水は美味しい
富士山に水を汲みに行って流水麺を洗ったりした。水道水と比べてもそこまで差は感じなかったけれど、これはどちらも高いレベルの水である、ということだと思う。日本の水、水道局に感謝ということだ。それぞれどっちも美味しかったから。硬水と軟水だと味は変わるんだけどね。今回はそういうことではないから。
水というものがある。透明で無味無臭で生物が生きて行くのに必ず必要なものだ。蛇口をひねれば水は出るし、スーパーに行けばどこかの天然水が売られている。観光地などでも湧水は人気だ。
料理でも水を使う場面は多い。では、その水を美味しい水にしたら料理の味は変わるのだろうか。ということで、富士山周辺に水を汲みに行って流水麺やカップ麺を作ってみようと思う。
この水美味しい、みたいな話をたまに聞く。確かに湧水と聞くと美味しく感じる。スーパーなどに売っている水も、富士山の水みたいに書かれていると美味しそうと思ってしまう。では、そんな水をただ飲むのではなく、料理に使ったらどうなのだろうか。
今回は富士山周辺に水を汲みに行き、その水と自宅の水道水では料理の味が異なるのかを調べたいと思う。ちなみに作る料理は流水麺とかカップ麺とか。水の味がダイレクトに生きそうな料理をチョイスした。
まずは富士山の水を求めて、富士の裾野にある街を目指した。美味しい水は全国にあると思うけれど、富士山の水と言われると特に惹かれるのだ。富士は日本一の山だから。
富士の裾野にある「忍野村」を訪れた。以前、一度だけ来たことあって、水がめっちゃ綺麗と感動したので、今回も来てみました。水の透明度が高く、空が反射しない角度で見ると魚が空中を泳いでいるように見える。
近くのお店を見ると当然、富士山の湧水で淹れたコーヒーが売られていた。そこに我々は惹かれる、宿命的に。日本の水道水は十分に美味しいのだけれど、富士山の湧水なんて言われたら、より美味しそうに感じて、人は買ってしまうのだ。
この水で流水麺やカップ麺を作ったら美味しいはずだ、たぶん。汲むことができる場所があったので、ペットボトルに汲んだ。透き通るような水だ。水道水も透き通っているけれど。
もっと水が欲しかったので、富士吉田市にある道の駅に水を汲みに行った。無料で汲むことができるのだ。標高2000メートルの雨や雪解け水が地表を流れ、やがて地下に浸透し、25年以上の時間をかけて濾過され、湧き出た水。美味しそうだ。
ちなみに以前、専門家に聞いた話だけれど、本当に美味しい水とは、無味無臭と言っていた。甘い、みたいなことはなく、無味無臭が本当に美味しい水だと。そんなことを思い出しつつ、この道の駅で食事もした。
富士山の水を二箇所で計3本汲んできた。どれも透き通る美しい水だ。ちなみに普通に飲んでみたら美味しかった。富士山の水は美味しいのだ。美味しいと言っても無味無臭なんだけどね。
今回は3つの料理を作ろうと思う。どれも水を生かした料理だ。火を一切使わない料理。まずは「流水麺」。流水麺は水で麺を洗いほぐすだけで食べることができる便利な商品で、私もよく食べている。なんなら毎日食べている。
料理は完成したけれど、現状では富士山の水は違うね、ということはない。見た目は一緒だ。これをそれぞれの水でいただく。そばを水で食べるという一番気品あふれる通の食べ方だ。味のわかる大人だけの楽しみとも言える。
正直に書こう、富士山の水も水道水も同じ味だった。特別に美味しい、ということはない。もちろん美味しいのだけれど、水でそばを食べると、物足りなさが先行して、水がどうこう、という考えに辿り着かない。
美味しい、あきらかに美味しい。富士山の水も水道水もどっちも格段に美味しい。そばに必要なのはめんつゆだ。4倍希釈のものなので、それぞれの水で希釈している。ただどっちもめちゃくちゃ美味しい。水の味とかもはやどうでもいいレベルで美味しい。めんつゆは偉大だ。
カップ麺はお湯で作るけれど、水でも作れるということで、汲んできた水をそれぞれのカップ麺に注いだ。シーフードのカップ麺だ。私はシーフードがこのシリーズのカップ麺の王者だと思っている。水で作って食べたことはないけれど。
とても美味しい。水で作るというのがいい。暑い日にはむしろお湯より水だ。あっさりといただくことができる。味の違いは一切わからないけれど。富士山の水カップ麺も、水道水カップ麺も平等に美味しいのだ。そこに違いを見つけることができない。間違いのない間違い探しのように一緒なのだ。
水の違いはわからなかったけれど、水のカップ麺の美味しさには気がつけた。山形には冷やしラーメンという郷土料理がある。ラーメンは冷たくても美味しいのだ。それはカップ麺でも例外ではないということだろう。問題は20分かかることだけど、待つ価値がある。
洗うだけだ。それぞれの水で洗い齧るだけなのだ。それを料理と言うかはわからないけれど、私は料理と呼ぶ。洗う水でも味は変わるのだ、たぶん。変わるに決まっているのだ、きっと。
一緒でした。特に味の変化はございません。きゅうり味でした。言えるのは、水がどちらも高いレベルにあるということだ。無味無臭だからこそ、きゅうり本来の味を楽しめるのだ。ちなみに、どちらもマヨネーズをつけるとさらに美味しかったです。
富士山に水を汲みに行って流水麺を洗ったりした。水道水と比べてもそこまで差は感じなかったけれど、これはどちらも高いレベルの水である、ということだと思う。日本の水、水道局に感謝ということだ。それぞれどっちも美味しかったから。硬水と軟水だと味は変わるんだけどね。今回はそういうことではないから。
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