知ったかぶりでもいいから話に参加したい
グループで話をしていると、自分ひとりだけ詳しくない話題になることがある。特に私はアニメや漫画をあまり見ないので、そういった話題に弱い。そこでふと思ったのだが、Wikipediaに書かれていることをカンニングすれば、詳しくない人でも話題についていけるのではないか?(それがいかに虚しいことなのかは別問題として。) この度、Wikipedia人狼というゲームでそれを確かめることにした。
新ゲーム「Wikipedia人狼」
今回考えたのはWikipedia人狼というゲームだ。Wikipediaの内容で知ったかぶりをしている人を当てるというもの。
話題に詳しくない人がWikipediaで知ったかぶりします。ワードウルフというゲームに着想を得ており、「人狼」と表現しました。
「Wikipedia人狼」のルールは次の通り。
勝利判定の部分はいろいろ決め方があると思いますが、今回はできるだけシンプルな方法にしました。遊ぶ際はみんなが納得いく形でご自由にアレンジしてください。
話題を決めるのはアンケート
話題を決めるためには匿名のアンケートが必要となる。今回、「1人か2人だけ詳しくなさそうな話題」をGoogleフォームでのアンケートで集めた。
Googleフォームでの事前アンケート。ちなみに、設定で「メールアドレスを収集する」と「回答を 1 回に制限する」のチェックを外すと匿名で収集できます。
ドラゴンボール、スラムダンク、半沢直樹、プロ野球、モチモチの木、iPhone12など、多種多様な「1人か2人だけ詳しくなさそうな話題」を25個並べ、参加者が詳しいか詳しくないかを調査した。
Zoomで開催!Wikipedia人狼
準備は整った。ここからさっそく、Wikipedia人狼を開催する。今回はZoomで開催したが、結果的にそのおかげで人狼側がWikipediaをカンニングしやすいのでよかった。
左上からウェブマスター林さん、ほり(筆者)、北向ハナウタさん、まいしろさん、編集部石川さん。新年早々知ったかぶりをさせられる人たち。
ハナウタ:緊張する~
まいしろ:そう。このゲーム緊張する!
ほり:さっそく、行きたいと思います。
最初の話題は、2020年に大流りしたドラマ、半沢直樹。
この中に、半沢直樹に詳しくない人が2人います。
ほり:半沢直樹に詳しくない人はいまこっそりWikipediaで半沢直樹を調べてください。詳しい人は(目線でばれないようにするため)全然関係ない記事を見てください。いまから3分ぐらい話をします。
まいしろ:半沢直樹好きですか?
石川:ちょっと流行りすぎじゃないですか?
林:去年の明るい話題半沢直樹ぐらいですよね。
まいしろ:あと鬼滅の刃ですね。
ハナウタ:ふだんみなさんドラマみますか?
ほり:……やばい。Wikipediaの情報全然出てないですね。もうちょっと核心に迫ってください。
まいしろ:どのキャラクターが好きですか?
ほり:黒崎っていうオネエのキャラが好きでした。
ハナウタ:今、知識を出そうとした感がありましたけど。
林:ジャンプ漫画っぽいですよね。前の悪いやつが味方になるの。
まいしろ:みんなかたくなにあらすじの話をしないのが怪しい。
林:あらすじの話をしたほうがいいですね。半沢直樹のお父さんって鶴瓶がやってますよね。工場長の。
ハナウタ:ネジの工場ですよね。
ハナウタさん「ネジの工場」。こういう付けたしは自然な感じがする。
まいしろ:全員見てなさそうな会話なんですよね。
ほり:石川さんが無口なんだよなぁ。石川さん、半沢直樹に出てた俳優で好きな人いましたか?
石川:ん~。上戸彩かな?
林:まさにそこに来るとは。でも確かに後半重要な役割でしたよね。
ハナウタ:石川さんかなり苦笑いしてますね。
ほり:じゃあそろそろ投票に移りたいと思います。多数決で人狼(知ったかぶり)を一人選びましょう。チャットに怪しい人の名前を入力して、「せーの」で送信しましょう。せーのっ!
石川さんが集中砲火を浴びる結果に。
果たして、本当にWikipediaの知識で知ったかぶりをしていたのは誰だ?
石川:俺です!これはね……。マジで無理ですわ。
というわけで、村人側の勝ち。ちなみにもう一人は……。
ハナウタ:俺です。
まいしろ:えー。全然わからなった。
人狼は石川さんとハナウタさん。投票結果は石川さんだったので、見事的中。世界で初めて行われたWikipedia人狼の結果は、村人の勝ちだった。面白かった。しかし正直、石川さんはバレバレだったが、ハナウタさんはわからなかった。うまくやれば人狼側も勝てるのでは?
石川:好きな俳優を聞かれてWikipediaから答えたんですけど、かなりスクロールしないと出てこなくて大変でした。
ハナウタ:予習の時間があるといいかもしれないですね。
それにしてもハナウタさんの合いの手はうまかったなぁ。
ハナウタ:「ネジ工場」という一単語で切り抜けました。Wikipediaの鶴瓶のところに載ってました。
Wikipedia人狼を楽しむコツ
- 予習の時間を設ける
- 核心に迫る質問をする
- 合いの手をうまく入れて「知ってる感」をアピール
富山県に詳しくないのは誰だ?
続いてのお題は……。
富山県。「詳しい」の基準は「観光したことがある」としています。知ったかぶり(=人狼)の数は1人。
さて、今回は2分の予習タイムを設けたのち、会話をスタートしました。この中に知ったかぶりが1人います!
ほり:富山県のどこに行きました?
ハナウタ:金沢のついでに行ったぐらいですね。
林:富山でなんか食べました?
ほり:僕は寿司ですね。
ハナウタ:無難にイカを食べましたね。
まいしろ:めちゃめちゃおしゃれなスタバに行った覚えがあります。
ほり:世界一美しいスタバがあるんですよね。
世界一美しいスタバ。立山連峰が見えたらなお絶景。(小堺丸子さん「富山市には市民が100%薦めてくる公園がある~地元の人頼りの旅in富山市~」より)
林:俺、カレー食いましたよ。
石川:カレーは全国にある……。
林:日本海側ってカレー食べるじゃないですか。金沢とか。
ほり:Wikipediaに載ってなさそうな情報だ。
ハナウタ:あとはやっぱイカですよね。
林:石川さんはどうですか?さっきからまた逃れようとしている。
石川:いやいや、行ったことありますよ。路面電車があるんですよ。
まいしろ:石川さんは泊まりで行ったんですか?
ハナウタ:石川さんがガンガン責められている。
ガンガン責められている石川さん。
石川:普通のビジネスホテルですね。全然富山関係ないんですけど、そこの大浴場でロッカーのナンバーキーが開かなくなって困ったことがあります。
ほり:愛知県のエピソードを流用している可能性がありますね……。
まいしろ:何だかんだほりさんもあやしんですよね。
ほり:僕は富山に「堀(ほり)」という地名があってそこに行ったことがあるんですよ。あと滝行もしました。
これは本当にしました。寒かったという感想しかない。
ほり:寒くてガクガク震えながらやったんですよ~。
石川:滝行の情報はWikipediaになさそうだなぁ。
まいしろ:林さんも怪しい。
ハナウタ:林さんは全国各地行ってそうなイメージあるんですよね。
まいしろ:林さんは富山のどこに行かれたんですか?
林:富山で宿泊したんですけど、酒飲みすぎて記憶がないんですよ。
ハナウタ:それは本当な気がするなぁ。林さん地方行くとすごい飲みますからね。
まいしろ:それで信頼を得るのやだな。
そろそろ投票の時間。
なんと、全員が一票という結果に。フィーリングカップルなら全員片思い。
みんながまんべんなく怪しかったので、票がきれいに割れた。この時点で人狼の勝ちとします。ちなみに、人狼は……。
ハナウタさん!まじか~。
人狼はハナウタさん、よく考えるとイカの話しかしてない。確かに富山県のWikipediaの記事には「イカの消費額が群を抜いて大きい」と書かれているが、それだけで押し通すとは、Wikipedia人狼的にはパワープレイだ。またしても合いの手のうまさで疑いの目をスルリとかわした。
ハナウタ:行ったことないんですよ~。富山。
林:ほりさんの滝行をした話がずいぶんライトだから怪しいなって思って。「寒い」って普通だなぁと。
ほり:しゃべるのが下手なだけでした……。
話がうっすらしてきた!クワガタについて語る
続いてのお題はクワガタムシ。クワガタの名前を3種類以上言える人は「詳しい」ということにします。
この中に、クワガタに詳しくない人が2人います。例によって予習タイムのあと、会話スタート。
ほり:クワガタ飼ってました?
石川:飼ってはないですね。カブトムシは飼ってたことあるけど。
ハナウタ:石川さんは虫好きだからなぁ。
まいしろ:性格から類推するのやめません?林さんは酒飲むとか。
石川:みんな小さいころ図鑑読んでませんでした?
林:クワガタの原寸大の写真の載ってる下敷き持ってました。
まいしろ:私も図鑑持ってました。親に買ってもらいました。
ハナウタ:興味わきました?
まいしろ:虫は苦手なんですけど、クワガタは虫の中では比較的大丈夫でした。
ほり:具体性あるなぁ。
伊藤健史さん「メタリカisクワガタ」より。あまりにもいい写真だ。
ハナウタ:ほりさん虫好きですか?
ほり:今はもう虫嫌いで、クワガタもそんなに好きじゃないですね。小さくてつぶしちゃいそうで。……うっすい話だなぁ。
ハナウタ:自分で言っちゃった。
ほり:あ、でもどうぶつの森で詳しくなってます。
林:石川君は捕りに行ってた?
石川:行ったことはあるんですけどあんまりクワガタはいないですよね。カブトムシのほうがまだいた気がする……。
ほり:クワガタは外国にもいるんですかね?
林:いるでしょ。マレーシアとか。
まいしろ:同じ緯度のところならいるみたいな。
ほり:いまのちょっと詳しすぎませんか?
ハナウタ:うん。ちょっと怪しい。
ほり:でも、図鑑読んでたからか~。
ハナウタ:でも子供のころの図鑑にそこまで書いてあるかなぁ。
まいしろ:でも、すぐに緯度を持ち出すのは私のクセなので気にしないでください。ケッペンの気候分布が好きなので。
ケッペンの気候分布を持ち出すまいしろさんと、あやしむ人々。
林:ノコギリクワガタの形、かっこいいですよね。オオクワガタはでかい。
ハナウタ:よくカブトムシとクワガタの戦いありますよね。
林:カブトムシとクワガタ本当に戦うんですかね。
石川:いい樹液の場所を取るんじゃないですか?
まいしろ:……。全員詳しくなさそうで難しいですね。
基本的にうっすらとした会話が続く。クワガタに詳しい人も名前を3種類言える程度であって、そこまで詳しくないのだ。
さて、今回は特別に投票で2人を選ぶことにした。
せーのっ!
連続ドラマのややこしい人物相関図みたいになった。
ひときわ会話の内容がうすいほりが4票であやしさ1位。次点がケッペン気候分布が好きなまいしろさん。果たして結果は……。
まいしろ:私です。一匹も知らないです。
林:俺も人狼。オオクワガタしか知らないです。Wikipedia見てノコギリクワガタいたなぁと思い出しました。
ほり:え~。じゃあ緯度のやつは?
まいしろ:緯度のやつは、なんとなく。それっぽい感じの。
石川:もはやただのホラですね。
まいしろ:いつでも飼育方法の話題についていけるように飼育方法の箇所を表示していたのですが、誰も飼ったことがなかったですね。
勝利判定は微妙なところですが、林さんの逃げ切りで人狼側の勝ちとします。
Wikipedia人狼を楽しむコツ
- Wikipediaを使わずに嘘で切り抜けてもよい
- 同時に2人投票するルールも面白い
Wikipediaを使わずに嘘で切り抜けるとなると、いよいよ本当の人狼ゲームのようなスキルも重要になってくる。あの悪いことをしているようなドキドキ感がたまらない。
知ってるふりはつらい。
ハナウタ:いままでしたことのない会話の仕方をした気がする。
石川:ただ、知ってるふりするのはつらいですね。
知ったかぶりをするのはつらいようだ。ふだんの会話で自分だけ詳しくない話題になったときは、素直に聞き役に徹したほうがよい。知ったかぶりは精神をすり減らします。
でもだからこそWikipedia人狼で日頃味わえない感覚を味わうことができます。もしよかったらやってみてください。そして、話題を決める仕組みを自動化するアプリやカードを開発すればビジネスの予感がしてきたぞ……。