『タイムライン』は面白いよ
まずは元ネタの『タイムライン』がどんなゲームなのか紹介しておこう。
『タイムライン』は惑星運動の発見やトランプの発明など古今東西さまざまな出来事がカード化していて、裏面にはそれが起こった年が書いてある。
はじめに基準となるカードを年数が分かるようにして置く。ここでは「惑星運動の発見(1513)」だ。それに対して、手元にあるカードに描かれた出来事が過去か未来か考えて配置するのだ。
この例だとたぶんNBAのほうが後世のことだろう。どこに当てはまるか決めたらカードを裏返して年数を確認する。
カードは年代順に正しく並べなければならないので、場にあるカードが増えると難易度も上がっていくのがこのゲームのキモである。
世界初のUFOの遭遇はいつだろう?さすがにコペルニクスより未来だろうけど、NBAと比べるとまったくわからないぞ……?というように。
ざっくりと過去か未来がわかれば正解になるので、ハッキリ年代を覚えていなくてもなんとかなる間口の広さがいい。他のプレイヤーのトンチンカンな行動を見て大笑いできたりもする。
面白そうだろう。実際は対戦ゲームなので遊び方は少し違うのだけれど、ざっくりこういうルールである。
職場にあるものでカードをつくろう
『タイムライン』のカードを見たとき、縦長の形状とデザインからチェキっぽいなと思った。
チェキでプリントした写真に年数を書き加えれば簡単にカード化できるし、旅行中に撮った写真でその日の晩に遊んだりするのもよさそうだ。そもそも人間が集まってやることといえばゲームしかない。
さしあたって旅行の予定がないので職場の写真で作ってみよう。
たまたま神社に勤めているので年代の幅がひろく取れて助かる。ここは約1900年前〜現在までの歴史があるが、古文書などで年代がハッキリ分かるものだけでもカード化するには十分すぎる量だ。
これを機に境内のものをじっくり見てみると、知らなかったことも多くてうっかり勉強になってしまった。おれは純粋に遊びたいだけなんだ!頼むからタメにならないでくれ!
撮った写真をカード化する
撮った写真をチェキでプリントしていこう。
どう考えても職場に由緒がありすぎるだろう。JTCと比べても圧倒的な歴史の差だ。わたしは誰よりもジャパニーズでトラディショナルな環境にいます。
これでタイムライン風ゲームで遊べるカードができあがった。見ていただいたように年数がハッキリ分かる情報源があればなんでも作ることができる。
せっかくだから遊んでもらおう
つつがなく完成したので同僚に遊んでもらうことにした。遊び方はすぐに分かってもらえてまずは一安心。
共通認識である社殿建立の年を基準として、ランダムで引いたカードを1枚ずつ追加していき、全部並べきったら勝ちというソロゲーム仕様にした。
さて、ちゃんとゲームになるだろうか。
残念ながら100年単位での豪快な間違い!3枚目で早々のアウトである。自分は常識と思っていることでも他の人にとっては全然そうじゃないことが浮き彫りになって面白い。
すぐに撃沈した同僚は「2枚目がこのカードじゃなかったらいけたのに〜」と情けない言葉を漏らしていた。ゲームを全力で楽しんでいる証拠で、いちばんうれしい感想である。
自作するにあたってこだわったのは、近い年に起こった出来事のカード群を意図して用意したことだ。遊びの要素を入れないと学習教材になってしまう。
さて。このゲーム、かなり難しかったようで何人かに試してもらったが完答者はひとりもいなかった。おれの完勝だ。
この試みの残念な点はチェキのフィルムも『タイムライン』も品薄などで手に入りづらいことと、作った本人は答えを知っているので遊べないことだ。
しかし、そのどちらも時間が解決してくれるだろう。いまはただ、時が静かに過ぎ去るのを祈ろうじゃないか。

