いつものアレではないのをください
長年気になりつつもこれまで注文したことがなかった、やんばる食堂のチキンナゲット定食。
これで私もチキンナゲット定食経験者の仲間入りだ。なんだか誇らしい。
いつものあれではなく、いつものではないあれを注文する。新しい発見もあり楽しいものだ。また気になるメニューがあれば注文してみよう。
沖縄の食堂には沖縄独自のメニューがたくさんある。沖縄そばやゴーヤーチャンプルーなどのメジャーどころをはじめ、以前紹介した「煮付け」や「ポークたまご定食」、安藤さんが昔食べていた「Aランチ」などなど。
それらは観光客からも沖縄県民からも人気があるのだが、たまに誰がどんなときに食べるの?と思ってしまう謎メニューが紛れ込んでいることがある。そのひとつが、那覇市長田にある「やんばる食堂」のチキンナゲット定食だ。
他に食べたいものがあるが、あえて注文してみることにした。
那覇市長田にある「やんばる食堂」は、創業50年余りになる老舗の沖縄大衆食堂。沖縄大学の目の前にあり、安い!多い!早い!とあって、いつ行っても混雑している人気ぶりである。
麺料理ではなく野菜炒めがごはんの上に乗っている「ちゃんぽん」や豚のモツの炒めもの「中味いりちゃー」など、初見殺しな沖縄独自メニューもありつつ、とんかつ定食や炒飯、カレーライスなど幅広いメニューが揃っている。店内を見渡してみても突出して人気のメニューがあるわけではなく、各々好きなものを食べている印象だ。
そんななかで異彩を放っているのが件のチキンナゲット定食である。
本当は「サバみそ定食 刺身付き(825円)」を食べたい気持ちをぐっとこらえて、今回はあえてチキンナゲット定食を初注文。
チキンナゲット自体は好きだが、今まで頼まなかった理由は
・食堂でチキンナゲットの違和感
・850円出すなら刺身付きがいい
・お腹いっぱいにならなさそう
の理由からである。
果たしてどんなものが出てくるだろうか。
出てきたのはこちら。皿数が多いし汁物代わりの沖縄そばまで付いている。
これで850円なら納得できる。
いままで注文しなかったことをもったいなく思った。
手前の小皿に入った黄色いのはたくあんだ。チキンナゲットとたくあん。出会ってよかったのだろうか。
チキンナゲット用のケチャップが別皿で添えられているうえにウインナーの上にもケチャップ。ちょっと調味料がケチャップに寄りすぎている気がする。
揚げたてのチキンナゲットはふかふかで柔らかく美味しかった。チキンナゲットをおかずに白ごはんをかき込むと、一瞬脳が戸惑うものの意外とマッチしていた。口の中で食堂とファストフード店が一緒になった不思議な感覚。
全体的に脂っこく柔らかい食感のおかずが多いなかで、箸休めのたくあんの存在がキラリと光る。たくあんにはチキンナゲット定食の最優秀助演賞を捧げたい。
食べ終わって、食堂のおばちゃんに「チキンナゲット定食って出ますか?」と聞いてみたら「…うふふ。」と意味深な笑み。
それ以上は聞かなかった。
長年気になりつつもこれまで注文したことがなかった、やんばる食堂のチキンナゲット定食。
これで私もチキンナゲット定食経験者の仲間入りだ。なんだか誇らしい。
いつものあれではなく、いつものではないあれを注文する。新しい発見もあり楽しいものだ。また気になるメニューがあれば注文してみよう。
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