あらかじめ破綻したロボットバトル
ヘボコンについてはいったんこちらの動画を見てほしい。
昨年10周年を迎えたこのイベントは、ハイテクなロボットたちの激戦に手に汗握る場ではない。素人が作った動くか動かないか微妙なロボットを見て、違う意味で手に汗を握るイベントなのだ。
出てくるのは例えばこんなマシン。
これは昔のクイズ番組、ウルトラクイズをモチーフにしたロボット。ボタンを押すと……
お、すごいじゃん、と思うがこの早押しボタンは幼児雑誌の付録をガワだけ変えて使っているそうだ。そして足回りの六足歩行はタミヤの工作キットであり、要はカネで買った機械を2つ貼り合わせただけのマシンである。
しかしこれでもヘボコンにおいては平均以上の技術水準。もっと「原初」を感じるロボットもいる。
見た目からしてまず抽象的すぎるが、
音に合わせてくねくね踊るサボテンのおもちゃがあり、それを分解した中身を使っているという。
さっきのロボットの早押しボタンとこのくねくねには共通点がある。それは「相撲と関係ない」ところである。何を隠そう、ヘボコンはロボット相撲なのだ。なのに毎年こうして相撲と関係ない機能を搭載したり、そもそも移動できない(=相手を押せない)ロボットが頻出する。
しかしヘボコンのハードルは著しく低く、「開発者が満足ならそれでOK」という気持ちでやっている。観客もそれを「よかったね」という気持ちで見る。そういうイベントなのだ。
ドラムがモチーフ。ドラムのヘッド(皮)部分がフワッフワなのが味である。
左右の腕にあたる部分にはドラムスティックをつける予定だったが、うまくできなかったので代わりに銭湯でもらったクシをつけたという。なにがどう「代わりに」なのかわからない。ヘボコンにはこういうあいまいさがある。
これは黒ひげ危機一髪を素材としたマシン。剣を指したときに反応するスイッチであった部分を先頭に向けており、これが敵に当たると海賊が飛び出る。
炸裂したが、同時に本体が尻もちをついて負けている。この「技が決まった!」からの「だからなんなんだ」のコンボもヘボコンの日常である。
試合の情報量が多い
こんなロボットたちの間で、どんな試合が行われているのか。見てみよう。
第1回戦第5試合。Team_t-Zonbi 対 Skunk Wannabes の対決を紹介したい。
ブラックホールにはミニ掃除機のノズルがついていて、隣についたミニロボットアームで持ち上げて操縦する……はずだったが、ロボットアームは練習段階で煙を吐いて壊れたので操縦不能である。
いっぽうで対戦相手は……
キャタピラの上に乗っているピンクの部分はドライヤー。これで黒いごみ袋に空気を送り、膨らませて巨大化する。ただしごみ袋の固定が弱くすぐ飛んで行ってしまうため……
髪留めを使ってまでしっかり固定した、このエピソードがあとに響いてくるのでしっかり覚えておいてほしい。
さあ、試合開始だ。基本ルールは、「板から出るか、倒れたら負け」。
ゴミ袋がしっかり膨らんでいる点にも注目。必殺技が炸裂しているわけだが、実態としてはむしろエアバッグになって衝撃を和らげている気がしないでもない。
助走をつけてぶつかるたびにエアバッグが緩衝してソフトな当たりに変えるので思わず笑ってしまう。そして……
試合の勝利条件は、
- 相手が土俵(木の板)から出る
- 相手を転倒させる
- (時間切れの場合)相手の陣地により深く攻め込む
のいずれか。通常、今回のようなタイムアウト時は3.が適用されるが、しかし上の写真を再度見てほしい。黒いゴミ袋が土俵からはみ出ているではないか。
土俵からのはみだしについてもルールがある。
- 本体から分離する想定の飛び道具(弾、矢など)ははみ出てもOK
- ロボット本体ははみ出たら負け
つまりゴミ袋が飛び道具かどうかが争点となる。
……ここで思い出してほしい。
そう、シュシュを使っての補強が「ゴミ袋は飛び道具でなく本体の一部であること」の裏付けとなりSkunk Wannabesは敗退となったのだった…!
もちろん、全試合こんな理詰めの頭脳戦(???)ではなく、足元のおぼつかないロボットが激しい激突でスパーンと弾き飛ばされて終わり、みたいな試合も多い(というか大半である)。しかしそういった試合も、試合前のミニインタビューでロボットのバックグラウンドを知ったうえで見ると味があるものだ。
というわけで、いったんスポンサー紹介を挟んで、次ページではそんなバックグラウンドについて語ろう。
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