おからコンニャクとは?
おからコンニャクは元々、青森に住む主婦の岡田さんが発明したのだそうな。菜食主義で、こんにゃくの研究をしていたら偶然出来たのだという(
プロフィールより)。
おからコンニャクは名前の通りおからが混じったコンニャクで、食感が肉のようであり健康食として注目された。
僕の記憶では2005年くらいからスーパーで売っている。値段は大体1枚140円くらいで、それほど高くはない。
これ以外のおからコンニャクを見たことがない。
妖怪「ぬりかべ」みたいな見た目。
袋を開けてみると、こんにゃくっぽい匂いがあってたしかにコンニャクかなって思うが触った感じは高野豆腐に近い。弾力があって、密度が高いスポンジという感じで、こんにゃくの様でちょっと違う不思議な物体だ。色んな食べ物の特徴をそなえている。
食べてみる
おからコンニャクは基本的に肉の代用品として扱われる。という事で、鶏の唐揚げ風とか焼き肉風にして食べてみる事にした。
まずは唐揚げ風。
鶏肉ではないかなー。
これはこれで美味い
唐揚げ粉を付けて揚げてみた。食べてみると、食感としては魚肉ソーセージに近い。で、おからコンニャクそのものにはうま味が無いので主に衣の味である。
唐揚げ粉のスパイス感と油味の美味い衣に、魚肉ソーセージみたいな食感のなにかがくるまれているという味だ。美味いか不味いかで言えば、美味い。衣の美味しさをおからコンニャクが邪魔してない。
しかしおからコンニャク自体に味が無いので、もうちょい濃いめの味付けをした方が良さそうだ。
焼き肉丼風
おからコンニャクに小麦粉を付けて焼いて、焼き肉のタレで味付けした。これくらい濃い味にすれば焼き肉っぽくなるであろう。
見た目はヨシ。
勝利を確信。
これは美味い
食感としては間違いなく魚肉ソーセージで、それに焼き肉のタレとかラードとか、味付けに使ったものの味がまとわりついている。これが不味いわけがない。
そりゃ、焼き肉か?と言われれば間違いなく違うんだけど、なんの肉も全く使っていないのに動物性たんぱくっぽい食感なのだからすごい。
パックを開けなければ日持ちするし、美味しいわりに健康に良さそうなのでたまに買って食べようかなって思った。
次のページではおからコンニャクを自作してみます。
コンニャクの素でおからコンニャクを作る
おからコンニャクの自作である。まず材料は、どこのご家庭にもある「コンニャクのもと精粉」。おそらく5年くらい前になんかネタにしようと思って東急ハンズで買って以来食料庫の奥に眠っていた。
いつ買ったかも覚えてない。
今は2012年の5月です。
4年前に寿命が尽きていた
長い事存在を忘れていただけあって、賞味期限の方もすっかり切れていた。2008年であるからして、北京オリンピックが終わってちょっと経った頃ひっそりと寿命が尽きたのだ。寂しい思いをさせてすまなかった。
今年はロンドンオリンピックである。オリンピックごしにようやく日の目を見せることが出来た。なでしこジャパンの様に輝いてほしいものだ。
そう、4年前に寿命は尽きているが構わず使うのだ。なに、製粉された粉だ。多少期限が過ぎてても問題なかろう。
とうぜん、おからも使う。100円で買ってきた。
ぬるま湯にコンニャク粉を混ぜる。
数分でデロデロのゲルになった。
まずはコンニャクづくり
おからコンニャクの作り方はネットでちょちょっと検索したら山ほど出てきて、大体同じ事が書かれていた。きっとどこかにオリジナルのレシピがあるのだろう。
まずは、普通にコンニャクを作るより少なめのぬるま湯にコンニャク粉を溶かす。するとデロデロのゲルになる。
これにおからを混ぜる。
おからとコンニャクゲルを混ぜた。
プルプルの粘土状になった。ここに、溶き卵と水で溶いた凝固剤の水酸化カルシウムを混ぜると固まる。凝固剤とか出てくるとエポキシパテみたいで楽しい。料理って言うよりは化学実験とか工作とかそういう雰囲気だ。
ここで本来のコンニャク作りの場合はコンニャクがキョロキョロするらしいが、今回はおからコンニャクなのでキョロキョロはしてないと思う。
どういう状態だ。キョロキョロについては7年前に編集部の古賀さんも引っかかっていた。
コチラ。違う商品なのに同じ表現って事はコンニャク業界の専門用語なのだろうか。
市販のおからコンニャクを食べて、そのものにはうま味や味が無いのが気になったので、自作するにあたって鶏ガラスープの素を混ぜてみた。
おからコンニャクに味が欲しいので鶏ガラスープの素を混ぜた。
凝固剤と溶き卵を混ぜこむと固まる。
材料を全部混ぜたら適当に成形する。もうこの時点で結構プルプルに固まっていた。コンニャクづくり、楽しい。
唐揚げ用に丸くしてみた。
最後に、お湯で30分茹でる。アク抜きの為らしい。アクってのは固めるために使った水酸化カルシウムの事で、もう用済みなので今度は抜くのだ。やっぱ化学実験みたいだ。
アク抜き後。つみれみたいですな。
茹で上がったら完成。おからコンニャク、意外に簡単に出来てしまいました。次のページでは料理して食べてみます。
唐揚げにしてみた。衣は片栗粉。左は鶏の唐揚げ、右の丸いのがおからコンニャクの唐揚げ。
面白い食べ物になった
出来上がったおからコンニャクを漬け汁に漬けて味付けし、片栗粉を付けて揚げた。見た目は唐揚げである。
食べてみると、おや、これはなんだろう?ドーナツ?いや、腑抜けたジャガイモ?という味わいだった。おからを多めに入れて作ったからか、魚肉ソーセージ的なプルプル食感プラスちょっとしたホクホク感がある。
まるっとしてる。
ドーナツ風。
でも本当のドーナツみたいに小麦粉を練り込んでないのでおそらく低カロリーでヘルシーなはずだ。揚げ物の時点でヘルシーもへったくれもないという気がしないでもないが、細かい事はどうでもよろしい。
で、となりにある鶏の唐揚げと食べ比べてみた。
おからコンニャクには肉汁が無い。
鶏肉の美味さは圧倒的だった
鶏肉ヤバイ。噛むとしみ出す肉汁、皮の脂は甘く濃い旨味が口に広がる。素晴らしく美味い。
ニワトリさんありがとう、本当にありがとう。あんたすごく美味しいよ。
やっぱり鶏の唐揚げは群を抜いて美味い。おからコンニャクをもう少しこれに近づかせたいので、もう一品作る事にした。
味付けはCookDo様を使います。
酢豚である
おからコンニャクは衣や味付けを濃くすると美味しくなる。という事で、酢豚に使うと美味しそうだなと思った。油で揚げてあんかけと絡めるなんて、おからコンニャクの為にある料理みたいだ。
あと、一度凍らせると組織が詰まって肉っぽい食感になるという。凍み豆腐と同じ手法である。
おからコンニャクを美味しく食べるには手間と時間が掛る。スローフード甚だしい。
見た目判りにくいですが、凍ってます。
凍らせたおからコンニャクを茹でて解凍し、半分に切った。表面の水分を飛ばして、濃いめの鶏ガラスープに漬ける。これでうま味を補えるだろう。多分。
半分に切って鶏ガラスープに漬けた。
で、衣つけて揚げたら唐揚げ完成。
唐揚げをそのまま食べてみた。ヤバイ。美味い。ちゃんとうま味があって、鶏の唐揚げとは全然違うものだけどちゃんと美味しい。おかずとして成り立っている。
代用肉と言っても無理がないくらいには肉っぽい気がする。最終目的は酢豚なので、更に調理を続ける。中華料理って作るの大変ですな。揚げ物した後に炒め物して、一品しか出来ないなんて!
各種野菜を炒めます。人参は下茹でした。
野菜に火が通ったらおからコンニャクの唐揚げを投入、CookDoで味付けして完成。
ハイ出来たー。最後の味付けのところがすごく簡単になっているのでやっぱCookDoは便利だと思った。
思えば酢豚って初めて自分で作った。豚肉使ってないけどな。
まずはおからコンニャクから。
どれどれ。
ほう、これは美味い。あと、皿が熱い。
おからコンニャクの攻略法
おからコンニャク酢豚はかなり美味い。ちゃんと味が付いてて美味い。今回ここまで作ってきた料理の中では一番美味い。
おからコンニャク料理をいくつか食べて、大体攻略法が判った。美味しく食べるには、
1.一度凍らせるとムチムチ感が生まれ、食感が肉っぽくなる。
2.表面に衣をつけないと味が絡まない。
3.塊が大きすぎると衣の面積が少なくなるので小さめにカットする。
4.鶏ガラスープを吸わせるなど下味を付ける。
5.とろみ系料理に使うと良い。
ここら辺を守ると美味しく食べられるだろう。では、次のページではここまでの結果を全く踏まえないでこんにゃく派生料理を作ってみたいと思います。
踏まえないのかよ!
僕もこんにゃくを発明したい
おからコンニャクは岡田さんの発明品。それを単に食べたり作ったりしてるだけじゃいまいちである。そこで、僕も新しいこんにゃくを作ってみることにした。豆腐コンニャクである。
おそらく「豆腐コンニャク」で検索するとすごく沢山の先人を見つけてしまうと思うので、ここは敢えて検索などせず先人は無視して進めていきたい。
豆腐を混ぜてコンニャクを作ります。
おからも余ってしょうがないので混ぜ込んだ。豆腐2:おから1くらいである。
作り方は2ページ目のおからコンニャクと大体同じで、そこに豆腐が加わる。分量の加減などはサッパリ判らないので1丁入れてみた。
なんか緩い気もしたが、アク抜きのために成形して茹でてみた。
デロデロになった。
予想外の展開である。コンニャクなのに固まらず、ゲルに戻ってしまった。なんかの化学反応だろうか、豆腐を入れすぎたからかなんなのか判らないが、どうにも固まらない。
困った。
元に戻りました。
困ったら揚げてしまえ
コンニャクを作ってたはずなのに固まらずにゲルになった。なにがなんだか判らないが、仕方ないのでこのまま料理することにした。なんとなく粘度的にはホワイトソースと言えなくもない気がするので、クリームコロッケにしてみた。
作業中は手がデロデロになってカメラを持てなかったのでいきなり完成写真です。
豆腐コンニャククリームコロッケ。もう何が何だか判らない料理名だ。
味気ない。
困った素材は揚げてしまえの法則敗退
食べてみた。食感としては紛れもなくクリームコロッケなのだが、豆腐とコンニャクが主成分なので異様に味気ない。
なんだろう、コクとかうま味とか、クリームコロッケに期待している味と違いすぎる。口に入れる前まで脳がクリームコロッケを期待して、クリームコロッケを受け入れる体制が出来てたのに実際は違ったという肩すかしである。
麦茶と思って麺つゆを飲んでしまって驚いた!に近いビックリ体験である。判ってるのに。
このままじゃ終われない。次。
グラタン作戦
大抵の食べ物はパルメザンチーズを掛けて焼けば美味くなる。という事で、そのように調理してみた。しかも、鶏肉を入れちゃう。肉入れた方がきっと美味しい。
そもそも代用肉としてのおからコンニャクを食べる企画だったが、もうこうなったらそんなの関係無い。どうにかして美味しく食べないといけない。意地である。
耐熱容器にマーガリンを塗りまして。
豆腐ゲルをダバっと投入。
鶏肉のミンチと、コロッケを作ったときに余った溶き卵。
豆腐ゲルをもう一層。その上にまた鶏肉を一層。
最後にパルメザンチーズをたっぷり。
オーブンで焼きます。
豆腐コンニャクのゲルグラタンが完成しました。見た目は美味しそうですが、果たして。
見た目はイケてますでしょう?
すごい粘り気の何か。
こりゃまた面白い物が出来た
こりゃまた面白い食感である。未体験と言って良い。粘度的には山芋に近い。それでいて、ゲル自体に味は無い。でもそこに鶏肉の味とかチーズの香ばしさが加わって、全体としては食べられなくはない味になっている。動物性タンパクと動物性脂質は偉大だ。
美味いか不味いかという表現はどちらも当てはまらず、しいて言うなら「面白い」だ。
なんとなく、「これ食べていいのかな」って思わなくもない味や食感だが、4年前に賞味期限が切れたコンニャク粉を使ってコンニャクを作り始めた時点で心配すべき事であり、今更心配するのは遅かろうと思い、一気呵成に全て食べた。
おからコンニャクを食べるなら酢豚に限る
4ページ目は蛇足だったとして、今回判ったのはおからコンニャクの酢豚は美味いということだ。おそらく肉団子風にしても美味かろうし、エビチリ風にしても美味かろう。要は、とろみ系中華料理に使えば鉄板だ。
豆腐コンニャクについては今検索したらちゃんとしたコンニャクのプロが作った豆腐こんにゃくが大量に見つかって漏れなく美味しそうなので、今度買って食べてみたいと思います。