特集 2025年7月22日

チェキでつくろう時系列クイズゲーム

『タイムライン』というカードゲームがある。歴史上のできごとが描かれたカードを時系列順に正しく並べていくというルールで、単純ながら老若男女が楽しめるゲームだ。

チェキで印刷した写真に年代を書き加えれば、タイムライン風のゲームが簡単に自作できるんじゃないだろうか。旅行先の風景や家にあるものなど題材はなんでもよさそうだ。

とりあえず職場にまつわるもので作ってみよう。

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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『タイムライン』は面白いよ

まずは元ネタの『タイムライン』がどんなゲームなのか紹介しておこう。

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歴史上のできごとが描かれたカードが何十枚もある
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裏側には西暦で年代が書いてあるよ

『タイムライン』は惑星運動の発見やトランプの発明など古今東西さまざまな出来事がカード化していて、裏面にはそれが起こった年が書いてある。

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「NBAの設立」は「惑星運動の発見」より過去か未来か?

はじめに基準となるカードを年数が分かるようにして置く。ここでは「惑星運動の発見(1513)」だ。それに対して、手元にあるカードに描かれた出来事が過去か未来か考えて配置するのだ。

この例だとたぶんNBAのほうが後世のことだろう。どこに当てはまるか決めたらカードを裏返して年数を確認する。

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NBAは1946年で未来だった!正解したカードはそのまま配置される
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じゃあ「世界初のUFO遭遇事件」はどこになる?

カードは年代順に正しく並べなければならないので、場にあるカードが増えると難易度も上がっていくのがこのゲームのキモである。

世界初のUFOの遭遇はいつだろう?さすがにコペルニクスより未来だろうけど、NBAと比べるとまったくわからないぞ……?というように。

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続けていくとゲーム毎に異なるタイムラインができあがる

ざっくりと過去か未来がわかれば正解になるので、ハッキリ年代を覚えていなくてもなんとかなる間口の広さがいい。他のプレイヤーのトンチンカンな行動を見て大笑いできたりもする。

面白そうだろう。実際は対戦ゲームなので遊び方は少し違うのだけれど、ざっくりこういうルールである。

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職場にあるものでカードをつくろう

『タイムライン』のカードを見たとき、縦長の形状とデザインからチェキっぽいなと思った。

チェキでプリントした写真に年数を書き加えれば簡単にカード化できるし、旅行中に撮った写真でその日の晩に遊んだりするのもよさそうだ。そもそも人間が集まってやることといえばゲームしかない。

さしあたって旅行の予定がないので職場の写真で作ってみよう。

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この社殿ができたのは1778年
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この狛犬は1188年に幕府から奉納されたものと伝わる

たまたま神社に勤めているので年代の幅がひろく取れて助かる。ここは約1900年前〜現在までの歴史があるが、古文書などで年代がハッキリ分かるものだけでもカード化するには十分すぎる量だ。

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この祠、寛延年間のものだったんだ
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古くも新しくも見えるな。裏に曽祖父の名前が彫ってあるのにはじめて気づいた

これを機に境内のものをじっくり見てみると、知らなかったことも多くてうっかり勉強になってしまった。おれは純粋に遊びたいだけなんだ!頼むからタメにならないでくれ!

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悔しいから複合機RICOH IM C2010の導入年とかも入れておこう
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撮った写真をカード化する

撮った写真をチェキでプリントしていこう。

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いまはBluetoothでスマホの写真をプリントできるから便利ですよ
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たのしい。字が汚いのでネームランドで印刷した

どう考えても職場に由緒がありすぎるだろう。JTCと比べても圧倒的な歴史の差だ。わたしは誰よりもジャパニーズでトラディショナルな環境にいます。

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年数を上部に書き入れて
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年数を隠すように折ってスリーブに入れてできあがり

これでタイムライン風ゲームで遊べるカードができあがった。見ていただいたように年数がハッキリ分かる情報源があればなんでも作ることができる。

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最高だ。ぜんぶで13枚ある
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せっかくだから遊んでもらおう

つつがなく完成したので同僚に遊んでもらうことにした。遊び方はすぐに分かってもらえてまずは一安心。

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本殿の1778年を基準にする

共通認識である社殿建立の年を基準として、ランダムで引いたカードを1枚ずつ追加していき、全部並べきったら勝ちというソロゲーム仕様にした。

さて、ちゃんとゲームになるだろうか。

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1枚目は裏参道の手水舎、2020年で正解
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2枚目は種田山頭火が「分けいつても分けいつても青い山」を詠んだ年、本殿より過去との判断だが果たして???
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ちなみに山頭火の例の句は熊本~高千穂までの道中で詠まれたという説があり、神社境内にひっそりと句碑がある
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ざんねん!1926年でした(句碑の脇にある看板によると)

残念ながら100年単位での豪快な間違い!3枚目で早々のアウトである。自分は常識と思っていることでも他の人にとっては全然そうじゃないことが浮き彫りになって面白い。

すぐに撃沈した同僚は「2枚目がこのカードじゃなかったらいけたのに〜」と情けない言葉を漏らしていた。ゲームを全力で楽しんでいる証拠で、いちばんうれしい感想である。

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別の人は6枚目でアウト。左から右に歴史が流れる

自作するにあたってこだわったのは、近い年に起こった出来事のカード群を意図して用意したことだ。遊びの要素を入れないと学習教材になってしまう。

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筆者がTV番組で変な目立ち方をしたのと複合機の導入ではどっちが新しい出来事でしょうか
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正解はこちら!TVの件はいまだに声をかけられて発狂しそうになります
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山頭火の句と坂口安吾が神社にやってきた年では?(安吾の写真は書籍から拝借)
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「へー!!」ですよね

さて。このゲーム、かなり難しかったようで何人かに試してもらったが完答者はひとりもいなかった。おれの完勝だ。

この試みの残念な点はチェキのフィルムも『タイムライン』も品薄などで手に入りづらいことと、作った本人は答えを知っているので遊べないことだ。

しかし、そのどちらも時間が解決してくれるだろう。いまはただ、時が静かに過ぎ去るのを祈ろうじゃないか。

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おのが足跡を偉大なる人類史に刻もう!
編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
記事の終わりに余韻があるのが窪田さんの特徴ですが、今回は「時が静かに過ぎ去るのを祈ろうじゃないか。」です。自作ゲームの記事とは思えない余韻。
そしてチェキで作っちゃったりして!という軽いノリの企画でしたが、窪田さんの勤め先の古さがノリを重厚にしています。ご本尊1778年、坂口安吾1954年のなかに、複合機2024年が混ざっていると安心します。(林)

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