ダークマターを普段づかい
ストライプ柄だと痩せて見えるとかばかにするなと思っていた。
ルアーを餌と見間違えてしまう魚じゃないんだから、目の錯覚で痩せたり太ったりして見えるものかと思っていた。
だが、真っ黒だと消える。
次は、コートの内側、真っ黒なところから「ガスター」の文字を飛び立たせたい。
黒い布はけっこう反射するので、真っ黒にはならない。
だが、反射しない黒い布がある。「世界一黒い車」で取材した光陽オリエントジャパンが作っている無反射植毛布だ。
光を反射せず、写真を撮ると塗りつぶしたかのように真っ黒になる。
これで服を作ってみよう。
以前、この無反射植毛布を使って時空の裂け目を作った。
通常の黒だと光を反射してしまうのだが、この布は光を反射せず、その部分が抜けているように見える。カメラの受光部分が壊れているようだ。
左のロールに巻いてあるところが布の裏側。通常の黒い布であればこのように光を反射する。
この真っ黒な布を使ってTシャツを作った。いや、正確には「作ってもらった」だ。
裁縫が得意な妻(べつやくれい)に頼んだのだ。
自分で作ってみようと思ったが、布がちょっと高かったので失敗して台なしになることを避けた(言い訳と思って構わない)。
Tシャツを塗った妻曰く
・針がべたべたになる
・黒すぎて縫い目が見えない
とのことだった。
この布は反射しないように細かい毛がビロードのようにはえている(その毛で入ってきた光を出さないらしい。クマと同じ)。その毛を貼るための接着剤かもしれない。
これで服を作る方は参考にしてほしい。
黒というか、後からフォトショップで塗りつぶしたかのように見える。よっぽど変なTシャツを着ていたのだろうか。
反射しない黒はのっぺりと板のように見えるため、その部分の立体感がなくなるのだ。
真っ黒なTシャツは言ってみれば「無」の状態である。光すら吸い込んでしまう。
マンガに出てくる変質者はトレンチコートの下に何も着ていない。あれを一歩進めて、なにも着てないのではなく、”なにもない” 状態にできるのではないだろうか。トレンチコートの下がブラックホールだ。
Tシャツを着るだけではなく、コートの裏側にもこの布を貼っておけばよい。
確かにコートの内側が抜け落ちているのだが……これはなんだろう。黒い板を持っているように見えてしまう。これまで似たものを見たことがないため、頭の理解が追いつかない。
ストライプ柄だと痩せて見えるとかばかにするなと思っていた。
ルアーを餌と見間違えてしまう魚じゃないんだから、目の錯覚で痩せたり太ったりして見えるものかと思っていた。
だが、真っ黒だと消える。
次は、コートの内側、真っ黒なところから「ガスター」の文字を飛び立たせたい。
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