特集 2014年10月30日

カルデラとしての箱根観光

カルデラといえば阿蘇と思ってませんか?箱根もです!
カルデラといえば阿蘇と思ってませんか?箱根もです!
カルデラっていうのは、周りに山がぐるっと囲んでる地形。でかい火山が大噴火したりしてできる。

阿蘇にあるのが有名だけど、じつは箱根もカルデラなのだ。

芦ノ湖を見ながら「カルデラ湖だなあ」と思いたくて、カルデラとしての箱根を観光してみました。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

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> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

これが箱根カルデラだ

箱根といえば、大鳥居に杉並木の並ぶ観光地だと思ってないだろうか。
大鳥居に、
大鳥居に、
杉並木
杉並木
違う。箱根は、数十万年から何回も大噴火を起こしてそのたび周辺の生物を死滅させた偉大なるカルデラなのだ。

まずは、その全貌を見ていただきたい。
箱根カルデラの全貌
箱根カルデラの全貌
いいでしょ、この地図。富士製作所の「箱根山」。こういう立体地図は人生を豊かにしますよ。

それはさておき、ほらね、カルデラでしょう。でっかい噴火があって、真ん中がなくなったんだなっていう感じがする。
箱根カルデラ(説明つき)。言葉の説明はおいおい。
箱根カルデラ(説明つき)。言葉の説明はおいおい。
そもそも箱根の「箱」とは、カルデラの形のことなのだ。ただ、芦ノ湖で観光遊覧船に乗っているときに「ああカルデラ湖だなあ」とはふつう思わないし、向こうに見える山々を見ながら「ああ、外輪山だなあ」とは思わない。
ああ、カルデラ湖だなあ。とはふつう思わない。
ああ、カルデラ湖だなあ。とはふつう思わない。
箱根にもともとあった火山が何回も大噴火して、真ん中にぽっかりと穴が残った。そこに今では町ができて、美術館ができたり、大学生が駅伝で走ってきたりしている。
美術館とか神社とか。
美術館とか神社とか。
驚天動地の大事件が起きた、そんな跡地のカルデラとしての箱根を観光して、「ああ、外輪山だなあ」みたいなことを思いたい、というのが今回の主旨です。
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ロマンスカーで行きます

観光なので、ちゃんと観光気分でロマンスカーで行きます。

きょう、ロマンスカーで(カルデラへ)。
ロマンスカー EXE
ロマンスカー EXE
ロマンスカーはLSEっていう型式のやつが一番ロマンスっぽいんだけどなーと思いながら車内でお弁当を食べてると、もう小田原だ。

小田原方面から見える箱根の山の形。これがいわゆる箱根の「箱」、つまり外輪山(カルデラをぐるっと囲む山々)だ。
箱根の「箱」に川が穴を開けたイメージ
箱根の「箱」に川が穴を開けたイメージ
箱根の「箱」は、早川という川が削ったおかげで、唯一小田原方面にだけ穴が開いている。箱根登山鉄道も、駅伝の選手も、その穴があるからこそ外輪山の中に入っていけるのだ。
ここに穴があるんです
ここに穴があるんです
まだ箱根に着いてないけど、すでにカルデラっぽく箱根を見れてる気がする。いい調子だ。

そして電車は箱根湯本に着いた。
箱根湯本
箱根湯本
ここで登山電車に乗り換える。箱根湯本から強羅までの勾配は1kmにつき最大80メートルという急勾配。ロマンスカーじゃぜんぜん登れないのだ。
登山電車で、
登山電車で、
箱根に開いた穴を登って行く
箱根に開いた穴を登って行く
さらに強羅駅から先の勾配は1kmにつき最大200メートル。登山電車ですら登れないため、ここからはケーブルカー、そこからさらにロープウェーになる。
強羅から早雲山まではケーブルカーで
強羅から早雲山まではケーブルカーで
そこからの登りはロープウェーだ
そこからの登りはロープウェーだ
ところで、すでにぼくは箱の中、つまりカルデラ内部に入り込んでいる。箱の中は平らなはずなのに、どうしてこんなに急勾配な山を登っているんだろうか?

それは、カルデラ内部に中央火口丘という山がそびえているからだ。
いまいるのはここ。中央火口丘とよばれる山。
いまいるのはここ。中央火口丘とよばれる山。
約4万年前、空っぽになった箱根の真ん中に新しい火山がむくむくと出来てきた。それが中央火口丘だ。

なのでこのあたりは今でも火山特有のガスの匂いがする。箱根ロープウェー、大湧谷駅で降りてみよう。
大湧谷はふつうに観光地でした
大湧谷はふつうに観光地でした
大勢の観光客でにぎわう大湧谷。少なくともここにいるみんなはカルデラとしての箱根観光に来たのだと思うと嬉しくなる。いいよね、中央河口丘!
入口には火山ガスの危険を知らせる信号灯がある。赤色なら避難。
入口には火山ガスの危険を知らせる信号灯がある。赤色なら避難。
歩いていると、「腐った卵の匂い」とよく言われる硫化水素の匂いをつねに感じる。このガスは毒なので、辺りにはこれに耐えられる種類の木が主に生えているらしい。
サラサドウダンがサラダうどんに見える。
サラサドウダンがサラダうどんに見える。
そして着いたのがここ。

いっけん温泉地の湯煙みたいに見えるが、あたりにはヤバい匂いしかしない。
温泉みたいに見えるが、
温泉みたいに見えるが、
ボコボコ言っててやばい。
ボコボコ言っててやばい。
ここに落ちたら間違いなく死ぬ。中央火口丘、怖い。そう思わせる場所だ。
とりあえず記念写真を撮りました
とりあえず記念写真を撮りました
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湖畔へ降りる

ヤバい匂いがした大湧谷の標高が約1000メートル。そこから標高約700メートルの芦ノ湖畔までロープウェーで降りて行く。

ここからは、壁のように立ちはだかる外輪山がよく見える。
外輪山と湖尻峠
外輪山と湖尻峠
正面に見えているのは西側の外輪山。そして中央の窪んでいるところが湖尻峠だ。

峠は、道が山を超える地点のことなので、その道の中では最も高い場所にある。一方で、山越えをするためになるべく低い地点を通りたいので、尾根のつくる稜線の中では最も低い場所にある。
峠の図解。点線は山の向こう側の道。
峠の図解。点線は山の向こう側の道。
こういう場所は、馬の鞍みたいなので鞍点と呼ばれる。

さっきもみたとおり、箱根には小田原から箱根湯本を通る穴以外の穴はないので、こういうふうに少しでも低くなったところが内外への通り道になっている。
桃源台から元箱根方面に移動して芦ノ湖の湖畔へ
桃源台から元箱根方面に移動して芦ノ湖の湖畔へ
この大鳥居をくぐったら箱根駅伝のゴールは近い。
この大鳥居をくぐったら箱根駅伝のゴールは近い。
芦ノ湖についた。近くには有名な大鳥居もあり、観光気分が高まってくる。

さて、湖だ。観光に来て湖があったら、とりあえずボート乗り場はどこかなと思うが、今日はカルデラとしての箱根観光なので、「カルデラ湖だなあ」と思うことにしたい。
いいカルデラ湖だなあ
いいカルデラ湖だなあ
カルデラ湖とは、カルデラにできた湖のことだ。カルデラはもともとスペイン語で「鍋」という意味なので、鍋の上に雨がふればそりゃ水もたまるという訳なのだ。

芦ノ湖の北の端は桃源台までで、そこから先はゴルフ場とか、仙石原という湿原になっている。ただ、もともとはそこも湖だった。
ここらへんも湖でした
ここらへんも湖でした
さっきまでいた中央火口丘が約2万年前に大噴火したせいで山が崩れ、桃源台のあたりで湖を分断した。そのせいで北のほうはだんだん干上がっていき、いまは湿原となっているのだ。
芦ノ湖の北側はこんな風景
芦ノ湖の北側はこんな風景
いいねえ、いいカルデラ湖だ。
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外輪山に登ろう

中央火口丘(大湧谷)とカルデラ湖(芦ノ湖)は制覇した。

つぎは、外輪山に登ろう。外輪山の上からカルデラ全体を見よう。幸い、外輪山の上を走るバスがある。それに乗って行こう。

そう思って時刻表を見てみた。
一日二本!
一日二本!
今日のバスは、13時30分で終了していた。そして今は15時10分である。まったく間に合ってない!

案内の人に聞いても、もうバスは本当にないという。あとは歩いて登るしかない。でも日没までに間に合うのか。

路線バス乗り継ぎの旅で有名な太川さんなら、ここでびっくりするような奥の手を出してくるかもしれない。でもぼくには奥の手はない。

どうしよう。
ぼくは、タクシーに乗った。
ぼくは、タクシーに乗った。
タクシーは素晴らしい乗り物だ。バスと違い、行き先を理解した上でピンポイントに連れていってくれる。

「外輪山までお願いします」というと、運転手さんは「はい、外輪山ですね」と一瞬で理解してくれた。この人はすごい。カルデラとしての箱根を熟知している。
沈みゆく夕陽
沈みゆく夕陽
上がりゆく料金メーター
上がりゆく料金メーター
秋の日没は早く、間もなくタイムリミットになろうとしている。料金も気になるが、カルデラのためならしょうがない。

最初に連れて行ってくれたのは三国山だ。

三国山は、外輪山の西側をつくる峰の一つ。ここからだと自分たちが外輪山の上にいることがよく分かるという。
向こうが外輪山の外側、静岡方面ですね
向こうが外輪山の外側、静岡方面ですね
芦ノ湖スカイラインが外輪山の上をゆくのが見える
芦ノ湖スカイラインが外輪山の上をゆくのが見える
これも芦ノ湖スカイライン
これも芦ノ湖スカイライン
すばらしい。ぼくは今確かに外輪山の上にいる。箱根はこんな険しい山に囲まれた土地なのだということがよく分かる。

そしてさらに、外輪山とカルデラ湖、中央火口丘をいっぺんに見ることが出来る、絶景のカルデラビューがあるという。外輪山の一番南にある鞍掛山(くらかけやま)だ。
鞍掛山はここ
鞍掛山はここ
鞍掛山への道を登る。期待に胸が膨らむ。
鞍掛山への道を登る。期待に胸が膨らむ。
ビュースポットに着いた。箱根くらかけゴルフ場の駐車場だ。
ビュースポットに着いた。箱根くらかけゴルフ場の駐車場だ。
そこからの眺めは、カルデラとしての箱根観光を締めくくるのにふさわしい、素晴らしいものだった。
左から、外輪山の峰々、カルデラ湖(芦ノ湖)、中央火口丘(駒ヶ岳)
左から、外輪山の峰々、カルデラ湖(芦ノ湖)、中央火口丘(駒ヶ岳)
外輪山
外輪山
中央火口丘
中央火口丘
パノラマ
パノラマ
こうやって見ると、確かに大きな箱に囲まれているんだなあと思う。ふだん、地面からの視点ではなかなか気づかない感覚。

観光客でにぎわう箱根。じつは数万年前に地面を吹き飛ばすような大事件が起きて、そうやってできたカルデラの底に自分たちがいるんだという感覚は、不思議で面白い。

しかし確実におじいさん趣味への道を踏み出しているような気がする。

カルデラは身近にある

「カルデラって阿蘇のあれでしょ?自分とは関係ない」と思っていなかっただろうか。

そんなことはない。同じ九州だけでも姶良カルデラ、加久藤カルデラ、木村カエラ、小林カルデラなどのカルデラがごまんとあるし、とにかく日本中カルデラだらけなのだ。詳しくはwikipediaの「カルデラの一覧 (日本)」を見て欲しい。
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