

「ブルーハワイ」は何味なのか

君たちって実際のところ、何味なの?

夏はかき氷がおいしい季節。定番の味はイチゴ・メロン・レモンといったところだろうか。
それらレギュラー枠に食い込むように、屋台でよく見かけるのがブルーハワイ。ほぼ定番と言っていい頻度だと思う。
ただ、ブルーハワイってどうもおかしい。イチゴやメロンは味を示してるのに対して、色と地名を言ってるだけではないか。その実態は、何味なのだろうか。
それらレギュラー枠に食い込むように、屋台でよく見かけるのがブルーハワイ。ほぼ定番と言っていい頻度だと思う。
ただ、ブルーハワイってどうもおかしい。イチゴやメロンは味を示してるのに対して、色と地名を言ってるだけではないか。その実態は、何味なのだろうか。

1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」
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味を言ってない味、ブルーハワイ
いつの頃からか、かき氷の定番フレーバーとして認知されるようになったブルーハワイ。子供の頃に初めて見たときは、謎めいた言葉の響きと青という色に衝撃を受けた。


夏祭りにかき氷はよく似合う


どこの屋台にもあったブルーハワイ

それゆえ個人的にはブルーハワイとは距離を置いてきた。改めて考えると、味わったことがないかもしれない。同様の方も、意外と多いのではないか。


よく考えると君のこと、知らないかも


青い食品が漂わせる違和感は健在か

そういうわけで、出かけたお祭りの屋台で初体験かもしれないブルーハワイのかき氷を購入してみた。
店に並んでいたシロップの原材料名を見ても、味の手がかりとなる情報はない。当たり前のようにブルーハワイを名乗っているが、実体は何なのだろう。
店に並んでいたシロップの原材料名を見ても、味の手がかりとなる情報はない。当たり前のようにブルーハワイを名乗っているが、実体は何なのだろう。


綺麗なことは認める


考えさせられる味わい

食べてみる。当たり前だが甘い。しかし、ただ甘いだけではない。
ただ、「甘い以外の何か」の味の説明が難しい。明確な他の何かの味ではないのだ。それゆえ、「これがブルーハワイ味か…」と納得しそうになる。
ただ、「甘い以外の何か」の味の説明が難しい。明確な他の何かの味ではないのだ。それゆえ、「これがブルーハワイ味か…」と納得しそうになる。


ブルーハワイの正体を知りたい

いや、納得していいのだろうか。「ブルーハワイと名付けられているからブルーハワイ味」では解釈が単純すぎる。ハワイに行ったことのある私としては腑に落ちないものがある。
ブルーハワイとは何か。各社から発売されているブルーハワイ系シロップを味わって研究してみよう。
ブルーハワイとは何か。各社から発売されているブルーハワイ系シロップを味わって研究してみよう。

早くも明らかになりそうなブルーハワイ
まず最初に試してみるのは、ベル食品株式会社が販売しているシロップ。


北海道からやってきた


味の名は「ブルーハワイ」

ベル食品は北海道の会社で、ジンギスカンのタレなどが主力商品のようだ。タレを扱う流れでかき氷用シロップも売っているのは、なんとなくわかる気もする。
味の表示はきっぱりと「ブルーハワイ」。はっきりそう名乗っている。だからこそ、瓶に書いてあった説明にショックを受けた。
味の表示はきっぱりと「ブルーハワイ」。はっきりそう名乗っている。だからこそ、瓶に書いてあった説明にショックを受けた。


ブルーハワイって言ってたじゃん

ピーチとくっきり書いてある。
だとしたら、これはピーチなのではないか。
だとしたら、これはピーチなのではないか。


辺りに漂う桃の香り


割合をどう解釈すればよいか戸惑う

瓶を開けると、桃のにおいがふわっと来た。そのまま口にすると、味わいも桃だ。
桃味のブルーハワイ。話が違う。
混迷してきたブルーハワイ研究。ただ、味わってわかったのだが、屋台で食べたのとは明確に違う味がする。ブルーハワイとはどう定義されているのだろうか。
桃味のブルーハワイ。話が違う。
混迷してきたブルーハワイ研究。ただ、味わってわかったのだが、屋台で食べたのとは明確に違う味がする。ブルーハワイとはどう定義されているのだろうか。

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それぞれに展開するブルー
最初が明らかに桃だったため、話がわからなくなってきたブルーハワイ。続いては株式会社明治屋の製品を試そう。


ハワイ抜き

それが「ブルー」だ。ハワイなきシロップである。
だっておかしいだろ。味なのにハワイっておかしいだろ。ハワイは島だろ。俺たちはぼんやりしたイメージでハワイとつけたりはしない。だからブルー。
そういう解釈でよいだろうか。ハワイに安易に流されない姿勢には共感も覚える。ただ、ブルーって、色であってやっぱり味ではないだろう。
だっておかしいだろ。味なのにハワイっておかしいだろ。ハワイは島だろ。俺たちはぼんやりしたイメージでハワイとつけたりはしない。だからブルー。
そういう解釈でよいだろうか。ハワイに安易に流されない姿勢には共感も覚える。ただ、ブルーって、色であってやっぱり味ではないだろう。


どうしてもブルーって言いたかったのか


封が王冠なのがトラップ

そんな情報不足を補うためか、でかい「ブルー」の下には「ラムネ風味」との表記が。なるほどわかりやすい。
いやいやいや、だとしたらラムネと名乗るべきではないのか。ハワイには流されなかったけど、ブルーには流されてるではないか。
いやいやいや、だとしたらラムネと名乗るべきではないのか。ハワイには流されなかったけど、ブルーには流されてるではないか。


さっきのより色が濃い


謎だった比率の意味はイラストで解決

ただ、そういう揺れてる感じは嫌いじゃない。約束通り、香りはラムネ、味わってみてもラムネだ。
でも名前はあくまでブルー。ラムネという言葉の懐かしい響きよりも、ブルーという言葉のクールな感じを出したかったのか。そういう年頃なのかもしれない。
食べてみるとわかるが、ラムネゆえにハワイな感じは全くない。ハワイを取り除いた誠実さがそこにある。
でも名前はあくまでブルー。ラムネという言葉の懐かしい響きよりも、ブルーという言葉のクールな感じを出したかったのか。そういう年頃なのかもしれない。
食べてみるとわかるが、ラムネゆえにハワイな感じは全くない。ハワイを取り除いた誠実さがそこにある。

レトリックを駆使するハワイ
続いて紹介するのは、肉まんなどで知られる井村屋株式会社のシロップだ。


軽いプラ製容器


また違う名乗り方が登場

「氷みつ」とクラシカルな言葉を大きく出しておいて、味としては「ハワイアンブルー」と命名。ブルーハワイの倒置法だ。
ブルーハワイが「青いハワイ」であるのに対して、「ハワイの青」であるハワイアンブルー。語順を変えて何か印象が変わるかと思ったが、そうでもない。
ブルーハワイが「青いハワイ」であるのに対して、「ハワイの青」であるハワイアンブルー。語順を変えて何か印象が変わるかと思ったが、そうでもない。


味情報なし


覚えのある香りと味

これまでと違い、パッケージに味の説明は皆無。いよいよ謎めいてきたが、開けてみると記憶にある香りが。味もそうだ。ラムネのようだが、少し違うか。
なんだろうと思ってメーカーの商品ページを見ると、「夏の海と空をイメージさせる爽快なサイダー風味のシロップです」と説明があった。確かにサイダーっぽい味だ。
ハワイアンブルー=サイダー風味。うーん、どうだろう。ブルーはともかく、ハワイが釈然としない。自慢話のようで恐縮だが、ハワイに行ったことのある経験を踏まえての意見だ。
なんだろうと思ってメーカーの商品ページを見ると、「夏の海と空をイメージさせる爽快なサイダー風味のシロップです」と説明があった。確かにサイダーっぽい味だ。
ハワイアンブルー=サイダー風味。うーん、どうだろう。ブルーはともかく、ハワイが釈然としない。自慢話のようで恐縮だが、ハワイに行ったことのある経験を踏まえての意見だ。


空港にて

ちなみにここまでの3つは、旅先の北海道滞在中に購入したもの。帰りの飛行機に乗る前の手荷物検査では、液体入り容器のため取り出して空港係員に見せた。
「こいつどんだけブルーハワイ好きなんだ」と思われたに違いない。休憩室でも「今日ブルーハワイ野郎が来てさあ」と噂になったのだろうか。
「こいつどんだけブルーハワイ好きなんだ」と思われたに違いない。休憩室でも「今日ブルーハワイ野郎が来てさあ」と噂になったのだろうか。

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食品として心配なビジュアル

パンにおけるブルーハワイ情報を教えてもらって、私もそのパン屋「北欧」の別店舗に行ってみた。


新札幌の店


ブルーハワイパン、人気なのか…

シンプルなブルーハワイ食パンはなかったが、それを用いた「トロピカルブルーハワイサンド」なるものがあった。「人気のブルーハワイパンを使った」と書いてあるけど、そうなのか。
戸惑っていると並んでいた2つのうち、1つをおばちゃんが躊躇なく取っていった。売り切れてはまずいと思って私も慌ててトレーに乗せる。
戸惑っていると並んでいた2つのうち、1つをおばちゃんが躊躇なく取っていった。売り切れてはまずいと思って私も慌ててトレーに乗せる。


安定のブルー

ひとくちかじってやってきたのは、「おお、ハワイ!」という思い。シロップのブルーハワイでは感じなかったハワイがそこにある。
ただ待てよ…と思って、パン部分だけを改めて食べてみる。口の中からハワイが消えた。ごく薄く甘い感じがあるかないか。率直に言えばザ・パンの味だ。
「ハワイ!」と思ったのは中のフルーツとクリームゆえだと悟る。色や名前に流されないのは、やっぱり私がハワイに行ったことがあるからだろう。
ただ待てよ…と思って、パン部分だけを改めて食べてみる。口の中からハワイが消えた。ごく薄く甘い感じがあるかないか。率直に言えばザ・パンの味だ。
「ハワイ!」と思ったのは中のフルーツとクリームゆえだと悟る。色や名前に流されないのは、やっぱり私がハワイに行ったことがあるからだろう。

鼻腔を襲うハワイ
話をシロップのブルーハワイに戻そう。続いて検証するのはサンクラウン果精株式会社の製品だ。


かき氷っぽいビジュアルの「氷」


ブルーハワイに回帰する名前

味の表記は「ブルーハワイ」。パッケージのどこにも味の説明はない。念のためメーカーのサイトも見たが、解説なし。
俺はブルーハワイだよ、それ以上でも以下でもない。自明のこととしてのブルーハワイ。このわからない感じがブルーハワイの魅力だ。開封してみよう。
俺はブルーハワイだよ、それ以上でも以下でもない。自明のこととしてのブルーハワイ。このわからない感じがブルーハワイの魅力だ。開封してみよう。


ガーンと放たれるハワイ


…あれ、知ってる味するぞ

開けて驚いたのは、これまでにない勢いで漂うハワイ臭。濃さが違う。そしてにおいの質もハワイアンだ。
ハワイに行ったことのある私の中にある、ハワイのイメージの香りがする。ハワイがここに詰まってる。これこそブルーハワイかもしれない。
そう思いながら味わってみる。舌に広がるのはハワイ味、ではない。あれ、この味わかる。わかっちゃう。桃の味だ。一緒にハワイに行った妻に聞いても桃だと言う。
神秘のベールに包まれたハワイ味ではなく、ピーチフレーバー。そうじゃない、私がブルーハワイに求めていたのは、そういうことじゃない。
ハワイに行ったことのある私の中にある、ハワイのイメージの香りがする。ハワイがここに詰まってる。これこそブルーハワイかもしれない。
そう思いながら味わってみる。舌に広がるのはハワイ味、ではない。あれ、この味わかる。わかっちゃう。桃の味だ。一緒にハワイに行った妻に聞いても桃だと言う。
神秘のベールに包まれたハワイ味ではなく、ピーチフレーバー。そうじゃない、私がブルーハワイに求めていたのは、そういうことじゃない。

そもそもブルーハワイって何なの
すっかり根付いたかき氷におけるブルーハワイ。その名の由来は、カクテルの「ブルーハワイ」とされることもあるようだ。
カクテルのブルーハワイは、ラム・ブルーキュラソー・パイナップル果汁・レモン果汁を合わせたもの。確かにハワイアンな感じがする。
カクテルのブルーハワイは、ラム・ブルーキュラソー・パイナップル果汁・レモン果汁を合わせたもの。確かにハワイアンな感じがする。


ブルーハワイの重要要素、ブルーキュラソー

ブルーという色こそ着色料によるものだが、キュラソーはオレンジの皮の香りがついたリキュール。ゆえに、かき氷のブルーハワイの根拠をカクテルのブルーハワイに求めるなら、それらが混ざった味ということになるだろうか。

ミステリアスなブルーハワイ
最後に紹介するのは、ハタ鉱泉株式会社のシロップだ。ラムネの生産量が日本一の会社であるらしい。


「氷つみ」ではない


ブルーハワイだが味情報なし

味の名前はブルーハワイ。パッケージにもメーカーサイトにも味の説明はない。


下手すると出すぎちゃう開け口

開けて香りを嗅いでみる。…何のにおいか、わからない。ラムネ生産量日本一の会社ゆえにラムネ臭もあり得ると思ったが、そういうわけではない。嗅ぎ直して考えてみても、よくわからない。


味わっても謎

口にしてみる。やっぱり何の味かわからない。
かき氷にはただの白いみつもあるが、あれと同じというわけではない。全く別物の香りと味なのだが、説明できない。妻の感想も「…なんだろう、かすかにオレンジっぽい?でも違うかな…」と曖昧。
だからと言って自分の中のハワイ観と重なるわけでもない。なんだろうね、という味。「ブルーハワイ」という言葉のわからなさとは重なっているかもしれない。
かき氷にはただの白いみつもあるが、あれと同じというわけではない。全く別物の香りと味なのだが、説明できない。妻の感想も「…なんだろう、かすかにオレンジっぽい?でも違うかな…」と曖昧。
だからと言って自分の中のハワイ観と重なるわけでもない。なんだろうね、という味。「ブルーハワイ」という言葉のわからなさとは重なっているかもしれない。







屋台のかき氷屋、ラムネ味の絵が謎


ブルーハワイ=自由味

いろいろ味わってみたブルーハワイ。結論としては「いろいろあるね」ということになる。言葉の意味がわからない分、勝手にやっていいのかもしれない。ブルーハワイは自由の味がする、と大きなことを言ってしまおう。
屋台のかき氷屋では、味の名前にその絵がしばしば添えてあるのだが、写真のラムネ味の絵はカッパ。これまた自由だ。
屋台のかき氷屋では、味の名前にその絵がしばしば添えてあるのだが、写真のラムネ味の絵はカッパ。これまた自由だ。

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