特集 2012年10月11日

図書館の児童書コーナーに「うんこの本」がやたらある

うんこだらけ
うんこだらけ
図書館の児童書コーナーにうんこに関連する書籍がやたらある。ということに気づいた。
幼児や児童に、排泄の大切さを教えたり、うんこにまつわる健康管理の話だったり、純粋に読み物であったり、自然の話だったりと、ざっと読んでみただけでも様々な種類があり、かなり興味深い。
これらの「うんこの本」で、図書館にあるものを集めてみんなで読み比べしてみた。

※なお、今回の記事は本文中で「うんこ」を連呼することになってしまう事をあらかじめおわび申し上げます。
食事中の方は、食事がおわってからお読みいただくよう、おねがい致します。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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どうしても気になる「うんこ本」

児童書コーナーを探すとうんこの本がやたらある
児童書コーナーを探すとうんこの本がやたらある
子供とうんこは切っても切り離せない。いつでも子供とうんこはセットだ。
先日、キャンプ用のテントを購入したさい、試しに部屋のなかで広げてみたところ、息子が「家のなかにテントがある!」という非日常感からか、はしゃぎすぎてうんこを漏らしたことがあった。
感情の高ぶりが、ダイレクトに排泄へ結びつくあたり、子供とうんこの親和性を物語る貴重なエピソードといえる。

そんな子供たちが読むことを想定して、絵本や児童書にはうんこをテーマにした書籍がとてもおおい。

しかしながら、うんこに関しては我々おとなだって並々ならぬ興味と関心は持っている。「うんこ本」を子供たちだけの楽しみにしておくのはもったいない。
いま、図書館にあるうんこ本をいくつか借りて読んでみたいと思う。

虫だから許される「むしのうんこ」

むしのうんこ
むしのうんこ
冒頭、あれだけ人間の排泄とは? みたいなことをしたり顔で言っておきながら、いきなり「むしのうんこ」で申し訳ない。でも面白いので紹介したい。

この本は数年前、兵庫県伊丹市にある「伊丹昆虫館」で開催された「むしのうんこ展」の展示をまとめたものだ。
うんこのかたちは体型に似るのだろうか?
うんこのかたちは体型に似るのだろうか?
バッタやイモムシなどのうんこを写真で紹介してあり、ひとくちにむしのうんこと言っても、いろんな形のうんこがあるということを教えてくれる。

この絵本でとくに圧巻なのは、ナガサキアゲハの幼虫の排泄シーン連続写真だ。
なんかかわいい
なんかかわいい
一歩間違うと、大変なことになりかねない内容なのだが、対象がナガサキアゲハなのでひと安心である。むしろ、子供の情操教育にうってつけかもしれない。ぜひGIFアニメで見てみたい。

うんこを分類「うんぴ・うんご・うんにょ・うんち」

続いてはこちら、「うんぴ・うんご・うんにょ・うんちーうんこのえほんー」だ。
うんぴ・うんご・うんにょ・うんち
うんぴ・うんご・うんにょ・うんち
ポップなイラストで描かれるかわいい物体。すべてうんこである。
内容は、食事と健康管理の問題を、うんこという視点から見つめなおした啓蒙書だ。

どんな食習慣や生活をしていると、下痢や便秘になるのかということをわかりやすく解説した絵本で、内容は至って真面目でふざけたところはない。

しかし、1ページ目の一番最初に出てくるこの人に衝撃を受けてしまう。
「うんこのことならなんでもわかる」だいべんはかせ
「うんこのことならなんでもわかる」だいべんはかせ
「うんこのことはなんでもわかる」という「だいべんはかせ」だ。さかなクンが魚の帽子をかぶるがごとく、だいべんはかせは、うんこの帽子をかぶっている。
便器をのぞきこむだいべんはかせ
便器をのぞきこむだいべんはかせ
ちなみに、タイトルの「うんぴ・うんご・うんにょ・うんち」というのは、うんぴが「液体状の便」、うんにょが「消化不良時の便」、うんちが「健康なときの便」、うんごが「硬い便」という、うんこの状態を現したうんこの分類らしい。

驚いたのは、食物繊維を十分にとって、早寝早起きをしたばあいの「うんち」は「いろはきれいなちゃいろで、においはあんまりしない」というのだ。
いろがきれいで、においもあんまりしない桃源郷のようなうんこなんてこの世に存在するのだろうか? あこがれてしまう。

以上「うんぴ~」は、健康管理をするうえで、自分のうんこはしっかり観察したほうがよいということに気付かされる一冊だ。

みんなに集まってもらった

これらのうんこの本。ぼく一人で読むよりも、みんなに集まってもらって読んだら楽しそうなので、急遽「うんこの本読書会」を開催した。
デイリーポータルZからは、林さん、べつやくさん、大北さんが参加。
デイリーポータルZからは、林さん、べつやくさん、大北さんが参加。
アスペクトからは関さん、前田さんが参加
アスペクトからは関さん、前田さんが参加
今回は、出版社の編集者という視点からの感想も聞きたいので、アスペクトから関さんと前田さんにご参加いただいた。
みんな、いい大人で忙しいというのに、わざわざ集まっていただき恐縮である。

ちょっとやりすぎ感漂う「うんこばいきん元気のもと!」

ちょっとやり過ぎなイラスト
ちょっとやり過ぎなイラスト
和やかな雰囲気のなか、まずやり玉に上がったのはこちらの本だ。

べつやく「これちょっと、やりすぎですよね」

大北「あ……これ、ちょっと気持ち悪いですね」

--いちおう、ポップな絵で気持ち悪さを軽減してると思うんですけど

べつやく「これはぜんぜんポップじゃない……」

林「絵が……、お尻が汚く書いてあるんですけど、女の子のおしりにテカリが入ってるんですよ、そういうところがちょっと……」
絵がちょっとやりすぎている
絵がちょっとやりすぎている
うんこやおならが出るからこそ、健康でいられるのだという教育書ではあるのだけど、直接的すぎる表現や絵柄がいまひとつ不人気である理由のようだ。

やさしい絵柄でうんこをお勉強「おべんとうんち」

続いてはこちら、ファンシーな絵柄の「おべんとうんち」。
絵柄が柔らかいので親しみやすい
絵柄が柔らかいので親しみやすい
主人公せんいちくんの食べたウィンナーやご飯、野菜が胃や腸でどのようにうんこに変わっていくのかを描いた本だ。
トロッコが食べ物を運ぶという斬新な設定
トロッコが食べ物を運ぶという斬新な設定
この本の主張するところによれば、健康なうんこは匂いや色でわかるという。
1UN=5cm
1UN=5cm
うんちスケール。袋状になっており、ティッシュを詰めて使う
うんちスケール。袋状になっており、ティッシュを詰めて使う
大北「これはいい、うんちの測り方が書いてある。1UN(うん)、5センチ。うんちスケールかー」

関「これは絵が上品でいいですね、安心して読める」

--みなさん高評価ですね

前田「この『おべんとうんち』と先ほどの『うんこばい菌元気のもと』を比べると、こっちの『おべんとうんち』は誰が買うかってのをよくわかってるんですよ、これ、お母さんが買うんですよ。誰の財布の紐を緩めればいいかわかってる」
うんちスケールの使い方を懇切丁寧に説明
うんちスケールの使い方を懇切丁寧に説明
--なるほど

前田「『うんこばい菌』は、子供が読むものだからこれぐらい下品でもいいだろ? っていうやりすぎちゃってる感はしますね」

--お前ら子供だからうんこ好きだろう? みたいな傲慢さは感じますね
情報量が多い
情報量が多い
前田「あと『うんこばい菌』の方はいろいろと要素を詰め込みすぎなんですよ、トイレを汚さないコツとか入ってる」

べつやく「それってマナーの話だよねっていうのはありますね」

同じような、うんこををテーマにした健康の本であっても、誰に向けて作るかの編集方針により、ずいぶん印象が変わってしまうということがわかった。
子供をナメてかかると大変なことになるというのも、他山の石としたいところだ。

思わぬ感動作「こいぬのうんち」

さて、今までは自然科学的な切り口だったり、食事と健康管理の話だったりしたうんこの本だが、純粋に寓話、物語としてのうんこの本というものも存在する。
韓国の絵本を翻訳した「こいぬのうんち」という絵本もそうだ。
韓流絵本登場
韓流絵本登場
こいぬのうんちは、土くれに「(お前は)うんちの中でもいちばんきったねえ、いぬぐそだぞ」と言われ、自信を喪失する。さらに、にわとりには「なにかのかす」とまで言われるしまつ。
しかし、たんぽぽの芽が、自分を栄養として必要としていることを知り、こいぬのうんちはたんぽぽの養分となって消えていく……。
というあらすじだ。

べつやく「これ、表紙の犬の姿勢がいいですね」

大北「あぁ、男の背中ですねー」

林「後半になっていくにつれて、このうんこがだんだんとかわいく見えてくるんだよ」

べつやく「そう描いてるのもあるんじゃないの」

林「最後のほう、リサとガスパールみたいにみえるもん」
ニワトリにカスとまで言われて完全に自信喪失
ニワトリにカスとまで言われて完全に自信喪失
関「これ、よくできてて、最後になるとうんこがカラフルになってくるんですよ、それって養分の表現なんですね」
雨に溶かされ、土の栄養となっていく
雨に溶かされ、土の栄養となっていく
関「最後、カラフルな粒がたんぽぽに吸い取られて終わりなんですけど、表表紙と裏表紙の見返しのデザインがそれなんですよ」
見返しの部分のカラフルな粒はこいぬのうんちの行く末を暗示してた
見返しの部分のカラフルな粒はこいぬのうんちの行く末を暗示してた
ーーなるほどー。これが土の中の養分になるという伏線なんですね。

林「これ、犬の腸内の景色なのかと思ってた、ドグラ・マグラでいう前世の記憶みたいな……」

べつやく「そんなに複雑な話ではないと思う」

以上「こいぬのうんち」は全体的に高評価であった。
「どうせうんちの話だろう」と、たかをくくっていると、まさかの感動をぶっ込まれてうっかり泣いてしまった。という人も多いかもしれない。
うんこは往々にして笑いに結びつきやすいアイテムなのだけど、使いようによっては感動もいけるのだ。

不条理ギャグ?「かいけつウンコの助」

ウンコがヒーローという、かつて無い設定
ウンコがヒーローという、かつて無い設定
つづいての本はこちら。

さっきの感動作とは正反対の作品だ。困っている人の目の前に現れ、人々を次々に救っていく。というなんのひねりもない単純明快なストーリーだ。

べつやく「これ、さいごはすごかった」

--ピンチにおちいったウンコの助が空に向かって「うんこー」と叫ぶと、空から無数のうんこが落ちてきて、問題が一気に解決しちゃうんですね。
空に向かってウンコーと叫ぶ!
空に向かってウンコーと叫ぶ!
ウンコが降ってきて一件落着
ウンコが降ってきて一件落着
べつやく「ほかは何かうんこのことを教えようとしてるじゃないですか、でも、これは何もおしえようとしてないところがいいです」

--たしかに、この役に立たなさがいいですね

前田「最後のうんこが降ってくるのはマトリックスの敵が増殖するやつみたいでかっこいい」

林「時代劇っぽいから「なんとか人・ウンコの助」みたいなタイトルが合いそう」

--「汲み取り人、ウンコの助」みたいな感じですか?

べつやく「汲み取られる方だけどね」

普段、忌み嫌われる対象であるうんこが、人助けをするヒーローになるというギャップと、わかりやすすぎるストーリー展開。「うんこー」と叫べば問題が一挙に解決するなど、様々な要素がいちいち新鮮で、概ね好評であった。

学校うんこは恥ずかしくない!「うんこ行ってきます」

最後はこの本。「うんこヒーロー うんこ行ってきます!」
学校で躊躇なくウンコができる=うんこヒーロー
学校で躊躇なくウンコができる=うんこヒーロー
学校が大好きなまこと、しかし、彼にはひとつ悩みがあった。それは学校でうんこをするのが恥ずかしいのだ。友達のアンチンやヨウスケは平気でうんこに行くけれど、そんな勇気がなかなかわかない。あるひ、我慢しきれなくなってこっそりとトイレに行くのだが……。
学校での便意におびえるまことの運命やいかに
学校での便意におびえるまことの運命やいかに
べつやく「これ、うんこそのものじゃなくて、学校での社会性の話になってて面白かった」

前田「これ、スクールカースト的な話でもありますね」

大北「桐島ってやつですね」

小学生を経験したことのある男子ならば必ずわかる。あの「学校でうんこしたら死ぬ(ほど恥ずかしい)」という強迫観念。そのあたりの心理描写を見事に描ききっている。
「トイレに行かず、お腹の中にうんこがたまってる方がむしろきたない」という理屈も痛快で良かった。

これがうんこの本マトリクスだ

以上、ざっと見てきたうんこの本、これを「下品、上品」、「エンタメ、教育」のマトリクスに並べてみた。
これが「うんこの本」マトリクスだ!
これが「うんこの本」マトリクスだ!
いかがだろう。
さすがにいくらうんこの本とはいえ「下品でエンタメ要素のみ」というような突き抜け書籍は、なかなか存在できないということがわかった。

うんこの本クロスレビュー

これまでの内容を踏まえ、今まで紹介したものの中から4冊に絞ってクロスレビュー風に書評をまとめてみた。

うんこの本の読書会楽しい

たまには集まって本を読むのも面白い
たまには集まって本を読むのも面白い
今回、このように集まって「うんこの本」の読書会を行ったわけだが、意外なことにこれがめっぽう楽しかった。

うんこの本にかぎらず、みんなで集まってわいわい言いながら読書するのも悪くない。と思った。

イラスト協力:トリバタケハルノブ(『トーキョー無職日記
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