「人形との関わり方」って?
(関連記事:最強?人形ホラーとしての『アンパンマン』)
この人形の講義、大学では一年通しておこなわれているが(前期は学内3位の「人形メディア学概論」で、後期が「人形とホラー」)、
昨年広島の高校でも単発で模擬講義がおこなわれた。それが「われわれはぬいぐるみを捨てるべきか」だ。








「何十年後に年老いて、自分の身の回りの整理をするような状況になった場合に、捨てるという状況もあるんだろうなぁ。」
「その場合どうやって?」
というかんじ。
一般的にはどういうパターンが多いのだろう。



講義についての話を聞く




















入試で大学に来る子を見てても、やっぱり受験生ってのは願いを持ってる人たちなので、人形持ってる率がより高い……?















このグラフが、なにが移行対象になりうるか、という話なんですけど……



年齢によって、心のよりどころとなる対象物が推移していく。








































「言いやすくなった」という風潮がある一方で、「大人になっても持っているだなんて恥ずかしい」という価値観が存在するのも確かだ。










ものに向けての感情のはなし
まずは「東京でもらったティッシュを地方で捨てられない」という子について。




























学生さんのこういうエピソードは、講義が終わったあとに提出するコメントシート書いてもらうことになっている。「誰にも言ったことないんですけど……」という書き出しのものも結構くるらしい。









ある日茶碗を割っちゃって、割っちゃったことに対して申し訳なく思ってて、ずっと捨てずに置いといて、そこの前を通るたびに会釈をしてる……という。















元々は演劇学専門で、もっと「作品の中で人形がどのように扱われているか」というような話を扱うつもりだったんですけど。

受講者は基本的に、文学部と文化構想学部の生徒だが、たまに連れてこられた他大学の友人がもぐりこんでることがある。



もぐりの人にも「コメントだけは書け」って言ってるので書いてもらえます。次の週それを読んでも多分その人はいないですけど。









けどドアノブさんはその後たずねてきてくれました。君だったのか……! みたいな。

自分の所持品で一番捨てづらいものってなんだろう? と考えてみると、「20年以上着続けてるヨレヨレになって着心地がいい部屋着」が浮かんだ。中学生のときに買って、何度引っ越してもずっと連れてきたし、「共にすごした感」が無意識にあったのかも?



仲良しだったお買い物クマ



その「お買い物クマ」と古賀さんはとても仲良くなったらしい。



(※すべて古賀さんの脳内での出来事です)
勝手にそばを打ったりし、そしてそれをうっかりひっくり返したりしてしまう。
































大人になって、30過ぎ、35過ぎて、そういうことを頭で考えるようになったら「疲れてるんだな」と分かるようになったんですけど、当時はせつな過ぎてほんとつらくて。



これ出されたらものすごい普通の話しか出てこないぞ……。

分類への気づき
「捨てるという状況もいつかくるかも。」
「その場合どうやって?」
という相談。
けどその前に、話してるうちにひとつ気づいたことが。この人たちって、私にとって「ビジネスパートナー」なのでは……?






棚に並べて置いてあると、性質として「インテリア」に近まる。



いや、けど自宅を見渡すと「棚に置いて飾ってるもの」と「生活空間に居るもの」があって、「生活空間寄り」のものたちを「棚に陳列」するのには抵抗がある。なんとなくの申し訳なさ、というか。



このように「人形」というジャンルだけでも、自分の中に3パターンもの分類があった。はじめて気づいた。



ちなみに私の場合、同居人は昔からずっといる訳じゃなく、近年また現れた感じだ。なんだこれ。

このままでいいらしい
この後、大量のぬいぐるみと一緒に住んでる人の本も見せてもらったが、こういうのって結構何でもありなんだな! と、なにも気にせず突き進んでいいような感覚を覚えた。
古賀さんも「ここまで持っていていいんだよという許しを得た気がした。」という感想を持っていた。



学生たちからも、「最初はなんだか楽しそう、恐そう、とだけ思って履修したけど、自分の怪しげな部分と向き合う機会になった。」
という声がたまにあるらしい。
たった2時間の訪問だったのに、普段使わない部分の脳みそを使ったからか、帰るころにはふたりして妙に疲れていた。





大学での人形の講義については、今年の秋に書籍も出るそうなので、気になった方はぜひ。





