特集 2016年9月12日

先住民族ララムリのサンダルを作って走ったら快適だった

ランニング用サンダルのワラーチ。自分で作れます。快適です。
ランニング用サンダルのワラーチ。自分で作れます。快適です。
ここ数年、サンダルで走ることが一部のランナーの間で流行っています。サンダルと言ってもビーチサンダルやトイレにあるようなものではなく、ランニング用に作られたサンダルです。

人間の持つ本来の足の機能を引出し、ひざ痛などの足の故障が解消されると、ランナー以外の人の利用も増えています。

このランニング用サンダルは市販品もありますが、自分で作る事も出来ます。ワラーチとよばれ、手近な物で簡単に作れて、履き心地も快適。作り方を教わってきました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

走る民が履くサンダル

ワラーチはメキシコ北西部、コッパ―キャニオンと呼ばれる山奥で暮らす先住民族ララムリ(タラウマラ族)が履いているサンダルです。

以前、「裸足で走ると気持ちいい」という記事で紹介した「BORN TO RUN 走るために生まれた」という本に登場し、世界に知られるようになりました。
ランナーの間ではかなり有名な本です。
ランナーの間ではかなり有名な本です。
素足で走る感覚に近く、人間の持つ足の機能を最大限に活かして走る事が出来ます。足が締め付けられることもありません。また、自分でも簡単に作る事が可能で、色々アレンジも出来るので、ジワジワと人気が出てきている。

以前から気にはなっていたワラーチ作りのワークショップに参加して作り方から教わりました。

材料はゴムシートと紐

ということで、東京神田のビルの一室で開催されていたワラーチ作りのワークショップにやってきました。
ワラーチの材料と作る道具。その辺で揃うものばかり。
ワラーチの材料と作る道具。その辺で揃うものばかり。
今回作り方を教えてくれるのは、アディオ・カイロプラクティック代表の坂本さん。
夫婦でカイロプラクティック治療院を営んでいる坂本さん。
夫婦でカイロプラクティック治療院を営んでいる坂本さん。
友人からの誘いでマラソンを走り始めた坂本さん。以前は、様々な高機能ランニングシューズを試したが、少し走るとすぐにひざ痛となって思うように走れなかったそうです。

ある日ワラーチに出会い、試しに履いて走ってみたら膝の痛みが発生しない。これはいいと、それ以来ワラーチについて色々研究し、今は多くの人に広める為、このようなワラーチ作りのワークショップを開いています。

よろしくお願いします。
手順はこれだけ。シンプル。
手順はこれだけ。シンプル。
ワークショップは、まずワラーチがどういうものか簡単に説明があり、続いて実際に自分で作っていきます。作り方の手順は3段階。

・自分の足の型を紙にとり、ワラーチの形に切り抜く。
・ワラーチの底となるゴムシートに紙型を写し切り抜く。
・紐を通す。
真田紐。使う紐は丈夫なものならなんでも大丈夫。
真田紐。使う紐は丈夫なものならなんでも大丈夫。
使う紐は丈夫な真田紐を使います。今回は12mm幅の物。大人の足なら両足で3m程あれば足ります。
ビブラムシート。5本指シューズを作っている靴底メーカーの物。
ビブラムシート。5本指シューズを作っている靴底メーカーの物。
ワラーチ本体部分は通常の靴に使うゴムシートを切って使います。今回は7mm厚の物を使用。ララムリは古タイヤを切って作った靴底と、牛皮の紐でワラーチを作るそうです。

ワラーチの素材に関しては必ずこれと決まった物は無いので、各自で創意工夫して使いやすいようにカスタマイズすることが可能です。今回は一番ベーシックな物を教わります。

ペンでサラサラと足型作り

材料を確認して続いて足型作りに入ります。手順はこんな感じ。
紙の上に足を置いて垂直に立てたペンで足の外周をなぞる。
紙の上に足を置いて垂直に立てたペンで足の外周をなぞる。
前の紐を通す穴を開ける位置に印をつける。足にフィットするように、なるべく指の谷間の底に近い位置につけるのがコツ。
前の紐を通す穴を開ける位置に印をつける。足にフィットするように、なるべく指の谷間の底に近い位置につけるのがコツ。
くるぶしの前の所に触るように垂直にペンを下して側面の紐を通す穴の位置を印する。
くるぶしの前の所に触るように垂直にペンを下して側面の紐を通す穴の位置を印する。
足型とり完了。
足型とり完了。
足型がとれたらワラーチ本体の外周部を描きます。
手書きでザックリでOK
手書きでザックリでOK
足型を囲むように描きますが、この時に足の先端部とかかとは足型ギリギリにします。余裕を持たせると、履いた時にバタバタとめくれて歩きにくくなります。

側面は穴を開ける位置を考慮して、穴の位置から7、8mm外側に描きます。穴を側面のギリギリに空けてしまうと、紐を通した時にゴムがちぎれてしまいます。
足型は片方だけでも大丈夫。
足型は片方だけでも大丈夫。
足型は、左右で足の大きさが大幅に違わなければ、片側だけとって裏返して使っても大丈夫です。心配な人は両方とりましょう。
一回作ればなんどでも使える。
一回作ればなんどでも使える。
切り抜いて紐を通す位置にパンチで穴を開ければ型紙は完成。

写して切り抜き、穴を抜く

型が出来たらその形をゴムシートに写します。ずれないように型を置き、ペンで周りをなぞれば型写し完了。
片足でビブラムシートを1枚使用。子供用なら斜めに置けば1枚で両足作れるかもしれません。
片足でビブラムシートを1枚使用。子供用なら斜めに置けば1枚で両足作れるかもしれません。
型を写したら切り抜きます。大き目のハサミがあれば簡単に切れます。
切断面が多少ガタガタでも、使っているうちに擦れて滑らかになるそうです。
切断面が多少ガタガタでも、使っているうちに擦れて滑らかになるそうです。
切り抜いたら穴あけを行います。穴あけに使うのはこちらの道具。
100円ショップの手芸コーナーでも売っています。
100円ショップの手芸コーナーでも売っています。
皮細工などに使う穴あけポンチです。6mmと3mmの物を使います。
力のある方なら金づちを使わず手で押し込んでも開きます。
力のある方なら金づちを使わず手で押し込んでも開きます。
まず6mmのもので前に穴を開けます。次に側面の穴位置の前後に3mmのポンチでそれぞれ2個穴を開けます。
こんな感じに穴を開ける。
こんな感じに穴を開ける。
側面用の穴は、2つの穴の間をカッターで切ってつなげて縦長にします。こうすることで紐が足にフィットしやすくなります。
本体部分完成。
本体部分完成。
あとは紐を通せばワラーチ完成です。紐の通し方には各種あり、特に決まった形はないそうです。今回はその中でも一番ポピュラーな巻き方を教えていただきました。これが結構複雑です。

東吉巻

紐通し工程は、まず先ほどの真田紐を半分に折って等分して必要な長さに切断します。
大人の足なら片足1.5mほど要ります。
大人の足なら片足1.5mほど要ります。
続いて紐通し。まず前の穴に紐を通して地面に着く側に結び玉を作り抜けないようにします。
8の字結びというやりかたで結び目を作っています。
8の字結びというやりかたで結び目を作っています。
余りの部分は長すぎる場合は、結び目がほどけない程度に切っても大丈夫です。更に各部の穴に紐を通して結び、ワラーチに仕上げていきます。
外側側面の穴へ表から裏に向かって通す。
外側側面の穴へ表から裏に向かって通す。
足の甲の部分にかかる紐の下を前から後ろへ通す。
足の甲の部分にかかる紐の下を前から後ろへ通す。
かかとにかけながら、内側側面の穴に表から裏に向かって通す。
かかとにかけながら、内側側面の穴に表から裏に向かって通す。
紐の締め付け具合を調整しながら、かかとにかかる紐の下を、下から上に向かって通す。
紐の締め付け具合を調整しながら、かかとにかかる紐の下を、下から上に向かって通す。
甲にかかる紐の下を通す。
甲にかかる紐の下を通す。
甲を通した紐を戻して、かかとにかかる紐の下を上から下に向かって通す。
甲を通した紐を戻して、かかとにかかる紐の下を上から下に向かって通す。
かかとにかかる紐の下を通したあと、2本の甲にかかる紐の下を後ろから前に向かって通し、出来た輪のなかへ紐を通す。
かかとにかかる紐の下を通したあと、2本の甲にかかる紐の下を後ろから前に向かって通し、出来た輪のなかへ紐を通す。
締め付け具合を調整しながら、輪を通した紐を引いて結び目を作り固定する。
締め付け具合を調整しながら、輪を通した紐を引いて結び目を作り固定する。
内側で一度結んだらかかとにかけて外側に戻り、甲にかかる紐の下を後ろから前に向かって通す。そのあと、かかとにかかる2本の紐の下を上から下に向かって通し輪を作り、輪の中を通す。
内側で一度結んだらかかとにかけて外側に戻り、甲にかかる紐の下を後ろから前に向かって通す。そのあと、かかとにかかる2本の紐の下を上から下に向かって通し輪を作り、輪の中を通す。
締め付け具合を調整しながら、輪を通した紐を引いて結び目を作り外側を固定する。続いて甲の上で内側に向かう2本の紐の下を通す。通した後に外側に向かう2本の紐の下を通して輪を作る。
締め付け具合を調整しながら、輪を通した紐を引いて結び目を作り外側を固定する。続いて甲の上で内側に向かう2本の紐の下を通す。通した後に外側に向かう2本の紐の下を通して輪を作る。
締め付け具合を調整しながら、輪を通した紐を引いて結び目を作り外側を固定する。
締め付け具合を調整しながら、輪を通した紐を引いて結び目を作り外側を固定する。
余った部分をまとめれば完成。
余った部分をまとめれば完成。
この巻き方は、80年代に雑誌「ポパイ」でモデルをやっていた木村東吉さんが考案したもので、東吉巻とも言われるそうです。サイトに巻き方の手順が写真や動画で紹介されています。

Kiss My Earth "Oneworld with "Huaraches Project" How to make

この巻き方だと、足にしっかりフィットしてほどけず、かかとの紐を足から外せば簡単に脱ぐこともできます。とはいえ、素材同様ワラーチは巻き方も自分で様々にカスタマイズ可能なので、自分にあった巻き方を探すのも面白い所と言えます。

走り方にはコツがある

ワラーチが完成したところで、早速これを使い走ってみました。
むさくるしい男性の足のアップばかり続いたので、他の参加者の足もどうぞ。ワークショップは女性参加者が多かった。
むさくるしい男性の足のアップばかり続いたので、他の参加者の足もどうぞ。ワークショップは女性参加者が多かった。
ワラーチを使ったランニングでは、普段靴を履いて歩く時のようにかかとから着地するのではなく、つま先側から着地するような感じで走ることになります。以前、「完全裸足ランニング」という記事で紹介した素足でのランニング法と同じです。
神田から家まで十数kmのワラーチランニング。暑いが足元は涼しく快適。
神田から家まで十数kmのワラーチランニング。暑いが足元は涼しく快適。
私のランニングフォームについては「100kmを自分の足で走って届けるのと宅配便で届けるのはどちらが早いか」という記事で紹介した通り。この素足でのランニング法とは若干異なりますが、足の筋肉を使う点は同じです。

走ってみた感想としては、シューズの時よりも地面の硬さがダイレクトに感じられ、足の筋肉への衝撃も強くなります。十数km程度のランニングでしたが、久しぶりに足の筋肉の疲労感が感じられました。

逆に考えれば、筋力の強化にもなると思います。もちろん、足の筋肉でのクッションをつかっているので、間接などに痛みはありません。初めて履く人は、最初はゆっくり歩くところから。筋力がついてきてから走るのが良さそうです。

別の素材で作ってみよう

さて、ワラーチを作って実際に走ってみたところ、色々な可能性が見えてきました。次はカスタマイズに挑戦してみます。
これは市販のサンダルを改造して作ったワラーチ。これぐらい厚みのあるほうが初心者向きかもしれない。
これは市販のサンダルを改造して作ったワラーチ。これぐらい厚みのあるほうが初心者向きかもしれない。
今回のワークショップでは本体部分は7mm厚のゴムシートでした。ゴム以外の素材だとどうなるのでしょうか?
6mm厚のコルクボード。ハンズで購入。
6mm厚のコルクボード。ハンズで購入。
最初に用意したのがこちらのコルクボード。柔らかく、ゴムよりも足に馴染みそうです。ではやってみましょう。

コルクボード製ワラーチ

コルクボードを使ったワラーチの作り方はゴム底の時と全く一緒です。
ゴム底の時と同じ型を使用。
ゴム底の時と同じ型を使用。
型を写して切り抜き穴を開けます。
紐も同じく真田紐。
紐も同じく真田紐。
紐を通せば完成です。
思ったよりも違和感のない仕上がり。
思ったよりも違和感のない仕上がり。
型を使いまわし、紐の結びにも慣れたので30分ほどで出来上がりました。では履いてみましょう。
ゴムよりも足に馴染むね。
ゴムよりも足に馴染むね。
ゴムを使った時よりも木の暖かさがあり、柔らかく足に馴染みます。かなりいい履き心地でした。しかし、大きな弱点が見つかります。
コルクが裂けた。
コルクが裂けた。
強度が低く、紐がかかっているところが簡単に割れてしまいました。側面の穴の部分の厚みを増やすか、金具をはめるなどすればなんとかなりそうですが、そのままではワラーチには向かないでしょう。

部屋履きぐらいには使えるかもしれません。

厚紙製ワラーチ

続いて作ってみたのがこちらの素材。
2mm厚の紙。耐水性無し。
2mm厚の紙。耐水性無し。
紙なら量産もしやすいよね。
紙なら量産もしやすいよね。
こちらも型紙を写して切り抜き穴をあけ、紐を通して完成です。コルクよりさらに早くできました。加工が楽。
見るからに紙だな。
見るからに紙だな。
出来上がりがこちら。底の薄さが気になりますが、履くのには問題なく出来上がりました。
割と足に馴染むな。
割と足に馴染むな。
履いてみると違和感なく足に馴染みます。吸湿性があり、足先も解放されているので、夏場にはスリッパなどよりも快適かもしれません。

ただ、大きな問題がありました。フローリングの上でとにかく滑る。ゆっくり歩く分には大丈夫ですが、止まる時など危険が伴います。

表面がもっとザラついた厚紙にするか、薄い滑り止めのゴムでも貼ればなんとかなるかと思います。ただ、そこまでして履きたいかどうか悩むところです。

もっと色々試してみよう

素材を変えてワラーチを作ってみましたが、あまりいい結果にはなりませんでした。しかし、まだ色々試せる余地はありそうです。自分でカスタマイズが出来るランニングシューズなんて、車でも自転車でも改造好きな方にはかなりオススメな品ではないでしょうか。

ランニング向けの物ではありますが、紐や底素材など色々変えて、部屋でも外でも普段履き用にも使えそうです。ただ、外で履く時は足がむき出しなので、段差などに足をひっかけると怪我をする可能性があります。

地面をよく見て走れば大丈夫ですが、夜間走行の際は注意してください。無理は禁物。現代人の足はそれほど強く出来ていません。ゆっくり慣らして、焦らずゆっくり走りましょう。
実は家にビブラムファイブフィンガーがあるのですが、基本通常のシューズで走るのでほとんど履いていない。ワラーチを体験してしまったら更に履かなくなりそう。どうしよう。
実は家にビブラムファイブフィンガーがあるのですが、基本通常のシューズで走るのでほとんど履いていない。ワラーチを体験してしまったら更に履かなくなりそう。どうしよう。
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