いざ、復元の現場に潜入!
訪れたのは茨城県の北西部、城里町にある公益財団法人茨城県教育財団埋蔵文化財整理センターだ。
今回は取材用に特別に復元作業の体験をさせてもらえることになっている。
本橋さん:
まずは復元の手順をご説明しますね。
3yk:
お願いします!
これこれ!これが見たかったんだ!と気持ちが沸き立つ一方で、やっぱりこうして、ひとつひとつ、ピースを見つけるしかないのかと、作業の地道さにしみじみ感じ入る。
地道にコツコツ、だから未経験の人でもだいじょうぶ
そして早速、「じゃあ、やってみましょうか」と渡されたのは、本物の土器の欠片が入ったトレイ。
なんと今日は、特別に土器の接合を体験させてもらえるのです!
驚きなのは、遺跡の発掘調査は未経験からでもチャレンジできるということだ。
元々は発掘調査とは全く関係のないお仕事をされていたという補助員さん。子育てが一段落したタイミングで新しい仕事を探していたところに出会ったのが土器の復元作業だった。
近所だから、細かい作業が好きだからという理由で始め、今では自分が復元した土器の展示は必ず見に行くほど、復元作業の虜になったのだそうだ。
発掘整理は一人の調査員に作業員が7人ほどつくチーム制で行っている。専門知識はなくとも、細かい作業が好きだから、興味があるからという理由でも補助員は始められると本橋さんは話す。
この壺を復元している方は元々は発掘現場の方で働いていて、最近復元の方にも来るようになったのだという。「ローンの返済の足しにね!」なんて笑っておられた。なんて素敵な働き方だろう。
さあ、わたしもいよいよ土器の接合にチャレンジだ!
石川さん:
この作業、形になってくるとめちゃくちゃ嬉しい……!
3yk:
未経験からでも出来るなんて、転職したくなりますね……!
今回の体験は、ある程度合う欠片を集めておいて、気持ちのいい瞬間だけを味あわせてくれる、いわば接待土器接合だ。そうとわかっていても、欠片が合うとかなり嬉しい。
これは新たな接待として絶対に流行る。わたしが偉くなったら、ゴルフでも飲み会でもなく、土器接合でもてなされたい。
続いて、一から土器を分類する作業に移った筆者。ごちゃ混ぜの状態の土器を目の前にすると、急に拠り所のなさに不安になってくる。
模様や煤の付き具合、小さなヒントを見逃すまいと必死。でもこの欠片が、いったいいくつの土器から成るものなのか、さっぱり見当もつかない。
3yk:
こうしてみると、厚みも色も、土の感じも様々でいくつもの土器が混じっているのがよくわかりますね。
本橋さん:
自分の台所も鍋がひとつしかないってことはないでしょう。発掘する遺跡も、食料の貯蔵庫だったり、住民のゴミ捨て場だったりと様々なので、それによって出てくるものの数や種類も全然違うんですよ。
3yk:
今日は体験だからいいですけど、これは……本当に途方もない作業ですね
石川さん:
ね、正解も分からなければ、全部欠片が揃っているとも限らないんですよね。
3yk:
これで締め切りも守らなきゃってなったら、すごいプレッシャーですね…
本橋さん:
そうなんです。期日が決まっているから、重要なもの、復元できそうなものから順にやっていて。もちろんどんなに小さな欠片でも、分別しながらなにか重要なものや変わったものがないか確認して、時にはみんなで議論しながら進めていきます。
3yk:
わっかわいい!タコの口みたいなちょぼちょぼがついてる。これは飾りですか?
樫村さん:
これは円形浮文といって、古墳時代前期の壺に特徴的な飾りですね。でもこれ、うち(茨城)の土器じゃないね。