2024年も平和なサイト
石川:今年1年の記事のタイトルと、リード文をシステムから書き出しまして……
石川:それをプログラムのできるライターのほりさんに頼んで、ワードクラウドにしてもらったんです。頻出するキーワードが大きく表示されるやつ。その結果がこちらです!
石川:いきなりなんですけど、手前味噌ながら良いサイトだなって思いません?「好き」「気」がでかい。
林:気?
石川:「気になる」とか「気がついた」とか。そういう、ちゃんと書き手が興味のあることを書いてるサイトっていうのがバーンと出ました。
林:いいね。右下に「最高」ってあるじゃん。ポジティブな言葉が多いですよね。怒りとか、酷い、不幸、みたいな最近のインターネットにありがちなのが全然ないもんね。
石川:「末路」とか。
林:ははは、「末路」ね。そういうのが1つもない。
石川:すごい平和なサイト。あと、「店」がすごいでかいんですよね。
林:怖いね。なんか。
石川:急に距離を置いた(笑)
林:確かに、最近は自分で作るよりも店に行く企画が多い気がするね。
石川:意外にちゃんと取材してるぞっていう。
2024年の「好き」
石川:ワードごとにどんな記事があるか見てみましょうか。まず「好き」。
林:好きの対象が生CMだったり、小遊三だったり。フェリーもフェリー自体じゃなくて匂いとかさ、狭いよね(笑)
石川:好きに対するアプローチも色々ですよね。自分で作っちゃう人、店に行く人、嗅ぎに行く人。
林:こうして見ると今年すごい長い気がするな。この記事も今年だったっけ?みたいな。
沖縄好きのダメな部分が出てる
石川:気になるワードあります?
林:沖縄?でかすぎるでしょ。
林:Dee沖縄の記事が毎月あるからかな。
石川:調べてみましょうか。
林:伊藤さん、安藤さんもいるんだ。
石川:Dee沖縄を中心とした沖縄陣営が形成されてます。
林:そもそもデイリーのライターって沖縄すごい好きじゃん。沖縄と台湾が。
石川:沖縄と台湾ね。
林:なんか大人で沖縄好きな人って。そういう雰囲気がありますよね。 沖縄好きの持つ独特の価値観というか(笑)
石川:沖縄のちょっとサブカルっぽい……南国ビーチと違う一面が。
林:名護ビーチの話いっこもないからね。ハブ求めて行ってるから。
橋田:沖縄の人、嬉しくないですよね(笑)
ぜんぶの地名に顔を出す安藤さん
石川:チャーハンは?
林:チャーハンはチャーハン部があるからね。3人(安藤、江ノ島、月餅)いるから。3人それぞれ書くからさ。
石川:あ、そうか。3人がかりだから多いんだ。
林:そう。
石川:やっぱ派閥があるんですね。沖縄派閥とチャーハン派閥。それで安藤さんが両方に入ってる(笑)
林:あとさ、地名でいくと岐阜と札幌。
石川:はい、岐阜に安藤、江ノ島。札幌に安藤。全部安藤さん(笑)
林:安藤さん毎週書いてて、1回遠出すると3本ぐらい書くからね。
石川:江ノ島さんと安藤さんの二人が行くと6本。札幌は「北海道」まで広げると地主さん出てきますね。安藤地主陣営。
石川:かつての「安藤軍団(※)」の絆を感じます。安藤軍団の残党。
※安藤軍団…安藤さんが編集部にいた頃、安藤さんとその担当ライターが結束の固さからこう呼ばれていた
「健康」のランクインも近い
林:「ラーメン」は小さいね。
石川:そうですね。
林:「チャーハン」のほうが全然多い。3人いるから。「バター」もあるかな?
石川:ちょうどチャーハンの上にあるけど、小さいです。
林:バター陣営、石井さんとべつやくさんの2人しかいないからね。石井さんはべつやくさんの記事に登場するだけでバターの記事書いてないし。
石川:「ビール」もすごい小さいじゃないですか。最近デイリー関係者は禁酒ブームだから、その影響なんですかね。
林:ほんとだ!いま記事で酒飲んでる人、酒の穴ぐらいしかいないもんね。
石川:このワードクラウドに「健康」「体調」が出てくる日も近いですかね。
林:「痛み」とかね。でもほんとにさ、「ビール」も「肉」もこんなちっちゃいんだよ。健康的なサイトになったね。
石川:肉は結構食べてそうですけどね。細分化されてるからタイトルに「肉」とは書かないんじゃないですか?「チキン南蛮」とか入ってるから。
「家」から「店」へ
石川:ワードクラウドをつくってくれた、ほりさんからもコメントをもらってて。全文は末尾に載せますけど、そこに面白いことが書いてあったんですよ。同じような振り返りを2020年にもやってて、そのときのと比べてみたいと思います。
石川:2020年ってコロナの時だったんですよ。コロナの時は「家」「自分」がすごい大きくて。
林:「自分」がこんなに大きかったんだ。
石川:そうそうそうそう。で、そこから2024年になって、「自分」から「好き」になったんです。自分自身じゃなくて、自分が好きなものが対象になった。あと、「家」も「店」になった。
林:ほんとだ。
石川:だから、みんなの興味がこの4年間ですごく外に向いたんだなっていう。
林:すごい外に向いたね。うん。いいサイトになりましたね。
石川:ね。コロナ禍は「ゲーム」が大きくなってて。
林:ゲームって多かったっけ?
石川:新しいゲームを考えて、やる。みたいなのが多かったんだと思います。外行けないから、家の中で工夫して楽しもう、みたいな。
林:それが、今ではチャーハンとかに変わったんですね。パンとかね。
パンを面白いものだと思ってる
林:……パンの記事こんなにあったっけ?
石川:パンについてはもうひとつ見てほしい画像があるんです。さっき見たのはタイトルとリード文を入れたワードクラウドなんですけど、次はタイトルだけの画像。
林:ははは。「パン」。
林:昔トルーに聞いたんだけど、「僕はパンのことをちょっと面白いと思ってるところがあります」って言ってたの。
石川:ははは。
林:デイリーポータル全体にそういう感覚があるよね。二人三脚でパン買いに行く記事あったじゃん。
林:別にパン買いに行く必要はないんだけど、平凡なことの象徴として「パン買いに行く」を選んでるっていう。
石川:そうですね。パン。パンって言葉もおかしくないですか。2文字なの短すぎるし、2文字中半分に丸がついてるのもおかしいですよね。
林:響きとしてね。パンでやる必要ないなっていう企画は他にもまだいくつかあって。
林:全然パンである必要ないじゃん。でも、全体にパンのこと面白いと思ってるんだよ。なんとなく。さっきのタイトルだけの画像もう一回見せて。
石川:チャーハンとかより全然パンが強くて。
林:米とかご飯とか全然ない。
パンのサイトって世の中にいっぱいあるけど、実はデイリーもそうだったんですね。
石川:そうですね。かなりパン情報載ってるサイト。
どんな記事でしょうクイズ「ハンマー」
石川:クイズやりましょうか。「ハンマー」がタイトルに入るの、なんの記事でしょう?
林:ハンマー…ハンマー投げ?そんなのあったかな?
石川:橋田さんも、もしわかれば。
橋田:えー、わかんない。今年ですよね?
林:ハンマー…ぜんぜんわかんない。
石川:調べてみましょう。あ~なるほど、正解は、これです。
橋田:そうね。なるほど!
石川:ハンマー使って何かよけいなことする記事ばっかり想像してましたね。パンの話のあとだったから。まさか正統派のインタビューとは(笑)
橋田:それはしょうがない。
第2問「バブル」
石川:「バブル」わかります?
林:バブル。バブル。ヨシダプロの、バブルになるみたいな記事じゃない?
石川:早い!これですね。
橋田:あと、べつやくさんも書いてなかったっけ。髪型がバブルじゃなくなったっていう。
石川:あ、ドライヤーの記事。
林:ドライヤーですね。URLが「goodbye-bubble」。
第3問「悪魔」
林:「悪魔」はどう?
石川:悪魔はわかった。安藤さんが、悪魔のスパイスを紹介してました。
橋田:即答だったね。
石川:あれ、林さんも悪魔書いてるじゃないですか。
林:ほんとだ。おれ書いてた(笑)
石川:あと玉置さんも
橋田:意外といっぱいありますね。悪魔の記事。
第4問「箱」
石川:最後の問題です。「箱」。
林:箱、箱…。
石川:箱の記事ありましたっけ。あ、実家箱は今年?
林:今年ですね。
石川:あと2、3本あります。
林:あー、「見慣れた箱!」
石川:なるほど。トルーだ。気になるワード、調べるとトルーが結構出てきますね。
林:扱ってるものの抽象度が高いんだよね(笑)
石川:実家箱みたいな具体的なものじゃなくて、「箱」っていう。
橋田:弁当箱がかなり具体的なものに見えてきますね。
石川:実体がありますからね。弁当入れて。
パンの時代からデニッシュの時代へ
石川:まとめます。来年はどうしましょうか。
林:パンのサイトの来年ね。
石川:世の中の興味としては、麺の方が人気そうじゃないですか?
林:そうだよね。 あえて「パンっておかしいよね」みたいな、裏をかく癖がついちゃってるからな。実際ウケてるのかな?パンの記事。
石川:どうなんですかね。「パンの記事」っていうくくりで見たことなかった。
思ったんですけど、例えば地名だったら東京って僕ら住んでて解像度高いから、逆に「東京」って入るタイトルあんまりないじゃないですか。「渋谷」とかひとつ細かい粒度になる。でもパンは違うんですよね。
林:あ、そうだね。「パン」って書いちゃうんだよ。詳しかったら「デニッシュ」とか書くはずなのにいいのに。
石川:「バゲット」とか書かないじゃないですか。
林:そうですね。「パン」って書いてるの頭悪い感じするよね。来年はデニッシュとか言っていこうか。
橋田:スタイリッシュな形で。
石川:じゃあ来年はデニッシュでいくということで。こんなまとめでいいのかな(笑)
というわけで、来年は二人三脚でデニッシュを買いに行ったり、バゲットで「L」を書いたり(書きやすそう!)するサイトになると思います。
最後に、ほりさんからのコメントを紹介して、おしまいです。
こんにちは。デイリーポータルZの2024年公開の752本の記事をもとにワードクラウドを作らせていただきました。ほりです。
大きい文字の言葉は登場回数が多かったことを意味しています。 つまり、今年のデイリーポータルZには「好き」「店」「何」の登場回数が多かったようです。
実は2020年にも同様にワードクラウドを作ったことがあり、そのときは「自分」「家」「何」が大きく表示されていました。
当時はコロナ禍真っ只中で、日ごろから外での撮影を推奨されている我々ライターも、このときばかりは自宅での撮影を余儀なくされていました。 「自分」「家」「何」は、家にこもって自分と向き合う記事が多かったことを表していたのです。
しかし、あれから4年がたち、今年は「好き」「店」「何」です。街に出かけ、店に入り、そこで得た体験を紹介する。
ネタを考えるのがずいぶんと楽になりました。とりあえず出かければ街に何らかの出会いがあり、発見があります。外出最高!
個人的には「何」の城壁の本丸部分に小さく「部分」という言葉があるのがうれしいです。
4月に「部分ツイートの達人に話を聞く」という記事を書かせてもらったのですが、その影響かと思います。
部分ツイートの達人・森川さんと外出し、いろんなお店の看板を見て部分ツイートを考えました。
外に出かければ何かが起きる、その象徴のような記事です。来年もいっぱい出かけたいです。(ほり)
というわけで、どうぞ2025年もよろしくお願いします!