特集 2015年7月18日

底上げ自販機を見つけて楽しもう

これが底上げ自販機だ
これが底上げ自販機だ
自動販売機は本当に便利だ。こんなこと、改めて書く必要もないだろう。コンビニのない田舎でも真夜中でも、自販機があれば飲み物だけは買えるのだ。

だが、こんな便利な自販機の中に少し不便なものがある。それが底上げ自販機だ。一体どういうものなのかを説明していきたい。きっと気になって探してしまうことうけあいです。
1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。(動画インタビュー

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底上げ自販機とはこういうものです

まずはとにかく底上げ自販機がどういうものかを見てほしい。
底上げされている高さと、目線の上向き具合に注目です。
底上げされている高さと、目線の上向き具合に注目です。
僕の家の近所にある自販機である。この前を通るたびに「これなんか高くないか・・・?」と思っていた。

何しろ一番上にある飲み物の段は僕の頭よりも高いのだ。僕の身長は175cmなので、大体の成人男性と同じくらいかちょっと高いくらいだろう。
地面から自販機の底までの高さは42cm。
地面から自販機の底までの高さは42cm。
自販機の最上段の飲み物の高さは大体145cmなので、40cmくらい底上げされていると自分の身長よりも明らかに高くなり、「これは高いぞ・・・!」と思うようになる。

目の前に立って買おうとするとかなり威圧感を感じる。
僕の目線からの光景。グッと迫ってくる感じ。
僕の目線からの光景。グッと迫ってくる感じ。
このような、異様な高さに底上げされている自動販売機を底上げ自販機と呼ぶことにした。

他にも似たようなのがないかと探してみると、いくつか見つけることが出来た。そのうちに何だか楽しくなってきてしまったので、紹介していきたい。

駐車場に多いが底上げは低い

底上げ自販機を簡単に見つけるには、平面駐車場に行くのがいいだろう。
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駐車場にはたいてい自販機が置いてある。
駐車場にはたいてい自販機が置いてある。
駐車スペースと歩道との間の段差があったり、駐車スペースの地面が傾斜していることがあるせいか、駐車場にある自販機の多くが底上げされている。
簡単に見つけられることが出来るが、多くの場合段差が低いので底上げ感はあまり感じられない。大体10~20cmの底上げといったところか。

冒頭の自販機は立体駐車場の入り口にあったものだが、これはかなりレアだといえる。

マンションやアパートの脇も狙い目

マンションやアパートの脇に置いてある自販機は意外と底上げされている。

特に複数台並んでいる内の1つだけが底上げされている場合があるのだ。
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ぴょこんと1台だけ上がっている。
ぴょこんと1台だけ上がっている。
大家さん「うちのアパート、空きスペースの幅としてはもう1台自販機が置けるけど、段差が邪魔だわ・・・」
自販機のセールスマン「いい方法がありますよ・・・底上げすればいいんです!」
大家さん「ピコーン!(頭の中の電球が点く音)」

みたいなやりとりを勝手に想像してしまいそうな自販機の並びである。これが企業努力か。
高さとしては20~30cmが主だが、中には40cm超えの大物がいるのであなどれないジャンルだ。

孤高の底上げ自販機たち

あとはもう脈絡なく底上げされている場合が多い。
なんとなくジャンル分け出来ないかと思って前2つはまとめてみたが、これ以上は無理でした。底上げ自販機研究は始まったばかりなので許していただきたい。

例えば秋葉原で撮ったこの自販機。路地に入ったところにぽつんと底上げされて佇んでいる。
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底上げ量は43.5cmとかなりの高さだ。
底上げ量は43.5cmとかなりの高さだ。
自販機の下には荷物が収納されていて便利そうだ。僕も学生時代にベッドを底上げしてその下に服とかを収納していたのを思い出す(そして寝返りを打ったら下に落ちて肩を強打したことが2回くらいあった)。
最上段のボタンの高さは186cmくらい。
最上段のボタンの高さは186cmくらい。
中野で撮ったこの底上げ自販機もいい。唐突に自販機が置いてあり、孤高の存在という趣である。

「俺底上げされてんぞ!気を引き締めて買ってくれよな!」という主張がひしひしと感じられる(ような気がする)。
なんだかよくわからないがこの悠然とした佇まいはすごい。
なんだかよくわからないがこの悠然とした佇まいはすごい。

おらが町にも底上げ自販機があった

僕が住む江古田にも底上げ自販機があった。商店街を進んでいくといきなりの出現である。
あっ、あれは・・・
あっ、あれは・・・
あった!
あった!
2台とも底上げされていて、しかもかなり高さがある。こんな素晴らしい底上げ自販機が自分の住む街にあるとは。嬉しくて仕方がない。
この2台とも迫ってくる感!
この2台とも迫ってくる感!
自分の目線に合わせて写真を撮るとかなりの威圧感である。
撮影しているとおじさんがやってきて中段のボタンを押して飲み物を買っていた。上段は視界に入りづらいのだ。

また右側の自販機は電子マネーで買うことも出来るようだが、かざす場所が高すぎるだろう。これ中学生とか無理なんじゃないか。

便利なんだかそうでないのか良くわからないところも底上げ自販機の魅力の1つだ。
底上げ量は45.5cm。なかなかだ。
底上げ量は45.5cm。なかなかだ。
自販機の下には水道のフタと段差があった。2段構えの障害を超えるための底上げ。
自販機の下には水道のフタと段差があった。2段構えの障害を超えるための底上げ。

底上げ自販機の聖地は新宿西口にある

ここまで色々取り上げてきたが、ここで底上げ自販機の聖地とも呼べる場所を紹介したい。
その場所は新宿西口である。新宿郵便局の裏といったらわかりやすいかもしれない。
新宿駅から見てヨドバシカメラを右に入ったところです。
新宿駅から見てヨドバシカメラを右に入ったところです。
ビルに埋め込まれる形でお出迎えしてくれる底上げ自販機がこれだ。
遠目から見ても全部高いことがわかる!
遠目から見ても全部高いことがわかる!
すごいぞこの高さは!
すごいぞこの高さは!
4台の底上げ量はアベレージで50cmは超えてくるモンスター集団だ。初めて見たときは「うおー、高けー!」と声を出しそうになるくらい興奮した。

だがこれだけで終わらないのが聖地たる所以である(聖地と勝手に決めたのは僕だが)。
少し左に目を移すと、さらに底上げされた自販機が待っているのだ。
奥にまだ自販機がある。
奥にまだ自販機がある。
これも全部高い!
これも全部高い!
その中でも一番左にある自販機がこれまでの中で最も底上げされた自販機である。
圧倒的に高い。ボタンを押すとヒジがピンと伸びる。
圧倒的に高い。ボタンを押すとヒジがピンと伸びる。
すごい・・・!
すごい・・・!
底上げ量はなんと60cmオーバー。二段目の飲み物が僕の頭の高さにある。
現時点ではこの自販機が僕の中で底上げチャンピオンである。なんとしても最上段の飲み物を買いたいところだ。

新宿西口からすぐの好立地に、合わせて9台もの底上げ自販機が待ち構えているのだ。これはもう行くしかないだろう。

底上げ自販機は面白い。そして新発見。

底上げ自販機はどうにかして設置したいという、設置側の知恵と工夫で産まれた産物だ。
自販機本来の便利さと、ボタンが高いという不便さの間に生まれる矛盾がおかしく、愛おしくもある。

・・・というようなまとめをしようと思っていたが、最後に新発見があったので記しておきたい。
この撮影のあと旅行先の名古屋で底上げ自販機に出会った。かなりの高さの底上げだったが、なんと低い位置にボタンがあるタイプの自販機が設置されていた。
上段の飲み物が買いづらいという、底上げ自販機が抱える問題に対して優しさという解決策を与えた革命的な発見だ。これなら子どもだって好きな飲み物を選ぶことが出来る。
自販機メーカーには底上げに向いた自販機の開発を是非お願いしたい。
両サイドがボタンが下にあるタイプの自販機。名駅と栄駅の間にありました。
両サイドがボタンが下にあるタイプの自販機。名駅と栄駅の間にありました。
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