助かるが、そこまで助けられていいのか
お好み焼きは買い忘れが発生しやすいメニューだ。
小麦粉、卵、キャベツ、肉や魚介といった具、このあたりは本体にかかわるため忘れた! ということはあまりない。が、かつおぶし、青のり、ソース、場合によってはマヨネーズ、紅ショウガ、揚げ玉などなど、外部パーツがぽろっと欠けて、若干がっかりした様相で食べることになることは多い。
「お好み焼きに これひとふり!」は、そのうちかつおぶしや青のり、揚げ玉をこのひとつでクリアしてしまう商品のようだ。
思いもよらない方向性で向こうから便利がやってきた。なんだかそこまでしてもらっていいのだろうかと、こちらが恐縮するくらいだ。
公式サイトを見ると、トッピングの小物をそろえる面倒を省くという以上に、お好み焼きの味の向上を目指した崇高な商品であることも伝わる。
いつものお好み焼きを、さらにおいしくする配合がされているらしい。なんと隠し味はニンニクだというから「へ~!」だ。
魚粉のかおりがすごい
封を切ってみると、魚介のだし!!!!! が一気にあふれ出た。うわっ、ここまでだし感をやるのか。
パンチがあまりにすごいから、料理素人の私はてんぱって、出汁という出汁がぜんぶある! くらいに思ってしまった。それくらい、勢いが強い。
パッケージによると、ミックスされているのは
- 天かす
- かつお節
- 青のり
- 魚粉
とある。かおりからして、さいごの「魚粉」が大きく仕事をしているように感じる。
静岡ではおでんをはじめ、焼きそばやお好み焼きにもだし粉をかけると聞いたことがある。これはぜったいにおいしい。
味変の味がする
自力でお好み焼きを作ると私の料理の下手さからくる個性で読者のみなさまの気を散らせてしまうと考え、冷凍の洗練されたお好み焼きを買ってきた。
レンジで解凍し、ソースをぬって、その上にこのふりかけをかけてみよう。
パッケージの時点ではそれほど感じなかった、良い意味での違和感がある。
お好み焼きといえば、かつおぶしがうねうね踊る様子だろう、あれが無い。
で、食べたらこれがおいしいのだ。ちゃんと、いつもよりちょっと美味しい味になっていて、狙ったところに着地させているメーカーの手腕におそれいった。
すぐにはっきりわかるのは小さいノンフライの天かすの存在感か。かりかりして食感にうきうきするし、食べているうちにちょっとしなっとしてソースを吸うのも食べたことのない味わいできゅんとなる。
餃子にはじめて柚子胡椒とかかんずりをつけてみたときのような、ああ、こういう食べ方もあるんだなあという、あの感じに似ている。
決まった食べ方で食べていたものに、単純に新しい調味料を使ったときの風情だ。いつものあの味があるうえで、味変をしているような感覚がある。
トッピングをそろえるのが面倒だから、そのかわりにこれ、という商品かとばかり思ったが、案外そうではなくて、確固とした「これはこれ」というタイプの食材じゃないかこれは。
豆腐と納豆が、サクサクになる
パッケージの裏には他に豆腐や納豆にかけるのもおすすめであると出ていた。
もうこうなっては言われるがままだ。
単純に、和食系の食材であればこれをふりかけることで、自然にサクサク食感をプラスできる、ということがわかった
それが利点かどうかは食材によりそうだけれど、少なくとも豆腐と納豆は面白味になる。
だしのパンチは強いが、塩味や甘みはない。「サクサクさせつつ味を複雑化させる調味料」という感じ。思った以上に、ちょっと無い商品かもしれない。
親切のその先に広がる新たな地平へ
お好み焼きにを作るときにあらかじめ買っておかねばならない食材を合わせておいてくれる、親切のその先すぎる商品のように思って恐縮して手にとったけれど、その実態は新しくておもしろい調味料だった。
お好み焼きでなくても、味変をしたいときにいいと思う。静かに変わった食べ物だ。