特集 2021年2月23日

チョコパイのことをホールケーキだと思い込めるか

僕は成功しました。思い込むことに。

チョコパイを1個食べた時のあの満足感たるや、のっぺりした見た目からは考えられないほどである。

ケーキに軽く匹敵する。丸いからホールケーキだ。そう、ホールケーキと言ってもいい。ハッピーバースデイ!

ちょっとした工夫で、見た目もホールケーキにならないだろうか。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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チョコパイの満足感とのっぺりした見た目のギャップ

チョコパイがちょっともう信じられないほどにおいしい。あの優しい甘さに満たされると、食べる前とは別人のような気持ちになっていることに気がつく。ああ、すごくいいものをいただいたな、と思うのだ。

そんな体験をこんなにカジュアルにしていいのか。机を叩いて問い詰めたくなる。何かが間違っているんじゃないかと。

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チョコパイ。

その信じられない気持ちには、こんなのっぺりした見た目なのに、というギャップへの驚きも含まれていると思うのだ。

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のぺっとしている。

何かの素材、という感じがする。縄文人に見せたらこれを削って矢じりを作ろうとするだろう。

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真上からずっと見ていると凹んでるような気さえしてくる。

とにかくすごくのっぺりしているのだ。飾らない良さも分かるが、もうちょっとその満足度に見合った装いがあってもいいのではないか。

例えばそう、ホールケーキだ。ちょっとした工夫で小さいホールケーキみたいにならないだろうか。味や食べ応えはもちろん、素材としてホールケーキになりそうなオーラを感じる。

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こうなったらかわいいだろうな。

かわいいものができたら嬉しいし、チョコパイも格が上がったようで嬉しいのではないだろうか。やってみよう。

できてないことはない

長々と前置きをして「やってみよう」で締めたが、まず結果から発表します。

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これです。
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ほら、背景は気にしないで。ホールケーキに見えないだろうか。どうだろうか。
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本当はこれなのに。本当はこれなのにだよ。
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ほら。こうしたら完全にもう、ほら。

写真4枚使ってグイグイお伝えしてしまってすみません。できてないことはない、という水準にはあると思う。

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だってこれはできている時の顔だ。できていなきゃこんな顔できない。

チョコパイを満足度相応の見た目(ホールケーキ)にできた。食べ応えと見た目とのギャップがなくなったので、むしろこれこそがチョコパイの真の姿だ、と村の見晴台に登って叫びたい気持ちである。

チョコパイ食べる時ってこれくらいの高揚感があるだろ。そうだろ村のみんな!

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迷走したのだ

そう、迷走したのだ。暗い森に迷い込んで、やっと光を見つけたと思って飛び出したところで見たものがこれだった。

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これ。
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本当はここにたどり着きたかった。もっとスマートにやるはずだった。

全てが思った通りにはならなかったが生きて帰ってこれてよかった。今はそういう気持ちである。

だからこの迷走の過程で生まれたものもこの試みの成果物だ。ここからそれを発表します。

ケーキではあるが、ホールのケーキにならない

羅針盤としてもう一度やりたかったことを確認しよう。

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これだ。

だから最初にやったのはチョコパイに生クリームを塗ることだった。

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こうして、
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こうなった。

すごくおいしそうなんだけどホールのケーキではない。あと生クリームが思ったより柔らかくて塗りにくい。これをきれいに塗れる人はすごいなあと思っていた。

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正解は植物性脂肪のホイップクリームを使っていたからでした。

ケーキのデコレーションで使う角が立つような生クリームは動物性脂肪のクリームでないといけないのだけど、この時はまだ気づいていない。

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生クリーム塗るのは難しかったので別の方向を模索する。しかしなんか違う。
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ミントがないからいけないのかな、と思って冷蔵庫を探し、チンゲン菜をそれっぽい形に切って添えてみる。

チンゲン菜にしては頑張っているが、頑張るところが違う。

チョコパイから離れてしまう

ここからなぜかチョコパイから離れてしまう。

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クリームチーズも似たところあるよなーとか思ってやってみる。
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すごくおいしそうではあるがホールケーキじゃない。
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小さくてかわいいとは思う。
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チーズデザートとやらものっぺりしているなと思ってデコレーションする。そういう問題じゃないんだ。
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乗せるものをもっとカラフルにしたら、とかそういうことでもないんだ。

毒のある海の生き物みたいなものを作っている。これを大真面目にやっているのでどうかしていたんだなと思う。

これらは作ったら食べているので、一日に2個が限界である。載せていない失敗もあり、5日ほどはこんなものを作っては首を傾げ、食べたらおいしいなーと喜んでいた。

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もう、餅なんじゃないか、と思ったらしく、切り餅を軽く焼いてあんこを絞るところまで行った。

見た目以上においしくて(餅とあんことラズベリーの組み合わせが合う)これはこれで発見だったのだが、とにかくこれはホールケーキじゃない。道に迷って隣の県まで行ったな。

この時の僕は、クリームが柔らかすぎるのが全ての原因だと思っていたので、思うような生クリームを一から作ることになる。

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しかしいくら泡立てても思ってるやつにならなくて焦る。

また植物性のやつを買っていた。何をやってもうまくいかないモードなんだ。かたくする方法を検索してレモン汁を垂らしてみたりするがダメだ。動物性のクリームを使わなきゃダメなんだ。

この時やっとそこに気が付いたのだが、買い直して思うようなクリームができたとて、それ以外の部分は全部うまくいくのか? この時深夜2時である。明日か? 明日生クリーム買い直してやるしかないのか?

ブツブツ言っていると隣で仕事をしていた妻が検索した画面を見せてくれた。

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「チョコパイでしょ? こういう感じにはなるんじゃない?」

言葉を失った。この時僕は、自分に足りていなかったものに気が付いた。

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寄り添う気持ちだ

今ままで僕はチョコパイをホールケーキに見せようとだけしていて、チョコパイをホールケーキのように見る努力を怠っていた。チョコパイがホールケーキに見えなかったのはチョコパイが悪いのではない。そういう風に見ようとする自分がいなかっただけだ。

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図にするとこう。

ただ完成形を1個想像して、そうなってくれと腕組んで見ているだけじゃダメなのだ。見るこちらも動かないと。

自分を中心に世界が回るわけないじゃないか。自分の認識も宇宙をうつろう星くずの一つなのだ。そう、これが地動説だ。コペルニクス的転回というやつだ。

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慌てて硬い紙を丸めてかぶる。
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チョコパイの可能性を信じ、どんな球が来ようと受け止める気持ちで。
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チョコプレートを小さく砕いてメッセージを書く。
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光が見えた。僕には見える。

 

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「これはホールケーキ、これはホールケーキ、これはホールケーキ…」
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最後に遠近法で大きく見せて、完成とした。完全に迷走から脱した。

これが、チョコパイを食べる気持ちに見合ったふさわしい装い、そしてその装いに見えるようチューニングした観測者の姿だ。そうだろ村のみんな! 

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近づいて見ると小さくてかわいい。

迷走が生み出したもの

何かを人に期待する時は、見る側も期待した姿に見えるよう動く。この教訓を得られたのは大きかった。

あと、人間の迷走の様子がしみじみ見られて貴重な機会だった。チンゲン菜をミントみたいに添えて「よし」とか言うのだ。

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最後にまとめておこう。

紙を丸めてかぶるやつ

色々うまくいかなくて悩んだが、紙を丸めてかぶるやつはすぐできてそれっぽくなった。

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良かった。
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あと失敗した生クリームは冷凍してアイスにした。おいしかった。
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