ビールの缶は怖い
軍手をして、缶切りなどでギコギコ切って作った。
裏返すどうこうより「手を切りそうで怖い」「なんでこんなものを作ったのだ」と思ってしまう。
牛乳パックの裏側の白さに思いを馳せていた。処分する前、開いて乾かす時にハッとするほど白い面が出てくる。
あれはとてもきれいなので、おもて面でもいいと思った。
牛がいて良い。しかし裏面も白くて良いのだ。
開いて、折り目と逆に折り、テープでとめながらまた組み立てる。
白い。真っ白だ。でも形に特徴があるので牛乳パックと分かる。
現実味のない立体。CGみたいだな。重さや手触りの想像がつかない。
見慣れた物体の「面」だけがきれいにすり替わっておもしろい。他の箱も裏返してみよう。
裏返した時、牛乳パックのようにのっぺりする箱と、他の情報が出てくる箱に分かれた。まずはのっぺりする箱。
【持っていて嬉しい箱】と言えばこれである。【人が持っていると羨ましい箱】でもある。
ドーナツを別のお皿に移す。
牛乳パック同様、逆に折ってテープでとめながら形を整える。
不思議だ。裏側でもワクワクする。良いものが入っていそう。形自体にそういう印象が染み付いているんだろう。
そういうズボンとか、あるよな。
コンクリート打ちっ放しの部屋みたいな雰囲気が出た。箱の機構が丸見えで無骨なかっこよさがある。
「のっぺり」とはちょっと違った雰囲気だが、これはこれで良い。
裏返すともう1つの表情が出てくる箱もあった。
字がいっぱい書いてある。キャンペーンの情報だ。
商品名が分からないまま細々したことがたくさん書いてある不思議な箱になった。
「たくさんですごい」という風に処理できる数を超えていて、考え込んでしまった。
こっちがおもて面でも、十分に戦えるポテンシャルを持っていると思う。
これも、おもて面としてのポテンシャルがありそう。シンプルすぎて気になるし、作りたてっぽくておいしそうだ。
ふとした時にちょっと見える裏面のコピー。表になっていると見入って、考え込んでしまう。
お菓子のおもしろさって、おいしさと同じくらい大事なんだなとか、句読点の意味とか。
最後に、のっぺりした箱だけ集めたらCGの空間みたいになるかなと思って写真を撮ってみた。
裏返した箱の他に、納豆のパック、しゃもじ、パックごはんのトレイを並べてみた。白いな。
相変わらずCGっぽくはならないが、落ち着く空間ができた。
情報が少ないからである。何も書いていないので何も読まなくていい。無音。そう、箱を裏返すと情報が減って落ち着くのだ。
箱を裏返すと無音の空間ができる。今回分かったことはこれだ。
軍手をして、缶切りなどでギコギコ切って作った。
裏返すどうこうより「手を切りそうで怖い」「なんでこんなものを作ったのだ」と思ってしまう。
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