デジタルリマスター 2022年3月7日

『たばこの空き箱傘』をついに作った(デジタルリマスター)

昔、おじいちゃんちや親戚のうちなんかに行くと、茶箪笥の上やガラスケースの中に「たばこの空き箱で作った傘」が飾ってなかっただろうか。蛇の目傘のように細かく蛇腹を表現してあって、閉じたのと開いたのと対になって、あの光景を思い出すたび、何ともいえないノスタルジーを感じてしまう。

そう、ノスタルジー。最近、あの傘をとんと見かけなくなったなーと思い、ネットなどで探してみるのだが、現物はおろか作り方について書いてある本も探し出せない。

しかし、ひょんなことから本を手にすることができたのだ!あの(私にとって)まぼろしの「たばこ傘」、ばあちゃんになった気分で作ってみた。

2008年3月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

前の記事:骨のない魚(デジタルリマスター)

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昔の手芸本は時にハイブロー

知り合いの刺しゅう作家さんから、「たばこの空き箱傘、ありましたよ!」と、ある本が送られてきた。下写真の「たばこの空箱工作」(エキグチ・クニオ著・日本文芸社 昭和58年刊)だ。

出版社の住所の郵便番号が3桁だったり電話番号が東京03のあと7桁だったり、随所にノスタルジックな地雷が埋まっている。もちろん中身の工作も、ノスタルジー絶賛炸裂中である。

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「たばこの空箱が創りだす美の世界」とある。
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本当のエコバッグがここにある。
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セブンスター姫、チェリー姫か。
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張り子の花びん・・・空箱工作の範疇を超えている。

そしてページを繰ると、ふつうにそれはあった!

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これこれ!

ああ、まぶたのたばこ傘。やっとお会いできました。
これがどうやって作られているか、子供の頃も今でさえも、まったくわからない。内部構造がどうなっているのか。たばこの箱はどう取り入れられているのか。難しいのか簡単なのか。まったくわからない。

これから、それら解明されなかった謎に、じわじわと迫ってゆくことにしよう。

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私はたばこを吸わないので、別の何かを材料に。何か、とは。

 

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あなどるなかれ、たばこ工作

これから本のとおりに作っていくわけであるが、ここでもざっくりと作り方を説明していこう。まず4cm四方の正方形を60枚切り取る。たばこの空き箱なら30個から表裏1枚ずつ取れることになる、と書いてある。私は古雑誌の表紙を使ってみました。

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60枚、折っていくのはけっこう骨も折れる。
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紙飛行機の初期段階のようなのを作る。
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全部に穴を開けて・・・、
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針金に通し、棒に結わえ付ける、のだが・・・。

1枚1枚、同じことを繰り返しているうちはまだいい。が、平行な針金2本に通したり、棒に結わえ付けて形にしたりするにはコツがいるようだ。皆これが出来てたんだろうか、と思うような手間のかかる工程がちょこちょこ出現する。

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つまようじを切って、傘の骨代わりに接着。
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下からの支え骨となる部分も、一回り小さい正方形30枚で作って結わえ付けるのだ。ち、小さい…。
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上の羽根に、1枚置きに差し込んで接着。それらしくなってきた。
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糸で骨先を交互に結わえる。

あーもう形にするのが難しい。どこか整えるとどこかが出っ張る。気が付くとさっきから同じところを調整している。

枯れた渋めの気分でのんびり傘を・・・と思っていたのだが、思いのほか根を詰めて夜なべしそうな勢いだ。生活かかってるかのようなテンション。

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傘張り浪人の気分で。

なんとか夜半ごろ、形にできたでござる。おお、祖母の家で見たあの傘でござる。

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持ち手と先っちょにヒモをあしらって、完成。

うん、できた。傘ができた。そこそこの満足感が達成できた。ふつうに傘ができたよ。

なんだ、今回は本のとおりに作って終わりか、と思われるでしょうが、お兄さん、ちょいとお待ちよ。

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ブルータス「Casa」。
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そう、カーサの表紙を傘に!というダジャレのために表紙を使わせていただきました、ブルータスさん。すみません。そして皆さんすみません。
 

この本、当然ながらとにかく たばこの空き箱をフィーチャーしている。何もそこまで、と思うような工作もある。が、簡単なようでいて、なかなかコツのいる「たばこ傘」。まさかあんなに複雑な工程とは思わなんだ。

そこのところに、一時期のヒットの原因があるのかもしれない。いや、今もどこかでヒットしているのかもしれないが。

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蛇の目傘を片手に小粋なジェニー。
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