友人とディズニーに行くことになった
友人のしずちゃんとディズニーシーに行くことになった。私は絶叫マシンがかなり苦手で、遊園地に行くのは今まで避けてきたのだ。一瞬行くか迷ったが、しずちゃんからディズニーに誘われたのが嬉しかったのと、絶叫マシンもいつか克服したいと思っていたので行くことにした。
せっかくなので何かリンクコーディネートで行こうということになり、話し合いの結果、「グッズ化されていないマイナー作品のカチューシャをつくって、日陰ディズニーにスポットライトを当てよう」ということになった。
しずちゃんがチョイスしたマイナー作品はこちら。
初代わんわん物語の主人公、レディとトランプの間に生まれたスキャンプのお話。しずちゃんは、ヒロイン役のエンジェルのカチューシャをつくるらしい。
この作品をモチーフにするなら、やはり私はあれを作らなければなるまい。
DVDの裏面にもスキャンプがスパゲティを頭に乗せてる絵があるし、こんな感じで私も頭につけようと思う。
できあがったのがこちら。
どのようにつくったか、説明していこう!!
スパゲティカチューシャをつくる
紙皿にしたのは、できるだけ軽い方がいいと思ったからだ。
粘土にはあらかじめオレンジ色の絵の具を混ぜて色をつけておく。
粘土で麺をつくる用の道具を買ったが、想像以上に力がいる作業。全然粘土が出てこない。筋肉痛になりそう。
パスタレベルの細麺だと1日かかっても完成する気がしなかったので、急きょうどんレベルの太さに変更することにした。きっとそういうパスタの種類もあるだろう。
これでいいのか一瞬不安になったが、しずちゃんに写真を送ると、「パスタめっちゃパスタ」と返信がきたので安心した。
ディズニーに行く前日、しずちゃんの家に泊まることになり、せっかくなのでミートボールスパゲッティをつくった。
食べながらディズニーシーの動画をみていたが、井の頭公園みたいな雰囲気の場所あるよねという話で盛り上がった。ふたりとも浮かれている。
ディズニーシーに行く
入り口に並んでいるときから、
「何で?」「ナポリタン?」
というざわめきが周辺から聞こえていた。
ミッキーのカチューシャをつけている女の子がすれ違いざま、
「なんでパスタつけてるんだろう……?」
とぼそっと呟いたのが聞こえたが、マインドとしてはディズニーアイテムをつけている彼女と同じ理由である。
やはり「わんわん物語Ⅱコーデ」をしているということは伝わらないのだろうか。
無事園内に入ると、
「今センターオブジアース空いてるみたいだよ!行こう!」
としずちゃんに言われた。
いきなりそれに乗るのか……!ディズニーシーで2番目くらいに怖いのでは??
メリーゴーランドぐらいから徐々に慣らしていこうと思ってたのに……。
並んでいる間、プレッシャーでなにも食べることができず、大学受験の朝ぐらいの重圧の中にいた。
命にかかわることじゃない、スポンサーは第一生命だから大丈夫、と心で唱え続けて40分ぐらい並び、順番が近づいてきた。
やっぱり乗らないで待っていようと心に決めかけたとき、案内のキャストさんが私をみて、「あ!いた!」みたいな顔をして近づいてきた。
「内線でスパゲティの人が並んでるって聞いてたんですよ!おいしそうですね〜!」
まさかの内線で事前に伝えられていた。もしかして、ここで乗らなかったら、
「スパゲティの人、ギリギリで乗りませんでした(笑)」
と内線で伝えられるのではないか。
それはなんかかっこ悪い気がする。ここは勇気を出して乗るしかない。
カチューシャを外し、座席の前にあるネットに入れるように言われた。席に固定されたあたりから激しい後悔が押し寄せてきたが、もうもどれない。
声を出した方が怖くなくなるというのを聞いたので、無駄に「わ〜〜」とか、「も〜〜」とか言ってみたが、あまり効果はなく、しっかりビビりながら3分間のアトラクションが終わった。
それでも何とか乗ることができ、謎の達成感に包まれていた。
やった、乗れた……!!
内線で伝えられてなかったら乗らなかった可能性が高い。内線で伝えてくれた人ありがとう。
ライドから降りると、先ほどとは違うキャストの人が2人で近づいてきた。
キャストさん「あの……、それってもしかして、わんわん物語ですか?」
とりもち「そう!そうです!」
キャストさん「やったー!当たった〜!」
私がライドに乗っている間に、2人で何をテーマにしているか当てるクイズみたいなことをしていたようだった。
わんわん物語ってわかってもらえた!!さすがキャストさんだ!!
でも、厳密にいうと「わんわん物語Ⅱ」なんですが……、と言おうとするも、2人はすぐに仕事に戻ってしまった。
すごく話しかけられる
道を歩いていると声をかけられることも多く、外国の人にも話しかけられた。
「それ、わんわん物語ですよね!?一緒に写真撮ってください!」
と大学生の集団にかこまれたりもした。
ディズニーのキャストの人はだいだい話しかけて来て、
「おいしそう〜!」と言ったり、食べようとするふりをしたりする。
最初のころは話しかけられるたび緊張していたが、最後の方はだんだん慣れてきた。
知らない人と話すハードルがぐっと下がった1日であった。
欲しいという人、現る
せっかくつくったので、販売イベントなどでもつけるようになった。
あるイベントで、1人の女性が私に声をかけてきた。そして、
「それ、欲しいです」
と言ったのだ。
え? カチューシャを??
まさか欲しいという人が現れるとは思っていなかった。でも、欲しいと言ってもらって嬉しい……!
「ぜひ!もらってください!」
と私は答えた。
さすが踊りをやっている人!さりげない動作もキレがある感じがする。
「これかぶってよさこい踊ろうかな〜」
と言っていた。ぜひ踊って欲しい。そして見たい。
所属されているよさこいチームのTwitterをフォローしたら、カチューシャをつけた写真が載っていた。
本当につけて踊っている
それから数ヶ月後、Twitterで衝撃の写真が流れてきた。
冗談で言ったんだと思ってたけど、本当につけて踊っている!!うれしい……!!
よさこいのイベントでつけてくれたようで、会場内で1人異彩を放っている。
Twitterには、「ナポリタンの妖精」と書かれていた。妖精?
最初はマイナーキャラの設定でつくったカチューシャだったが、これは最早メジャーデビューではないだろうか。
もう何だかわからないが、私がつくったものが、想像を超えた使われ方をしているのを見て、感動すら覚えたのだった。
もう一度会いに行く
記事にしていいかの確認と、もう一度直接お話ししたいという思いから、再び会いに行くことにした。
よさこいを踊っているところも見てみたかったので、稽古日に見学させてもらうことになった。
私の分のケーキも取り分けてくれ、この後みんなでご飯も食べに行った。急に参加したのに、なんて気さくな人たちなんだ……!!
スパゲティカチューシャは子ども達から評判がいいらしい。
持って移動するときは、タオルに巻いてリュックに入れているらしく、飛行機の手荷物検査のとき、「絶対横にしちゃだめ!」と言ったそうだ。
保管は、飼っている犬が触らないように、高いところに吊っているとのこと。
すごく大事にしてくれてる……!!
スパゲティカチューシャは今までもらった中で一番嬉しかったと言ってくれた。そんな風に言ってもらえるなんて、つくってよかった……!
私の手を離れて活躍していく、カチューシャの今後を静かに見守っていこうと思う。
人の手に渡っていく可能性
ディズニーに行ったのは半年前の話である。
そのときは、まさかカチューシャが人の手に渡るとは思わなかった。こんなことになるなら、もっとちゃんとつくっておけばよかった!!
あれはディズニーに行く2日前ぐらいに急いでつくったもので、ディズニーに行ったときは粘土も半乾きだった気がする。よさこいの方は、雨が降っても大丈夫なように、防水スプレーをかけようと思ってるらしい。紙皿でつくったのが悔やまれる……!!
今回のように、私がつくったものが不思議な縁で人の手にわたり、使われ続けることもあるのだ。今後つくるものは、もっと強度をつよくしよう、と誓った。