特集 2021年6月14日

世界一黒いTシャツ

黒い布はけっこう反射するので、真っ黒にはならない。

だが、反射しない黒い布がある。「世界一黒い車」で取材した光陽オリエントジャパンが作っている無反射植毛布だ。

光を反射せず、写真を撮ると塗りつぶしたかのように真っ黒になる。

これで服を作ってみよう。
 

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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光を反射しない

以前、この無反射植毛布を使って時空の裂け目を作った。

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時空の裂け目に飲まれたい〜大垣ミニメイカーフェアへの道

通常の黒だと光を反射してしまうのだが、この布は光を反射せず、その部分が抜けているように見える。カメラの受光部分が壊れているようだ。

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布の状態

左のロールに巻いてあるところが布の裏側。通常の黒い布であればこのように光を反射する。

この真っ黒な布を使ってTシャツを作った。いや、正確には「作ってもらった」だ。
裁縫が得意な妻(べつやくれい)に頼んだのだ。

自分で作ってみようと思ったが、布がちょっと高かったので失敗して台なしになることを避けた(言い訳と思って構わない)。

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でも、型紙は楽天で僕が買いました

Tシャツを塗った妻曰く

・針がべたべたになる
・黒すぎて縫い目が見えない

とのことだった。

この布は反射しないように細かい毛がビロードのようにはえている(その毛で入ってきた光を出さないらしい。クマと同じ)。その毛を貼るための接着剤かもしれない。

これで服を作る方は参考にしてほしい。

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そうしてできたのがこのTシャツである

黒というか、後からフォトショップで塗りつぶしたかのように見える。よっぽど変なTシャツを着ていたのだろうか。

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拡大しても黒い。向かって右、二の腕の上にやや光が当たっているのがわかる

体型が隠れる

反射しない黒はのっぺりと板のように見えるため、その部分の立体感がなくなるのだ。

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これぐらいしっかり腹が出ているが
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正面からはまったくわからない
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腹が出てるのか引っ込んでいるのか、腹があるのかどうかもわからない
いったん広告です

異次元の変態にもなれるのではないか

真っ黒なTシャツは言ってみれば「無」の状態である。光すら吸い込んでしまう。

マンガに出てくる変質者はトレンチコートの下に何も着ていない。あれを一歩進めて、なにも着てないのではなく、”なにもない” 状態にできるのではないだろうか。トレンチコートの下がブラックホールだ。

Tシャツを着るだけではなく、コートの裏側にもこの布を貼っておけばよい。

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こんにちは
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無!
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…………無?

確かにコートの内側が抜け落ちているのだが……これはなんだろう。黒い板を持っているように見えてしまう。これまで似たものを見たことがないため、頭の理解が追いつかない。

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念のためですが、こうなってます
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ただ、コートを開く直前、やばいぐらい楽しそうな表情をしていることは分かった

ダークマターを普段づかい

ストライプ柄だと痩せて見えるとかばかにするなと思っていた。

ルアーを餌と見間違えてしまう魚じゃないんだから、目の錯覚で痩せたり太ったりして見えるものかと思っていた。

だが、真っ黒だと消える。

次は、コートの内側、真っ黒なところから「ガスター」の文字を飛び立たせたい。

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これ着てデスク向かってるとき、身体が消えてた
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