高知にはごめんという駅がある
高知の路面電車には「ごめん」と表示させながら走っている。そんな謝らなくていいんだよと言いたくなるが、ごめんという駅があるらしい。
どんな場所なのだろうか。行ってみることにした。そして、そこでごめんと言いたい。おれなんかが生きていてごめんなさいと言いたいから。
後免駅と後免町駅がある
乗換案内で調べてみたところ、高知には土佐くろしお鉄道とJR四国の共同駅である「後免駅」と、ちょっと離れた場所に「後免町駅」がある。
ますは後免駅に行くことにした。
電車のドアが開いた瞬間、ごめんと見えて、そんな卑屈になるなよと思いながらホームへと降りる。
とりあえず、着いたらやってみたいことがある。ジャパニーズ土下座だ。
もうやりたいことを達成したので帰ってもいいなと思っている。
ちなみにこの写真を録るとき、清掃の人が申し訳なさそうに通ろうとしていた。
あと、清掃が終わった帰りもまた写真を撮り終わるのを待ってくれていて、誠に申し訳ないと思った。
駅のホームにあるごめんの詩
後免駅のホームに着いたとき、向かい側のホームに見慣れないものがあったのだ。行ってみよう。今、再入場したみたいに書いているが、本当はホームに着いた瞬間に行った。
ホラーゲームに出てくる日記みたいに見えるが、作者のところにあのアンパンマンで有名なやなせたかしと書いてある。あ、怖いと思ってすみませんでした。
駅員さんに聞いたらこの詩は「素直にごめんを言おう」という意味がこめられているらしい。そうだよな、素直に謝るって大人になればなるほど大事だからな。
なんでやなせたかしさんの名前があるのか。町を歩けばなにか見つかるかもしれない、と思い歩いてみることにした。
やなせたかしさんが公園になった。やなせたかしさんぐらいに有名になると公園になるのか。
この公園にこの町がやなせたかしさんを押し出している理由の答えがあった。ここ後免の地はやなせたかしさんが育った地なのだ。
そして、この公園、やなせたかし公園ということでアンパンマンのキャラクターの石像が置いてある。
ロールパンナはメロンパンナの姉であり、悪の心と正義の心の両方を持つイケメン系女子のようなかっこいい感じのキャラで、子ども心ながらに新しい癖が生まれたのを覚えている。
このベンチに座って、ふと思い出したことがある。もうひとつの、アニメを見てドキドキした経験。
昔、GEAR戦士電童というロボットアニメがあった。このロボットは主人公の2人がそろわないと操縦できないロボットなのだが、中盤ぐらいで1人の主人公が敵に洗脳されて「お前は僕の敵だ!」と立ちふさがるシーンがある。
小6の自分はこれを見て「うわー!なんだこの展開!!鬱展開すぎる!!」と興奮と後ろめたい気持ちが生まれたのを思い出した。数日間、ドキドキした記憶がある。
あと、公園で座っていたら「ここって〇〇公園ですか?」とおじさんに聞かれたが、「ここはやなせたかし公園です」と地元の人の顔をして答えてごめん。
やなせたかしロードを歩く
公園からしばらく歩くと、やなせたかしロードがある。やなせたかしさんがロードになった。
やなせたかしさんの協力により、アンパンマンのキャラの石像が等間隔で設置されている。
この商店街、閉店しているお店も多く、シャッター街となってしまっている。
南国市の市制50周年を迎え、やなせ先生90歳のときに形あるものとして、やなせ先生が少年時代に歩いた、「ごめん商店街通り」を『やなせたかしロード~少年の心になれる道~』と称して、アンパンマンのキャラクターを設置することになったらしい。
また、やなせたかしロードの説明には、高知新聞にやなせさんが寄稿した、ごめん町についての思い出をつづった文章も掲載されている。
素敵な絵本や物語を書く人は、心をうつ文章を書く。自分もこうなりたいものである。
この文章を見て、この町で「ごめんの町でラーメンを食べてごーめんなさい」と書こうと思ったが、ラーメン屋が見当たらなかった。あとで冷静になったときに「つまらなすぎるな」となったのでやらなくて本当によかった。反省しろ。
そして、この商店街を歩いていると、タクシー会社があった。その車に「ごめん」と書いてあるのがなんとなく面白くて、写真を撮らせてもらった。
タクシーの人の写真を取らせてもらうとき「こんなの撮るなんて珍しい変な兄ちゃんやな」と笑いながら許可をもらった。いいな、こういうの。
ついでにこの周辺の見どころや行った方いい場所はないか、聞いてみる。
しかし、「このあたりはなにもないわ!」と言われた。そうかないのか。この南国市という場所は昔から観光に弱く、見どころとかないらしい。
「やなせたかしさんの育った町として観光を打ち出してはないんですかね?」と聞いたところ、「やなせたかし記念館があるけど、この街ではアンパンマンの銅像とか建っているぐらいで町おこしとしては大きくはやってない」とのこと。
そうか、そういう町か。なのかと思いながら歩く。果たして本当に何もないのか