特集 2025年7月26日

顔はめパネルに全身入れる

入った!

顔はめパネル。

顔を入れるとパネルの絵の世界にいるようになる。そして、顔を入れないとその穴から景色が見える。

顔はめパネルは、顔がなくても世界を切り取り続けているのだ。

あそこに顔でないもの、例えば人の全身が入ったら、どんな感じになるのだろう。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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乳酸菌みたいになったらいい

つまり、こんなことがやってみたい。

小さくなってパネルの世界を冒険する主人公みたいになるのだろうか。スポットライトを浴びているように見えるのだろうか。

「胃の中で活躍する乳酸菌」みたいになったらおもしろいなと思う 

こういうやつ
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奥に空間のある顔はめパネルを探す

まず必要なのは、奥行きがある場所に設置された顔はめパネルである。

パネルから遠ざからないと全身が入らないが、大体の顔はめパネルって壁際にある。

編集部の橋田さんに撮影をお願いすることにして、その前日に遠ざかれる顔はめパネルを探すことにした。

葛西臨海公園

良いパネルが昔あったと聞いて来た。しかし見つからない。

サービスセンターで画像を見せながら聞いてみると「これが? あったんですか?」とそもそもパネルの存在を知らない反応。しばらくしたら奥からベテランの職員さんが出てきてくれて「ずいぶん昔になくなっちゃいましたねー!」と教えてくれた。

顔はめパネルって撮影スポットだから、銅像とか記念碑と一緒に考えちゃうけど、そんなにずっとあるものじゃないんだよな。静かに腑に落ちて駅に戻った。

噴水の水の内側でハトが休んでいた。暑いもんな。 

次は下北沢に来た

検索して見つけたパネル。道に対して垂直に設置されているっぽいので全身が入るはず。

しかし休業日でパネルがしまわれていた。撮影の日は営業しているが、正確な設置場所が分からないのでぶっつけ本番になる。

不安なのでもう一カ所。浅草に来た。浅草演芸ホールにある顔はめパネル

これだ! 遠ざかれる空間が十分ある。きっとパネルは、撮影の日もこの場所にあるだろう。

ここにしよう。パネルは芸の神様、六芸神の中の一人、話神(はなしがみ)様のパネル。古今亭志ん生がモデルらしい。

話神様が切り取る丸い空間を見て、あそこに全身入れますように、と祈ってこの日は帰った。 

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変な試行錯誤

「顔はめパネルに全身入れたい」と変な願いを持ってみたら「厳しい条件で顔はめパネルを探す」という変な苦労があった。

ここからもう一つ「穴の中に全身を入れる」という変な苦労がある。

とりあえず、普通に入る
遠ざかってみよう。穴からの景色を確認する橋田さん
5メートルくらい離れてみるとこんな感じ

集合写真で欠席した人みたいになった。それか顔はめパネルの使い方を分かっていない人だ。

もっと離れれば全身が入るだろう。しかしあまり遠ざかると、人通りのない瞬間を見計らうのが難しい。

ならば今の大きさでフレームに収まるように僕の足が上がればいい、とこの時は思った。 

ジャンプだ! スマホの連写機能で撮ってもらった
ああ…!

ジャンプして膝を抱えてみたが、全身入りそうで入らない。

「もっとギリギリまで膝を抱えたまま着地したら入るかもしれませんね!」とか相談しながら人通りがなくなるのを待っていた時。カメラの位置をほんの少し高くすると、パネルの穴から地面が見えることに気がついた。

…ジャンプじゃないよな。カメラの方を高くすればいい。 

撮れた!

顔はめパネルに全身入った!

すごく小さい人間にも見えるし、心の底から顔はめパネルを間違えている人にも見える。カメラ目線で満足そうだ。 

パネル全体で見るのもいい
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顔で、穴で、フレームだ

いい写真が撮れた。

そして撮ってみて分かった。「顔のところに穴がある」というパネルの違和感を埋めないまま、それを写真のフレームにも使っているので違和感にブーストがかかっているのだ。

もう一回見よう

顔であり、穴であり、フレームである。そんな写真が撮れて嬉しい。 

ルパン三世のオープニング。サーチライトに追われているところ

喜んでいたら車や人がない瞬間が来て、通りの向こうまで行くこともできた。 

全身が完全に入った

顔はめパネルの穴を通して、通りの向こうの人がこっちを見ている。これは怖いな。

やっぱり狙って撮った雰囲気が出た方がいい。

結論が出た。顔はめパネルから全身を出す方法はこうだ。

  • パネルの5、6メートル後方でしゃがむ
  • カメラは少し上から角度をつけて撮るようにして、被写体を穴の中におさめる
011a.jpg
すごく変な気持ちになる写真が撮れる。嬉しい

観光の思い出として、より深く記憶に刻まれると思う。やってみてほしいし、できたら見せてほしい。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
「顔はめパネルに全身入れたい」という願いをかなえるための、事前準備と撮影調整の苦労が多い記事になりました。
ジャンプして全身をいれようと何度もジャンプして頑張っていたのですが、しゃがめば全身がはいることがわかったときは二人で笑いました。静止状態のほうが撮りやすいですよね。(橋田)

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