短い記事 2021年9月28日

下駄箱に傘がつっこめる銭湯がある

最近、散歩ついでによく銭湯にいく。
そんな中で見つけた、おそらくレアな銭湯を紹介したい。

なんと下駄箱に傘がつっこめるのだ!
これが手品みたいで面白いのだ。

東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

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傘が収納できる下駄箱

わたしはこの夏から、せっかく銭湯の多い東京に住んでいるのだから行かなきゃもったいない気がして会社帰りによく銭湯に行くようになった。

同じ所に通うのではなく、行ったことのない銭湯に入るのだ。
「東京の銭湯」というアプリを入れてスタンプを集めたり、それぞれの銭湯のちょっとした違いを楽しみながらまわっている。

マニアには到底及ばないが、多少の数をまわったある日のこと。
人に報告したくなるような光景に出会った。

なんと下駄箱に傘がつっこめるのだ!

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吸い込まれる傘
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ただ穴があいてる。それだけなんだが画期的!
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よく見ると穴の入口は補強されている。

もしかすると銭湯めぐり好きからしたら「そんなの常識」というものかもしれないが、近くの銭湯しか行かないような人には珍しい光景なのではないだろうか。


ちなみに、こちらは御徒町や秋葉原駅から近い「燕湯」という銭湯。
登録有形文化財にも指定されていたり、珍しく朝から営業していたりでファンがとても多い銭湯だ。

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できて71年目の燕湯。珍しいことに早朝6時から開いている。出勤前に入るのいいかも!
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これなら絶対傘を忘れない!

この手品みたいな下駄箱について女性の店主にうかがったところ、「自分の代になった30年前からあるのは確かだけど、いつからあるのか詳しくは分からない」とのことだった。なおこの銭湯ができた昭和25年には無かっただろうとのこと。


誰が考えついたのだか知らないけど、ナイスアイデアだ!
だってこれなら絶対傘を忘れないのだ。

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雨があがっているとうっかり忘れることもあるだろうが、これなら絶対忘れない!
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傘つっこめる下駄箱、もう一か所あった!

この銭湯を見つけた時は、てっきり傘のさせる下駄箱は燕湯オリジナルなのかな、と思っていたのだが、数日後、知人が同じ下駄箱のある銭湯を発見したことを報告してくれた。

それは葛飾区にある末広湯。

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できて64年めの末広湯。暗くてちょっと分かりにくいが、煙突のある良い感じの銭湯。

店主に聞いてみると、やはり「30年前からあるのは知ってるけどいつからか詳しくは知らない」という全く同じ回答だった。そうか、自分の代になってからしか知らないよな。


この2つの銭湯の共通点としては
・寺社風の建築様式
・入口から男女に分かれるタイプ(今でも番台)
・壁には数少ない絵師による富士山のペイント
といったような、昔ながらのスタイルを貫いているところだろうか。

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こちらは補強無し。たくさん使われてきたことが分かる

最近はリニューアルして今風の銭湯が多くなってる中、貴重な銭湯なのだ。
ほかにもいくつかこういった下駄箱の銭湯はあるのだろうか?
そして東京以外の銭湯でもあるのだろうか? あ~気になる。

ぜひまた雨の日にめぐり合いたいものだ。

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余談:「わいた」「ぬいた」の板は平成から

ここからは余談だが、最初にうかがった燕湯には「わ」と書かれた板が掲げられていた。
裏には「ぬ」と書かれている。
これは銭湯でたまに見かける光景の一つで「わの板→湯が沸いた=営業中」「ぬの板→湯を抜いた=営業終了」という文字遊びだ。

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銭湯でたまに見かける板。

これが、江戸時代からの風習と巷では勘違いされているらしいのだ。
正直わたしも勝手に、それ位からあるものばかりだと思っていた。だって木で表現しているところが昔っぽいし、こういうダジャレって江戸時代に流行った判じ物っぽいんだもの。

だが、こちらの女性の店主がこの板を発明&作った人とお知り合いで、割と最近からの風習であったことを示していた。

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燕湯さんにかけてある板はウエハラヨシハルさん作。ほかの銭湯にかかっている板は、ウエハラさんが作ったものもあるし、その銭湯が真似して作ったものもあるそうだ。

なるほどなあ。身近にあるのに知らない事が多い銭湯、当分はまりそうだ。

銭湯に興味がわいた(銭湯だけに)方は、昔書いた記事「銭湯マニア目線で馴染みの銭湯にいく」もぜひ!

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