特集 2021年6月26日

世界一大きい花、ショクダイオオコンニャクの開花を見てきた

横位置の写真だと入りきらないくらい大きかったです。

世界で一番大きな花(正確には花序)と言われているショクダイオオコンニャクの花は、肉や漬物が腐ったような匂いらしい。大きくて臭い花、とても気になる。

2021年6月24日の夜に神代植物公園で開花したとの情報を確認したので、翌日さっそく見学してきた。果たして臭いはするのだろうか。

なんでも載っている当サイトには、「あの臭い花って今どうなってるの? 」という記事もあるのであわせてどうぞ。

※神代植物公園は感染症拡大防止のため、入園には事前の予約が必要です。詳しくは公式サイトをご確認ください。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

前の記事:インド亜大陸の麺状デザート、ファルーダを自作したい

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ツイッターを確認する日々

今年の春、畑で育てているコンニャクに花が咲いて以来(こちらの記事)、コンニャクの親分であるショクダイオオコンニャクの花を見てみたいなと思っていたら、東京都調布市深大寺の神代植物公園でそろそろ咲くらしいという情報をツイッターで見つけた。

確か何年かに一度しか咲かない貴重な花だったはず。これは開花したらすぐに見に行かなくては。普通のコンニャクの花とどう違うのか確認したい。

 

今か今かと毎日ツイッターをチェックしていると、とうとう6月24日の夜に開花した。 

 

 

 

さすがショクダイオオコンニャク、温室の外まで臭いが漏れるとは桁違いの存在だ。

さっそく入場整理券をネットから予約し、翌朝に深大寺の神代植物公園へと向かった。深大と神代、漢字が違うのはなぜだろうと思いながら。

だが残念ながら、すでに匂いはかなり薄くなっているようだ。

 

 

ショクダイオオコンニャクを目指して

10時に植物公園へと到着すると、入場口でコンニャクが咲いている場所を伺い、まっすぐ向かう。目指すは大温室の熱帯スイレン室だ。

残っていてくれ、臭い香り。残り香程度でも構わないから。

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平日にもかかわらず、私と同じくコンニャク目当てと思われるお客さんがそこそこいた。
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行く途中に妖怪がでたかと思ったらヒマラヤスギの松ぼっくりだった。スギなので杉ぼっくりだろうか。

 

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想像の何倍も大きな温室が出現。神代植物公園ってすごく広いんですね。

大温室の前には警備員さんがいて、なんと入場規制をしていた。すごい人気だな、ショクダイオオコンニャク。臭いのに。いや臭いからか。

世界最大の花(小さい花の集合体なので正確には花序となる)が見られる機会とあって、それなりに人はいるだろうなと思っていたが、今日は平日である。そこまで混むことはないだろうと油断して、開園の9時半に合わせてこなかった自分を恨む。

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えー!

どれくらい待つことになるのかと不安になったが、ほんの一分ほどで入場は許され、無事に中へと進むことができた。

入場制限があったものの、温室内が混んでいるということはなかった。コロナの関係で密にならないための配慮を、かなり慎重にしているのだろう。

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開花情報の下に貼られたショクダイオオコンニャク開花のお知らせ。きっと職員さんも嬉しいのだ。

 

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温室内の案内図。

 

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熱帯花木室の先にショクダイオオコンニャクが待つ熱帯スイレン室がある。
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パラグアイオニバスかっこいい。
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アリストロキア・サルバドレンシスかっこいい。

ショクダイオオコンニャクが咲く熱帯スイレン室の前にある展示休憩室には、ショクダイオオコンニャクに関する全情報といえる展示がされていた。職員さんの心意気がひしひしと伝わってくる素敵な内容だ。

じっくりと見学してから花をみたいところだが、少しでも匂いが残っているうちに嗅ぎたいので後回しとさせていただく。

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通常なら大温室の花形であるランやベゴニアだが、この日ばかりはショートカットする人が続出。
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ショクダイオオコンニャクのすべてがわかるリーフレットをゲット。

 

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ショクダイオオコンニャクに対する愛情を感じる素敵な展示。前回咲いたのは2019年のようだ。
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前回と今回の成長記録。コンニャクは一度花が咲いたらダメになるものと思ったら、数年間葉を出して栄養を蓄え、また花が咲くという知識を得た。
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ショクダイオオコンニャクの花は御神体のようだった

それではいざ、ショクダイオオコンニャクが待つ部屋へ。

スイレンが鮮やかに咲く池の向こうに、巨大なコンニャク様が花を咲かせていた。

なるほど、デカいな。

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鉢と合わせると3メートルくらいありそうだ。

公式ツイッターによると、今朝の時点で高さは249センチ。

アンドレ・ザ・ジャイアントの公式プロフィールが223センチなので、あの世界の巨人より26センチも大きいのだ。そう考えるとすごい。

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植物というよりも仏像っぽくないですか。

それにしても植木鉢に植えられているというよりも、神棚に祀られているといった方が正しいかもしれない神々しさ。もはや御神体である。

温室内の気温と湿度、そしてスイレンの花の効果もあり、東南アジアの寺院にでも来た気分である。

ちなみに花を囲うビラビラした部分は「仏炎苞(ぶつえんほう)」といい、ショクダイオオコンニャクのショクダイは「燭台」のことである。ほら仏教だ。

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ありがたや。
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スイレンが寺院っぽさを加速させる。
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同じ芋(球茎)から2011年、2015年、2019年、そして2021年に咲いているそうだ。

このように最高のヴィジュアルだが、温室の外にまで広がっていたという匂いはよくわからなかった。なんとなく匂う気もするが、これがコンニャク由来なのか、そもそもの温室の匂いなのかは謎。

職員さんの話だと、やはり開花した昨夜が臭いのピークだったようで、もうほとんど匂いは残っていないそうだ。しっかり換気をしていることも影響しているのだろう。私を含めて臭さを期待してやってきたお客さんはみんな残念そうであるが、こればっかりは仕方がない。

私が少しでも匂いを感じようと顔を近づけて手で仰ぐ様子は、浅草寺とかで線香の煙を浴びようとするしぐさに似ていたことだろう。

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35キロの球茎からニョキっと花が伸びているのだ。

 

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ハエが恍惚の表情で手を擦っていた。やっぱり臭いらしい。俺もあそこで臭いを嗅ぎたい
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記念写真。
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この角度だとより御神体っぽい。
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ラン室にあるチョコレートの香りはよくわかったよ。
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バナナの花がかっこよかった。

残念ながら匂いはわからなかったが、すごく立派な花が見られて満足だ。大きなコンニャクの臭い花を目当てに、たくさんの人が来ているという状況もおもしろかった。マーケティングのヒントがあるのかもしれない。

ところで開園直後に嗅いだ友人によると、雑巾を絞ったまま干して生乾きになった臭いが感じられたとのこと。いいなー、早起きは三文の徳ということか。仕方がないから雑巾を生乾きにして嗅ごうかな。

今度花が咲いたときは、しっかり早起きして開園時間にこなければ。


ショクダイオオコンニャクの匂いはだいぶ薄くなってしまったが、その尊大なお姿はまだしばらく拝観できると思うので、気になる方は園長のツイッターなどで確認してください。

神代植物公園はコンニャクの花以外にも見どころがたくさんあるようなので、今度はゆっくり見て回ろうと思います。

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かっこいいバラ園もあるよ。

 

 

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