味を言ってない味、ブルーハワイ
いつの頃からか、かき氷の定番フレーバーとして認知されるようになったブルーハワイ。子供の頃に初めて見たときは、謎めいた言葉の響きと青という色に衝撃を受けた。
夏祭りにかき氷はよく似合う
どこの屋台にもあったブルーハワイ
それゆえ個人的にはブルーハワイとは距離を置いてきた。改めて考えると、味わったことがないかもしれない。同様の方も、意外と多いのではないか。
よく考えると君のこと、知らないかも
青い食品が漂わせる違和感は健在か
そういうわけで、出かけたお祭りの屋台で初体験かもしれないブルーハワイのかき氷を購入してみた。
店に並んでいたシロップの原材料名を見ても、味の手がかりとなる情報はない。当たり前のようにブルーハワイを名乗っているが、実体は何なのだろう。
店に並んでいたシロップの原材料名を見ても、味の手がかりとなる情報はない。当たり前のようにブルーハワイを名乗っているが、実体は何なのだろう。
綺麗なことは認める
考えさせられる味わい
食べてみる。当たり前だが甘い。しかし、ただ甘いだけではない。
ただ、「甘い以外の何か」の味の説明が難しい。明確な他の何かの味ではないのだ。それゆえ、「これがブルーハワイ味か…」と納得しそうになる。
ただ、「甘い以外の何か」の味の説明が難しい。明確な他の何かの味ではないのだ。それゆえ、「これがブルーハワイ味か…」と納得しそうになる。
ブルーハワイの正体を知りたい
いや、納得していいのだろうか。「ブルーハワイと名付けられているからブルーハワイ味」では解釈が単純すぎる。ハワイに行ったことのある私としては腑に落ちないものがある。
ブルーハワイとは何か。各社から発売されているブルーハワイ系シロップを味わって研究してみよう。
ブルーハワイとは何か。各社から発売されているブルーハワイ系シロップを味わって研究してみよう。
早くも明らかになりそうなブルーハワイ
まず最初に試してみるのは、ベル食品株式会社が販売しているシロップ。
北海道からやってきた
味の名は「ブルーハワイ」
ベル食品は北海道の会社で、ジンギスカンのタレなどが主力商品のようだ。タレを扱う流れでかき氷用シロップも売っているのは、なんとなくわかる気もする。
味の表示はきっぱりと「ブルーハワイ」。はっきりそう名乗っている。だからこそ、瓶に書いてあった説明にショックを受けた。
味の表示はきっぱりと「ブルーハワイ」。はっきりそう名乗っている。だからこそ、瓶に書いてあった説明にショックを受けた。
ブルーハワイって言ってたじゃん
ピーチとくっきり書いてある。
だとしたら、これはピーチなのではないか。
だとしたら、これはピーチなのではないか。
辺りに漂う桃の香り
割合をどう解釈すればよいか戸惑う
瓶を開けると、桃のにおいがふわっと来た。そのまま口にすると、味わいも桃だ。
桃味のブルーハワイ。話が違う。
混迷してきたブルーハワイ研究。ただ、味わってわかったのだが、屋台で食べたのとは明確に違う味がする。ブルーハワイとはどう定義されているのだろうか。
桃味のブルーハワイ。話が違う。
混迷してきたブルーハワイ研究。ただ、味わってわかったのだが、屋台で食べたのとは明確に違う味がする。ブルーハワイとはどう定義されているのだろうか。
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それぞれに展開するブルー
最初が明らかに桃だったため、話がわからなくなってきたブルーハワイ。続いては株式会社明治屋の製品を試そう。
ハワイ抜き
それが「ブルー」だ。ハワイなきシロップである。
だっておかしいだろ。味なのにハワイっておかしいだろ。ハワイは島だろ。俺たちはぼんやりしたイメージでハワイとつけたりはしない。だからブルー。
そういう解釈でよいだろうか。ハワイに安易に流されない姿勢には共感も覚える。ただ、ブルーって、色であってやっぱり味ではないだろう。
だっておかしいだろ。味なのにハワイっておかしいだろ。ハワイは島だろ。俺たちはぼんやりしたイメージでハワイとつけたりはしない。だからブルー。
そういう解釈でよいだろうか。ハワイに安易に流されない姿勢には共感も覚える。ただ、ブルーって、色であってやっぱり味ではないだろう。
どうしてもブルーって言いたかったのか
封が王冠なのがトラップ
そんな情報不足を補うためか、でかい「ブルー」の下には「ラムネ風味」との表記が。なるほどわかりやすい。
いやいやいや、だとしたらラムネと名乗るべきではないのか。ハワイには流されなかったけど、ブルーには流されてるではないか。
いやいやいや、だとしたらラムネと名乗るべきではないのか。ハワイには流されなかったけど、ブルーには流されてるではないか。
さっきのより色が濃い
謎だった比率の意味はイラストで解決
ただ、そういう揺れてる感じは嫌いじゃない。約束通り、香りはラムネ、味わってみてもラムネだ。
でも名前はあくまでブルー。ラムネという言葉の懐かしい響きよりも、ブルーという言葉のクールな感じを出したかったのか。そういう年頃なのかもしれない。
食べてみるとわかるが、ラムネゆえにハワイな感じは全くない。ハワイを取り除いた誠実さがそこにある。
でも名前はあくまでブルー。ラムネという言葉の懐かしい響きよりも、ブルーという言葉のクールな感じを出したかったのか。そういう年頃なのかもしれない。
食べてみるとわかるが、ラムネゆえにハワイな感じは全くない。ハワイを取り除いた誠実さがそこにある。
レトリックを駆使するハワイ
続いて紹介するのは、肉まんなどで知られる井村屋株式会社のシロップだ。
軽いプラ製容器
また違う名乗り方が登場
「氷みつ」とクラシカルな言葉を大きく出しておいて、味としては「ハワイアンブルー」と命名。ブルーハワイの倒置法だ。
ブルーハワイが「青いハワイ」であるのに対して、「ハワイの青」であるハワイアンブルー。語順を変えて何か印象が変わるかと思ったが、そうでもない。
ブルーハワイが「青いハワイ」であるのに対して、「ハワイの青」であるハワイアンブルー。語順を変えて何か印象が変わるかと思ったが、そうでもない。
味情報なし
覚えのある香りと味
これまでと違い、パッケージに味の説明は皆無。いよいよ謎めいてきたが、開けてみると記憶にある香りが。味もそうだ。ラムネのようだが、少し違うか。
なんだろうと思ってメーカーの商品ページを見ると、「夏の海と空をイメージさせる爽快なサイダー風味のシロップです」と説明があった。確かにサイダーっぽい味だ。
ハワイアンブルー=サイダー風味。うーん、どうだろう。ブルーはともかく、ハワイが釈然としない。自慢話のようで恐縮だが、ハワイに行ったことのある経験を踏まえての意見だ。
なんだろうと思ってメーカーの商品ページを見ると、「夏の海と空をイメージさせる爽快なサイダー風味のシロップです」と説明があった。確かにサイダーっぽい味だ。
ハワイアンブルー=サイダー風味。うーん、どうだろう。ブルーはともかく、ハワイが釈然としない。自慢話のようで恐縮だが、ハワイに行ったことのある経験を踏まえての意見だ。
空港にて
ちなみにここまでの3つは、旅先の北海道滞在中に購入したもの。帰りの飛行機に乗る前の手荷物検査では、液体入り容器のため取り出して空港係員に見せた。
「こいつどんだけブルーハワイ好きなんだ」と思われたに違いない。休憩室でも「今日ブルーハワイ野郎が来てさあ」と噂になったのだろうか。
「こいつどんだけブルーハワイ好きなんだ」と思われたに違いない。休憩室でも「今日ブルーハワイ野郎が来てさあ」と噂になったのだろうか。
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食品として心配なビジュアル
パンにおけるブルーハワイ情報を教えてもらって、私もそのパン屋「北欧」の別店舗に行ってみた。
新札幌の店
ブルーハワイパン、人気なのか…
シンプルなブルーハワイ食パンはなかったが、それを用いた「トロピカルブルーハワイサンド」なるものがあった。「人気のブルーハワイパンを使った」と書いてあるけど、そうなのか。
戸惑っていると並んでいた2つのうち、1つをおばちゃんが躊躇なく取っていった。売り切れてはまずいと思って私も慌ててトレーに乗せる。
戸惑っていると並んでいた2つのうち、1つをおばちゃんが躊躇なく取っていった。売り切れてはまずいと思って私も慌ててトレーに乗せる。
安定のブルー
ひとくちかじってやってきたのは、「おお、ハワイ!」という思い。シロップのブルーハワイでは感じなかったハワイがそこにある。
ただ待てよ…と思って、パン部分だけを改めて食べてみる。口の中からハワイが消えた。ごく薄く甘い感じがあるかないか。率直に言えばザ・パンの味だ。
「ハワイ!」と思ったのは中のフルーツとクリームゆえだと悟る。色や名前に流されないのは、やっぱり私がハワイに行ったことがあるからだろう。
ただ待てよ…と思って、パン部分だけを改めて食べてみる。口の中からハワイが消えた。ごく薄く甘い感じがあるかないか。率直に言えばザ・パンの味だ。
「ハワイ!」と思ったのは中のフルーツとクリームゆえだと悟る。色や名前に流されないのは、やっぱり私がハワイに行ったことがあるからだろう。
鼻腔を襲うハワイ
話をシロップのブルーハワイに戻そう。続いて検証するのはサンクラウン果精株式会社の製品だ。
かき氷っぽいビジュアルの「氷」
ブルーハワイに回帰する名前
味の表記は「ブルーハワイ」。パッケージのどこにも味の説明はない。念のためメーカーのサイトも見たが、解説なし。
俺はブルーハワイだよ、それ以上でも以下でもない。自明のこととしてのブルーハワイ。このわからない感じがブルーハワイの魅力だ。開封してみよう。
俺はブルーハワイだよ、それ以上でも以下でもない。自明のこととしてのブルーハワイ。このわからない感じがブルーハワイの魅力だ。開封してみよう。
ガーンと放たれるハワイ
…あれ、知ってる味するぞ
開けて驚いたのは、これまでにない勢いで漂うハワイ臭。濃さが違う。そしてにおいの質もハワイアンだ。
ハワイに行ったことのある私の中にある、ハワイのイメージの香りがする。ハワイがここに詰まってる。これこそブルーハワイかもしれない。
そう思いながら味わってみる。舌に広がるのはハワイ味、ではない。あれ、この味わかる。わかっちゃう。桃の味だ。一緒にハワイに行った妻に聞いても桃だと言う。
神秘のベールに包まれたハワイ味ではなく、ピーチフレーバー。そうじゃない、私がブルーハワイに求めていたのは、そういうことじゃない。
ハワイに行ったことのある私の中にある、ハワイのイメージの香りがする。ハワイがここに詰まってる。これこそブルーハワイかもしれない。
そう思いながら味わってみる。舌に広がるのはハワイ味、ではない。あれ、この味わかる。わかっちゃう。桃の味だ。一緒にハワイに行った妻に聞いても桃だと言う。
神秘のベールに包まれたハワイ味ではなく、ピーチフレーバー。そうじゃない、私がブルーハワイに求めていたのは、そういうことじゃない。
そもそもブルーハワイって何なの
すっかり根付いたかき氷におけるブルーハワイ。その名の由来は、カクテルの「ブルーハワイ」とされることもあるようだ。
カクテルのブルーハワイは、ラム・ブルーキュラソー・パイナップル果汁・レモン果汁を合わせたもの。確かにハワイアンな感じがする。
カクテルのブルーハワイは、ラム・ブルーキュラソー・パイナップル果汁・レモン果汁を合わせたもの。確かにハワイアンな感じがする。
ブルーハワイの重要要素、ブルーキュラソー
ブルーという色こそ着色料によるものだが、キュラソーはオレンジの皮の香りがついたリキュール。ゆえに、かき氷のブルーハワイの根拠をカクテルのブルーハワイに求めるなら、それらが混ざった味ということになるだろうか。
ミステリアスなブルーハワイ
最後に紹介するのは、ハタ鉱泉株式会社のシロップだ。ラムネの生産量が日本一の会社であるらしい。
「氷つみ」ではない
ブルーハワイだが味情報なし
味の名前はブルーハワイ。パッケージにもメーカーサイトにも味の説明はない。
下手すると出すぎちゃう開け口
開けて香りを嗅いでみる。…何のにおいか、わからない。ラムネ生産量日本一の会社ゆえにラムネ臭もあり得ると思ったが、そういうわけではない。嗅ぎ直して考えてみても、よくわからない。
味わっても謎
口にしてみる。やっぱり何の味かわからない。
かき氷にはただの白いみつもあるが、あれと同じというわけではない。全く別物の香りと味なのだが、説明できない。妻の感想も「…なんだろう、かすかにオレンジっぽい?でも違うかな…」と曖昧。
だからと言って自分の中のハワイ観と重なるわけでもない。なんだろうね、という味。「ブルーハワイ」という言葉のわからなさとは重なっているかもしれない。
かき氷にはただの白いみつもあるが、あれと同じというわけではない。全く別物の香りと味なのだが、説明できない。妻の感想も「…なんだろう、かすかにオレンジっぽい?でも違うかな…」と曖昧。
だからと言って自分の中のハワイ観と重なるわけでもない。なんだろうね、という味。「ブルーハワイ」という言葉のわからなさとは重なっているかもしれない。
屋台のかき氷屋、ラムネ味の絵が謎
ブルーハワイ=自由味
いろいろ味わってみたブルーハワイ。結論としては「いろいろあるね」ということになる。言葉の意味がわからない分、勝手にやっていいのかもしれない。ブルーハワイは自由の味がする、と大きなことを言ってしまおう。
屋台のかき氷屋では、味の名前にその絵がしばしば添えてあるのだが、写真のラムネ味の絵はカッパ。これまた自由だ。
屋台のかき氷屋では、味の名前にその絵がしばしば添えてあるのだが、写真のラムネ味の絵はカッパ。これまた自由だ。