特集 2025年7月24日

愛は戦いを制するのか!?できの悪いロボットで戦うロボットバトルイベント、ヘボコン2025レポート

「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」。

ロボットを作る技術も根気もない人たちが集まり、勘だけで作った「自称・ロボット」を持ち寄って無理やりロボット相撲をする。

その公式大会を6/29に開催した。動くかわからないロボットは1体いるだけでも不安な気持ちになるのに、30体近くが集結したのである。そんな不確定性に満ちた夜の様子をレポートします。

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インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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あらかじめ破綻したロボットバトル

ヘボコンについてはいったんこちらの動画を見てほしい。

昨年10周年を迎えたこのイベントは、ハイテクなロボットたちの激戦に手に汗握る場ではない。素人が作った動くか動かないか微妙なロボットを見て、違う意味で手に汗を握るイベントなのだ。

出てくるのは例えばこんなマシン。

なんとかクイズ1号(こーろほー)。カッコ内はチーム名

これは昔のクイズ番組、ウルトラクイズをモチーフにしたロボット。ボタンを押すと……

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「ピンポン!」と鳴って札が上がる

お、すごいじゃん、と思うがこの早押しボタンは幼児雑誌の付録をガワだけ変えて使っているそうだ。そして足回りの六足歩行はタミヤの工作キットであり、要はカネで買った機械を2つ貼り合わせただけのマシンである。

しかしこれでもヘボコンにおいては平均以上の技術水準。もっと「原初」を感じるロボットもいる。

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たいいくの時間(四天王帝釈天)

見た目からしてまず抽象的すぎるが、 

動きもまた、独特にもほどがある

音に合わせてくねくね踊るサボテンのおもちゃがあり、それを分解した中身を使っているという。

さっきのロボットの早押しボタンとこのくねくねには共通点がある。それは「相撲と関係ない」ところである。何を隠そう、ヘボコンはロボット相撲なのだ。なのに毎年こうして相撲と関係ない機能を搭載したり、そもそも移動できない(=相手を押せない)ロボットが頻出する。

しかしヘボコンのハードルは著しく低く、「開発者が満足ならそれでOK」という気持ちでやっている。観客もそれを「よかったね」という気持ちで見る。そういうイベントなのだ。

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ドラム魔神(カスタマイマイ)

ドラムがモチーフ。ドラムのヘッド(皮)部分がフワッフワなのが味である。
左右の腕にあたる部分にはドラムスティックをつける予定だったが、うまくできなかったので代わりに銭湯でもらったクシをつけたという。なにがどう「代わりに」なのかわからない。ヘボコンにはこういうあいまいさがある。

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突撃!ひげ丸くん(満)

これは黒ひげ危機一髪を素材としたマシン。剣を指したときに反応するスイッチであった部分を先頭に向けており、これが敵に当たると海賊が飛び出る。

そして試合においては見事にこの技が炸裂した

炸裂したが、同時に本体が尻もちをついて負けている。この「技が決まった!」からの「だからなんなんだ」のコンボもヘボコンの日常である。

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試合の情報量が多い

こんなロボットたちの間で、どんな試合が行われているのか。見てみよう。

第1回戦第5試合。Team_t-Zonbi 対 Skunk Wannabes の対決を紹介したい。

ブラックホール(Team_t-Zonbi)
合わせ鏡を使った、自称・ブラックホールで相手を吸い込む。吸い込まれるかどうかは別として奥行きだけはすごい

ブラックホールにはミニ掃除機のノズルがついていて、隣についたミニロボットアームで持ち上げて操縦する……はずだったが、ロボットアームは練習段階で煙を吐いて壊れたので操縦不能である。

いっぽうで対戦相手は……

六条御息所(Skunk Wannabes)

キャタピラの上に乗っているピンクの部分はドライヤー。これで黒いごみ袋に空気を送り、膨らませて巨大化する。ただしごみ袋の固定が弱くすぐ飛んで行ってしまうため……

応急処置的に、メンバーの女性が髪を留めていた黒いシュシュを使って縛りなおしてある

髪留めを使ってまでしっかり固定した、このエピソードがあとに響いてくるのでしっかり覚えておいてほしい。

さあ、試合開始だ。基本ルールは、「板から出るか、倒れたら負け」。

 

3カウントのブザーと同時に同時に、二体は激しく激突

ゴミ袋がしっかり膨らんでいる点にも注目。必殺技が炸裂しているわけだが、実態としてはむしろエアバッグになって衝撃を和らげている気がしないでもない。

土俵際での攻防。馬力は互角か。
双方、何度か切り返して角度を変えて体当たりを繰り返す

助走をつけてぶつかるたびにエアバッグが緩衝してソフトな当たりに変えるので思わず笑ってしまう。そして…… 

制限時間の1分が経過、試合終了!

試合の勝利条件は、

  1. 相手が土俵(木の板)から出る
  2. 相手を転倒させる
  3. (時間切れの場合)相手の陣地により深く攻め込む

のいずれか。通常、今回のようなタイムアウト時は3.が適用されるが、しかし上の写真を再度見てほしい。黒いゴミ袋が土俵からはみ出ているではないか。

土俵からのはみだしについてもルールがある。

  • 本体から分離する想定の飛び道具(弾、矢など)ははみ出てもOK
  • ロボット本体ははみ出たら負け

つまりゴミ袋が飛び道具かどうかが争点となる。

……ここで思い出してほしい。

(写真再掲)試合前、「シュシュを使ってゴミ袋を本体から外れないようにした」と語る出場者

そう、シュシュを使っての補強が「ゴミ袋は飛び道具でなく本体の一部であること」の裏付けとなりSkunk Wannabesは敗退となったのだった…!

もちろん、全試合こんな理詰めの頭脳戦(???)ではなく、足元のおぼつかないロボットが激しい激突でスパーンと弾き飛ばされて終わり、みたいな試合も多い(というか大半である)。しかしそういった試合も、試合前のミニインタビューでロボットのバックグラウンドを知ったうえで見ると味があるものだ。

 

というわけで、いったんスポンサー紹介を挟んで、次ページではそんなバックグラウンドについて語ろう。

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ヘボコン2025は下記の皆さまのご協賛により開催しております。

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今年もヘボコニストの皆様の「つくる」たのしさを、「つける」ことでお手伝いできれば嬉しいです。
とりあえずくっつけて形にしましょう!(接着剤の種類で悩んだらお気軽にご相談ください)

 

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紙と石以外のメディアはすべて絶滅する。 絶滅メディア博物館は、あなたがかつて愛用していたガジェット、欲しかったガジェットにまた逢える博物館です。
ヘボコニストの皆さん、世界を変えたすごいガジェット、計画倒れのヘボいガジェットを見て、インスピレーションをもらってください!!

 

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将来、その生徒達が、ヘボコンで大活躍する日を楽しみにしています!

 

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