特集 2022年5月11日

原付バイクで東京から京都まで1日で行けるのか? ※行けました

京都までバイクで行ってみました

東京から京都まで、約500キロを原付バイクで1日で行けるだろうか。結論としては、行けました。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

前の記事:原付バイクで高速道路を走る

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高速道路を使わずに行く

東京から京都に行く場合、新幹線を使うことが多いと思う、あとは夜行バスというのもありだろう。新幹線だと2時間ほどで、運賃は14000円ぐらい、夜行バスだと8時間ほどで数千円〜1万円前後といったところか。

では、原付バイクで行く場合はどうだろうか。原付バイクは高速道路を走ることができないので、一般道をひたすら行くしかない。

試しにグーグルマップで、東京駅から京都駅まで、高速道路と有料道路を使わないという設定で検索してみたところ、中山道を使うルートが12時間55分。東海道を使うルートが11時間17分と出た。

休憩を挟んだとしても、おそらく15時間ほどではないか? 夜明け前、たとえば朝の3時ごろに東京を出発すれば、夕方の6時ごろには京都に到着する予定で行けそうでだ。

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中山道と東海道ルート

YouTubeを見ると、原付(125ccだが)で、関東地方から京都までバイクで行っている人もいる。一日で行くのもそんなに難しい話ではないようだ。

東海道ルートは、新幹線やら高速バスで何回も往復しているので、今回は軽い気持ちで中山道経由で向かうことにした。

これはただ、地名と道の名称を言いたいだけなので、興味ない人はスルーしてもらって構わないけれど、ルートをざっと説明すると、家を出て新宿に向かって晴海通りを進み、国道20号に入り、そのまま八王子、相模湖を抜けて山梨の大月、甲府、長野の茅野市あたりまで一気に行く、杖突街道に入って、峠とトンネルをいくつか超えたら、木曽で国道19号に入る。南木曽、中津川、恵那をこえた所で、ショートカットして、御嵩、可児で国道21号に、そのまま岐阜の南っぺりを東から西まで横断して、米原で国道8号に。そしてひたすら南下して大津まできたら、国道1号に入って京都に到着……というルートだ。

想定外その1「寒い」

しかし、こんなに入念で完璧なルート計画を立案したとしても、想定外の事が起きるのが旅というものだ。

家を出た時点で薄々感じてはいたけれど、寒い。想像以上に寒い。

バイクでの移動が、相当寒いというのは覚悟をしていたけれども、さすがに5月だし、普通に厚着するぐらいでもいいかと思っていたけれど、バイクの寒さは冬の寒さとは違うことを思い知った。

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普通の厚着これぐらい(再現)

バイクで走ると、袖のすき間や布の織り目の穴から、風がスースー入ってくる。で、これが走っているあいだじゅう、たえまなく体に当たると思ってほしい。扇風機の強の風がつねに体に当たると、しんどくなることがあるけれど、まさにあの状態を10倍ぐらいにした感じだ。

しかも、扇風機のぬるい風と違って、バイクの走行風は冷たいので、こちらのHPをガンガン削ってくる。走るごとに体力が数ポイントごとに減っていく。毒の沼地か。

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深夜の国会前

日野あたりまでは、なんとか我慢してバイクを走らせていたけれど、さすがに耐えきれなくなって、コンビニにバイクを停め、バイクに備え付けている合羽を着込んだ。合羽は、雨をふせぐだけでなくて防寒にも多少役立つ。

ここでのポイントは、ズボンもちゃんと履いたほうがいいということだ。

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防寒のための合羽をきるおれ(再現)

足というのは、第二の心臓と言われるほど血が巡っている。走行風で足がガンガン冷やされると、冷えた血が体中を巡り、だんだん具合が悪くなる。具体的に言うと、からだのあちこちが痛くなって疲れてくる。あ、足が冷えて体力削られてるな。というのが分かる。

ぼくは元来こういった体調の変化にわりと鈍感で「肩こり」がいまだによくわからないほどなんだけれど、40も半ばを超えたころから、肩こり以外の体力のおとろえを明瞭に感じるようになってきてしまった。さらにお酒をやめてからその傾向がいっきにすすんだ。

残された時間の少なさをひしひしと感じてしまう。

話が逸れすぎた。バイクの防寒についてだ。

ターミネーターでシュワルツネッガーが着ていたようなライダースーツ、以前はなんであんなツルツルしてんだ? みたいに思っていたけれど、あれには風をシャットアウトするという理由があるということに初老も超えてから気がついた。

合羽を着込んでからは、ずいぶん体力の減りが緩やかになってきた。あまつさえ、多少回復するぐらいの性能をみせはじめた。(太陽が出てきたからだと思うけど)合羽はすごい。合羽のすごさにも初老を超えてから気づいた。

想定外その2「富士山」

日野あたりのコンビニで合羽を着込んで体力を回復させつつ、高尾山あたりから相模湖周辺の峠道をぐいんぐいん快調に進む。

スピードを調整しつつ、体重移動させて、ギアをあげたり、おとしたりしながら運転するのは「機械を操作している感」が味わえて、確かに楽しい。なるほど、これが「峠をせめる」というやつだ。

運転中は、アクションカメラを胸に付けているので、この見事なハンドルさばき(普通にスピードを落としていただけだけど)も、しっかり動画に記録されているだろうな。なんて思いながら、今、執筆しつつ撮った動画を確認したところ、何らかのはずみでカメラが下を向いてしまったらしく、八王子あたりから相模湖ぐらいまでの動画は、全部バイクのスピードメーターを撮影していた。

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なんなんだこれ。

こんなのが1時間ぐらい録画されている。相模湖のコンビニでトイレに行ったさい、カメラを直したのでそこからはちゃんと前方の画像が撮れているが、悲しい。

ところで、山梨で期待したいのは、富士山だ。ぼくは富士山を間近でじっくりみたことがあまりないので、山梨を通過するさいにどれほど見えるのかかなり期待していた。

できれば、視界の真ん前にでけえ富士山がどーんと来るようなシチュエーションがあったりしたら、わざわざ中山道ルートを選んだ甲斐もあるというものだ。甲斐だけに。

勝沼に入ると、前方に南アルプスの山々が見えてきた。

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南アルプスの山がうっすら見える!
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ぶどう園ごしに南アルプス
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南アルプス、素晴らしいね

南アルプスは良いんだけど、富士山がちっともみえてこない。

今、東から西に向かっている。目の前に南アルプスが見えるということは、たぶん左を向けば富士山が見えるかもしれない。でも、脇見運転は怖いので左を向くことができない。

バイクはそのままいい感じで甲府を抜け、韮崎あたりまで来てしまった。

ぼくは社会科が得意なので、なんとなく感づいてしまったけれど、韮崎ぐらいまで来ちゃうとたぶん富士山は後ろの方だ。これから先、目の前に富士山が見えることはもうないだろう。悲しい。

悲しくて悔しいので、コンビニに停まって富士山を探してみた。建物のすき間からうっすら青白い富士山が見えた。

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これかー、おれの富士山……
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想定外その3「孤独」

なんだか忘れそうになっているけれど、1日で京都まで行くという至上命題があるので、あまり寄り道などしていられない。先を急ぐ。

伊那まで来ると、こんどは全面に駒ケ岳が見える。素晴らしい眺めだ。

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駒ケ岳(たぶん)、パチンコ、トラクター。いい風景

長野のこの辺りは、山脈が3つ縦に並んでおり、その間の谷間に都市が集中している。
西に横切る場合は、なんどか山を越えるか、トンネルを抜けることになる。

長野の伊那から、駒ケ岳を前方にのぞみながら西に進み「権兵衛トンネル」というかっこいい名前の長くて寒いトンネルを抜けると、次は木曽だ。

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4キロ

木曽に出ると、国道19号に入る。19号沿いには、木曽義仲ゆかりの観光地が点在しており、いちいち立ち寄って見てみたい衝動に駆られるが、時間が無いので、心を鬼にして通過する。

とはいえ、新緑にそまった木曽の山々は、快晴だった天気もあいまって、それはもう見事なものだった。

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南木曽を走っていると「読書発電所」という渋い名前の発電所を見つけた。さっそく、写真を撮って、ツィッターにアップ。これは結構いいねがついた。

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読書発電所、建物が国の重要文化財に指定されている。けっこう有名な物件だった

正午ごろ、さすがに腹が減ってきたので、道の駅に立ち寄りそばを食べる。

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てんぷらそばを食べる。本日はじめての食事

道の駅の画像がそばしか無いのは、アクションカメラのマイクロSDカードの容量がいっぱいになってしまっていたので、建物だとかの画像はない。悲しい。

そして、孤独だ。

バイクの移動は、基本的に一人だ。きれいな景色をみても、面白い名前の発電所を見つけても、道の駅でそばを食べても、カメラの操作をしくじっても、わりと何も起きない。ツィッターに画像をアップしていいねされるのがせめてもの救いだ。

だから、誰かの旅行写真がタイムラインに流れてきたら、積極的にいいねしたほうがいい。情けは人のためならずである。(正しい意味の方で)

国道21号がすごい

岐阜の中津川、恵那を抜けて愛知県に入る前に西に向かい、今度は国道21号線に入る。

岐阜の東端の中津川を14時ごろに出発して、西端の関ヶ原に到着したのは18時前。3時間以上時間がかかっている。すごい距離だ。

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岐阜と滋賀の県境(左上に県境の標識がある)

可児市あたりを抜けてると、いわゆるロードサイド店が立ち並ぶ郊外の風景が延々と続く。これでもかというほど続く。なかなか終わらない。18きっぷで静岡を横断するときも「まだ静岡か」となるのは有名だが、21号もまだ岐阜か! となってしまう。岐阜に罪はない。こっちが悪いのだが、岐阜が意外とでかいことにおどろいてしまう。

滋賀に入っても、ロードサイドは続く。この頃になるともう日は暮れて、辺りは真っ暗になってしまっている。

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真っ暗なロードサイド。こんな風景がずーっと続く

もう、この辺りになると、無心である。喜怒哀楽の感情が一切ない無の表情で運転していたはずである。

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信号が青くても前に進まない大津市内の渋滞すごい。しかも坂道

浜大津から国道1号線につながる、信号が青になっても前に進まないほど渋滞している坂道を登り、逢坂越を越えると、ついに京都だ。この時点ですでに20時過ぎだ。

誰だろう、18時には到着しているなどと大口を叩いていたやつは。

このあたりになってくると、尻がすごい。もう痛いを通り越して、壊れるといった感じだ。赤信号で止まるたびに、足をついて立ち上がるとか、中腰になるとかして、痛みをこまめに発散させないとマジでやばい。大爆発するまえに小出しに出しとかないといけないのは、夫婦間の不満と尻の痛さである。

あと、右手の手首が疲れる。アクセルをひねった状態で保っているためだ。手首が疲れたことが今までなかったので、びっくりしてしまったが、これは未だにグローブを買わずに、滑りやすい軍手で済ましている自分が悪いといえば悪い。

京都市内に入ると、見慣れた京都の町並みになぜかホッとしてしまう。
ナビアプリに、よくわからない細くて急な峠道を無理やり何度も越えさせられたことを考えると、こんなにホッとしてしまう風景はない。赤信号で止まることさえなんだかうれしい。

そして、ついに、21時2分。目的地のホテルに到着。

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直前に予約したので3000円で泊まれたホテル

もう、からだのあちこちが痛いので、ホテルでシャワーを浴びたらさっさと寝た。

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実際に走ったルート

総走行距離517.3キロメートル、所要時間18時間。給油回数2回、合計1026円。

所要時間18時間。

バイクの操作をするのは楽しいけれど、500キロ移動するのに、18時間もかかって、その間バイクの運転以外はなにもできない。

あと、めちゃくちゃ疲れるけれど、達成感はすごい。

新幹線で京都に来てもこの達成感は味わえない。

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