とくべつ企画「激辛」 2018年2月27日

コーレーグースを飲み比べてみる

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コーレーグースとは、沖縄在来種の唐辛子「島唐辛子」を泡盛に漬け込んだ調味料で、沖縄そばの薬味としてよく使われている。

材料は基本的に唐辛子と泡盛のみ、というシンプルなものなのだが、最近は手を変え品を変えて様々な商品が出ている。

これらを飲み比べたら、果たして「辛い」以外の特長は見つかるのだろうか。
新潟出身。沖縄に来てそろそろ15年くらい経つのに泳げないため全然沖縄を満喫できていない気がする。最近の悩みは高血圧。

前の記事:スマートスピーカーはどこまで沖縄の事を理解してるのか


全体的に赤い
全体的に赤い
沖縄に「コーレーグース」という調味料がある。

ちょっとややこしいのだが、沖縄在来の唐辛子「島唐辛子」の方言名が「コーレーグース(高麗胡椒)」で、それを泡盛に漬け込んだ調味料もそのまま「コーレーグース」という名前で呼ばれている。主な用途は沖縄そばの薬味として使われることが多いので、日本蕎麦における七味唐辛子のような位置づけだと思って頂くといいと思う。

沖縄ではわりと一般的な調味料で、県内のスーパーマーケットや土産物店に行けば容易に手に入るし、地域の農産物が集まるファーマーズマーケット等では、自宅にあるウィスキーなどの空き瓶を利用して手作りされた、いわゆる野良コーレーグースも販売されている。
野良コーレーグースの一例
野良コーレーグースの一例
そんなコーレーグースだが、単純に泡盛に島唐辛子を漬け込んだものだけではなく、最近は色々な製法や材料に工夫をした商品が並んでいる。これらの商品を飲み比べてみることでその特長を調べてみたい。

コーレーグース6選

さて、今回用意したのは以下の6種類。一部、厳密に言えばコーレーグースの定義に当てはまらないものもあるが、まぁそのあたりは大目に見て頂きたい。
コーレーグース
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こちらは泡盛と島唐辛子を使った一般的なコーレーグース。今回はこちらを基準にして他の製品の特長を見ていきたいと思う。
こーれーくぅーす
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こちらは島唐辛子を漬け込む泡盛に、古酒(クース)を使ったもの。泡盛は寝かせれば寝かせるほど味がまろやかになるとされており、これまでありそうでなかったコーレーグースである。果たしてコーレーグースになっても、古酒ならではの深みやまろやかさが残っているのだろうか。気になるところである。
激辛こーれーぐーす
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こちらは漬け込む唐辛子が粉末状になったタイプ。品名も「辛味調味料(激辛)」となっている。唐辛子が粉末になったことで、一般的な実のままの製品よりも辛味が泡盛に滲み出ていそうな気がするが、はたして。
こーれーぐーす粉末
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粉末タイプのコーレーグース。ラベルの原材料名を見ると「島唐辛子」とだけあるので、一味唐辛子みたいなものだろうか。先述の通りコーレーグースは島唐辛子そのものを指す場合と泡盛に漬け込んだ調味料を指す場合があるので、これは前者ということかもしれない。
島スコ
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こちらは島唐辛子を泡盛漬けにしたものではなく、島唐辛子と沖縄塩、シークヮーサーを混ぜ合わせた沖縄版のタバスコ。本場メキシコのタバスコは唐辛子と塩と酢を混ぜ合わせて作られているので、酢の部分がシークヮーサーに変わっているというわけだ。
アカハチ
辛すぎホットソース
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こちらもどちらかと言えばタバスコ系の調味料。アカハチという唐辛子が使われているのだが、この唐辛子はもともと医療用にカプサイシンを抽出するためにインドから持って来たものを石垣島で育てているのだそうで、唐辛子の辛み成分のカプサイシンがハバネロの5倍というすごいやつ。沖縄版デスソースみたいな位置づけだろうか。
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以上6点、さっそく味わいを比べてみたいと思う。

コーレーグース飲み比べ

さて、味比べである。本来ならば沖縄そばにかけたりして味を確かめていきたいところなのだが、料理に入れてしまうとなかなか味の違いが分かりにくい。ここはシンプルにそのまま飲んで味を確かめていきたいと思う。

僕はこれまでにも何度かコーレーグースに関する記事を書いているのだが、別に辛いものがそこまで好きでもないのにだいたい直で飲んで味を確かめている。

そしてそのたびに割と後悔している。そろそろ沖縄県内でのコーレーグース消費者番付とかに入るんじゃないかと思ってるのだが、これが誇って良いことなのかどうか疑問が残る。

当然ながらコーレーグースはあくまでも薬味なので、そのまま飲むのはおすすめしない。読者諸賢はその点だけご留意していただきたい。前置きが長くなったので飲み比べをスタートさせよう。
コーレーグース
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まずは最も一般的なコーレーグースから。泡盛は樽貯蔵で樽の色がついたものをのぞいて無色透明だが、コーレーグースはおそらく唐辛子の色のせいかほのかな褐色になっている。鼻を近づけてみると独特な香りがするのだが、これは泡盛の香りというよりも島唐辛子の香りだと思う。
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ぐっと飲んでみる。
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うん。辛い。…それだけだと全部「辛い」で終わってしまうので若干の感想を。コーレーグースは最初の一口はあまり辛さを感じず、一瞬遅れて辛みがやってくる。その後すっと辛さが引いていく、割とシャープな味わいである。口の中にいつまでも残らないので、ちょっとこってりした沖縄そばにもよく合うのだと思う。

余談だが、辛いものを食べた翌日トイレがつらいみたいな話があるが、コーレーグースではそのような事がない気がする。唐辛子成分を泡盛に溶かすことで何かしらあるんじゃないかと思っているのだが未だ僕の中では謎である。
こーれーくぅーす
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続いては泡盛の古酒を使った「こーれーくぅーす」。色は一般的なものより少し濃い気がする。
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辛い。激辛特集だからといって、こんな企画をやってしまったことを若干後悔しはじめている。

ただ、驚きもあった。香り、口の中に広がる味の深み的なものが全然違うのだ。辛いだけで味の違いなんてないだろうと思っていたが、やはり古酒の味わいみたいなものがはっきり分かる味だった。

まあ、これを沖縄そばに入れて味が分かるかはちょっと分からないけど。

泡盛の古酒は寝かせた年月の長いものほど値段が高くなり、値段が付けられないほど貴重なものもあるのだが、いつかものすごい高い古酒でコーレーグースを作ってみたい。怒られそうな気はするが。
激辛こーれーぐーす
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島唐辛子が粉状になったものが泡盛に漬けられている「激辛こーれーぐーす」。唐辛子は底の方に沈殿しているので、使う前に容器を軽く振って混ぜ合わせて使う。
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「激辛」というから身構えていたが、液体部分は意外と辛くなかった。ただ、油断していると粉末唐辛子が喉に張りついて悶絶することになる。唐辛子をどれくらい攪拌して出すかによって、辛さを調整できそうな感じだ。
こーれーぐーす粉末
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粉末のコーレーグース。唐辛子は種が辛いという話を聞いたことがあるのだが、種も結構入っているのが恐ろしい。
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本当にびっくりしたのだが、全然辛くない。ただ食感を口の中で感じるのみである。もしかしたら、口の中が辛さに慣れてしまっただけなのだろうか。そんなお口のコンディションなのでちょっと自信がないが、宅配ピザについてくるトッピングの唐辛子程度の辛さだと思う。
島スコ
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続いてはタバスコの沖縄版、「島スコ」。見た目はタバスコそのままっぽいが、瓶から出したときのシークヮーサーの香りがものすごく爽やかだ。
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ここまで単純に辛いものだけだったのだが、島スコは「うまい」。ちょっと笑みがこぼれるくらい。

シークヮーサーの香りと酸味、そしてほどよい塩味で辛みはほとんど感じなかった(前述のとおり口が辛さに慣れすぎたのもあるけど)。

これは色々な料理に使えそうな気もするのだが、コーレーグースを飲み比べるという趣旨からするとちょっと外れてしまうし、沖縄そばにはあんまり合わない気もする。
アカハチ
辛すぎホットソース
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最後のアカハチホットソース。他にはなかった鮮やかな朱色である。
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もう口の中がちょっとやそっとの辛さを感じなくなっているにも関わらず、めちゃめちゃ辛い。辛さの暴力である。

辛い物好きにオススメとかそういうレベルでもない気がするのだが、少量でものすごく辛いので料理に雑味を入れずに辛くしたいというときには役に立ちそうである。

実をいうとこのアカハチは一度取材をしたことがあったのだが、担当の方が唐辛子を触る時にゴム手袋をしていた。それくらい危険な唐辛子をソースにしたわけである。辛くないはずがない。

はっきりと味には違いがある

汗が噴き出る
汗が噴き出る
さて、コーレーグース(一部ホットソース)を飲んで分かった事だが、同じような製法のものでもただ辛いだけでなくはっきりと匂いや味に違いがあるのだ。お土産にコーレーグースを買って帰りたいけど、どれがいいのか分からないという方は、今回の飲み比べを参考にしていただき、自分好みのコーレーグースを見つけていただきたいと思う。

さいごに、コーレーグースには泡盛が使われているので、過剰摂取すると酒気帯び運転になる。過去に実験したところ、コーレーグースをペットボトルキャップ5杯分飲んだところでアルコールチェッカーが反応した。まぁそんなにコーレーグースを飲む人は僕以外にいないと思うが、車の運転をされる方はくれぐれもご注意いただきたい。
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