のある、おにぎりとして不安のない味だった。
定番を定番でとどめず、手堅く開発するしっかりとした手つきを感じる。混ぜ込みシリーズの未来の広がり、こわいほどだ。
どうやって「さつまいも」をやるんだ
さて、例の26種類中18種類をそろえたスーパーでは、その味、どうやって実装すんの……と思わずにはいられない品も買ってみた。
すき焼き風、さつまいも、鮭バター醤油である。

一番不明の度合いが高いのはさつまいもだろうか。
まぜこみわかめシリーズはドライフードだ。白飯とまざることでやわらかさやシャキシャキ感を取り戻す(そのため、混ぜた後蒸らすことが推奨されている)。
さつまいものほくほく感も、混ぜることで再現が可能なんだろうか。

鮭バター醤油は、開封して白飯と混ぜたところで「うおお」と声が出た。濃厚なバターのかおり、これはあれだ、カルビーポテトの「しあわせバタ~」のあのかおりだ。
食べてみると、なるほど超風味先行型の味わい。
ふつうにおにぎりで作ろうとしてもなかなか作れない味がこうしてできてしまうのは単純にめちゃありがたい。

すき焼き風は、丸美屋といえば燦然と輝くふりかけの「すきやき」があるから、あの味でまとめて行くのかなと思いきや、やはり風味をかなりしっかりやっている。牛の脂のにおいがちゃんとする。すき焼きの日のあの雰囲気がある。真面目だ。
そしてさつまいも。食べて「なるほど」と思った。もちろん先の2種とおなじく風味にフックがあるが、味のはっきりとした甘じょっぱさに美味いものを作れる会社であることへのプライドを感じる。
フレークが大きく、疑っていたほくっとした食感もあった。

ただ、3品食べて一番感じたのは、むしろトリッキーな具の工夫以上に、ベースとしてのわかめへのリスペクトだ。
わかめの存在感が食べるごとに伝わり、わかめがあってのシリーズなんだとしみじみ思わされた。
ベースとしての、わかめ、赤しそ、そして
ベースのわかめに感情が回帰して食べ終えた。
ベースといえば、若菜がそうであったように、今やわかめの他に、新作として赤しその展開もはじまっている。

わかめがあっての混ぜ込みシリーズではあるが、この後の展開はおそらくベースにかかってくるのではないかと思わされる。
ベースの部分をかえていけばバリエーションはもはや無限だ。
正直、今日食べたすべてのパーツ(若菜もすきやきもさつまいもも)にベースを担当する気概があると素人考えではあるが感じたのだ。どのフレーバーにもポピュラーなおいしさがある。
つまり「混ぜ込みさつまいも 鮭バター醤油」も、丸美屋にはもう可能なのではないか。
宇宙の膨張と一緒に、混ぜ込みシリーズも増幅する。その雄姿を私はただ立ち尽くし見守るしかない。