特集 2016年8月17日

メタリカisクワガタ

はい、言いたい事終了~。
はい、言いたい事終了~。
メタリカはかっこいい。かっこいいメタリカを眺めているとクワガタにしか見えなくなってきた。夏の魔法に違いない。
1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー)

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今更ながらメタリカ

メタリカといえば言わずと知れたヘヴィメタル界に燦然と君臨するモンスターバンドである。1981年にボーカルのジェイムズ・ヘッドフィールドとドラムのラーズ・ウルリッヒが中心となって結成され,これまでに全世界で1億枚以上のレコードセールスを記録、グラミー賞で9つの栄冠を獲得など、成し遂げた偉業は枚挙にいとまが無い。

ヘヴィメタルをより過激に、速くした「スラッシュメタル」というジャンルのルーツともいわれている(諸説あり)。
個人的には真ん中の黒いのが好きです。はい、私はメタラーではありません。すいません。
個人的には真ん中の黒いのが好きです。はい、私はメタラーではありません。すいません。
彼らのスラッシュなスタイルを体現したかっこいいジャケットにそこはかとなく感じる、生物感はなんだろう。
これ。この記事ではロゴではなく、メタリカと呼びます。
これ。この記事ではロゴではなく、メタリカと呼びます。
40代を迎えた今、それがわかった。クワガタだ。クワガタなのだメタリカは。

メタリカを構成するソードとエタリク

極端に発達し、鋭利な刃のようになった両端、メタリカソード(勝手に命名)がアゴ、その間の頭部の部分がETALLIC(エタリク)にあたる。
こういう事です。エタリクは言ってみたら気持ちよかっただけ。
こういう事です。エタリクは言ってみたら気持ちよかっただけ。
見るものを威圧し、魅了する大アゴ、キングの象徴。昆虫界のメタリカがクワガタであり、音楽界のクワガタがメタリカなのである。
このクワガタはスジクワガタ。小型だがアゴの造形が精巧でかっこいい。
このクワガタはスジクワガタ。小型だがアゴの造形が精巧でかっこいい。
クワガタは実に多様だ。そしてメタリカもまた長年の活動の間に様々な変遷を経ている。
メタリカとクワガタの最高のマッチングを模索していこう。音楽とクワガタをつないでいこう。かき鳴らしていこう。

鋭いメタリカ

1983年、メタリカはインディーズ・レーベル、メガフォースよりファースト・アルバム「キル・エム・オール」をリリース。
日本版は「血染めの鉄槌」という見たまんまの邦題がつけられた。
日本版は「血染めの鉄槌」という見たまんまの邦題がつけられた。
装飾味を削ぎ落し荒々しく刻まれるリフとたたみかけるような超速弾きソロ、過剰なまでのスピードで疾走する、若きメタリカのパワーがさく裂する衝撃のデビューアルバムである。

ジャケットで左右に広がる鋭くて平面的なメタリカはコクワガタのようだ。
日本で最も普通に見られるクワガタの一種。コクワといっても体長はオスで22~54mmとでかいやつはでかい。
日本で最も普通に見られるクワガタの一種。コクワといっても体長はオスで22~54mmとでかいやつはでかい。
コクワといってあなどってはいけない。シンプルな大アゴは力を効率よく伝え、噛まれるとかなり痛い。

鋭いアゴで勢力的に動き回り、はつらつとした若々しさを感じさせる。バンドでいうなら初期衝動のようなものではないか。
コクワガタをメタり化! 鋭いぜ! さわるもの皆あれするぜ)
メタリカの栄光のはじまりにふさわしい。コクワガタ、イズ、 メタリカ。
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厚いメタリカ

翌年発売のセカンドアルバム「ライド・ザ・ライトニング」では前作の猛々しさや疾走感を引き継ぎながらもリフはより緻密になり、文学作品のインスパイアなどより重厚で深遠な世界観を産み出している。
ラストの「ザ・コール・オブ・クトゥルー」はなんと怪奇幻想小説家のラヴクラフト作品にインスパイアされた約9分のインストゥルメンタル。死ぬ程かっこいい。
ラストの「ザ・コール・オブ・クトゥルー」はなんと怪奇幻想小説家のラヴクラフト作品にインスパイアされた約9分のインストゥルメンタル。死ぬ程かっこいい。
この試みは1986年にリリースされたサード・アルバム「マスター・オブ・パペッツ」で完成型となった。
邦題の「メタルマスター」はどうなんだ一体。
邦題の「メタルマスター」はどうなんだ一体。
このアルバムをメタリカの最高傑作とするファンも多い。
独特のひずんだベースラインで初期メタリカのサウンドを根底から支えてきたクリフ・バートンが参加した最後のアルバムとなる(ツアーバスの事故で帰らぬ人となった)など、いろいろな意味でメタリカ史のひとつの節目とされる作品でもある。

一層の深みを増す楽曲を可視化するようにメタリカもズンと重厚感を醸しだす。

スラッシュメタルのキングとしての風格すら漂わせるこのぶ厚いメタリカにふさわしいのはやはりオオクワガタ。
この企画のために遠くまで探しに行ったが全然見つからなかったので標本でお送りします。
この企画のために遠くまで探しに行ったが全然見つからなかったので標本でお送りします。
往年のクワガタブームの時には「黒いダイヤ」と呼ばれ、卒倒するような高値で取引されていた。あの狂気のようなバブルは一段落したものの、今なお、最高級のクワガタとしてファンのあこがれを一身に集める孤高の存在である。
太く短く、風格あふれるメタリカ。
メタリカは次作の「…And Justice For ALL(邦題:メタル・ジャスティス)」を経て5作目、「METALLICA」でついに全米チャート1位を獲得。

セールス的にも大成功となったこのアルバムの通称が「ブラック・アルバム」というのも「黒いダイヤ」オオクワガタとの運命的なつながりを感じずにはいられない。そんな事はない。
ブラックアルバムでもメタリカは厚い
ブラックアルバムでもメタリカは厚い

変わりメタリカ

これまでメタリカのオリジナルアルバムを紹介してきたがライブ・アルバムや企画版などではまた違ったメタリカが存在する。
カヴァー曲を網羅したアルバム「Garage.inc」からのシングル・カット「TURN THE PAGE」。表題曲のオリジナルはボブ・シーガー(しぶい!)
カヴァー曲を網羅したアルバム「Garage.inc」からのシングル・カット「TURN THE PAGE」。表題曲のオリジナルはボブ・シーガー(しぶい!)
ここでのメタリカはめっちゃ細い。線を強調したこのスタイルはクワガタ界のコルベット、ノコギリクワガタがよく似合う。
流麗な曲線が美しい。子供達に人気の高いクワガタ。
流麗な曲線が美しい。子供達に人気の高いクワガタ。
アゴの大きさに比べ、エタリク(MとAの間)がせまいので奥行き感のあるメタリカとなる
なにより描くのが格段にラクでいい。
南方に住むオキナワノコギリクワガタは比較的直線的なアゴを持ち、いいメタリ化を見せる。
ライターの平坂さんに提供してもらった写真。この色味もたまらないですな。
ライターの平坂さんに提供してもらった写真。この色味もたまらないですな。
スマホスタンドにしたくなるメタリカだ。
スマホスタンドにしたくなるメタリカだ。
ミヤマクワガタもアゴに個性がある人気種だ。冷涼な環境を好み、比較的標高の高い山地に分布している。
ESPのエレキギターのような頭部の突起がかっこよすぎる!これはまさにメタリカ。
ESPのエレキギターのような頭部の突起がかっこよすぎる!これはまさにメタリカ。
こ、こいつ、メタリカが2つあるぞ!
変わり者といえば外国産クワガタの存在も忘れてはいけない。インドからタイにかけての熱帯雨林に生息するノコギリクワガタの1種、ギラファノコギリクワガタ。
世界最長のクワガタって、半分アゴ!
世界最長のクワガタって、半分アゴ!
桃屋のザーサイが瓶の底にこびりついてるのをつまむぐらいしか用途がないんじゃないかというほど変態的に長いアゴ。これだってメタリ化しちゃうぞ。
@ki_mu_chi)にこれだけのためにイラストを描いてもらいました。
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みんなメタリカ

当初、やはりメタリカたりうる(メタリ可)のは立派な大アゴを構えたオスのクワガタしかありえんと考えていた。アゴのちっさいメスなんか全然だめじゃん、メタリ不可だよそんなの。短いじゃん、メタリカソードがさ、エタリクの左右がさ。
ノコギリクワガタのメス。
ノコギリクワガタのメス。

 

しかし、先ほどの異様に長いクワガタとかをいろいろメタリ化していたらやはり見えるのだ、そこにメタリカが。
目を凝らすと、ほら!写真はコクワガタのメス。
目を凝らすと、ほら!写真はコクワガタのメス。
おりしもオキナワノコギリの画像を提供してくれた平坂さんから提言があった。
「クワガタじゃないけどグンタイアリもメタリカ度高いですよ」
アリときたか!さっそく平坂さんが編集長をつとめる濃厚すぎる自然のモンスター探求サイト「Monsters Pro Shop」より画像を借りた。
おー、メタリカなり。
おー、メタリカなり。
アゴ立て伏せ状態。それにしてもなんちゅうアリだ……。
アゴ立て伏せ状態。それにしてもなんちゅうアリだ……。
そんなんだったら他にもいろいろメタリカなんじゃないのか。
ルリホシカミキリだって。
ルリホシカミキリだって。
メタリ可!
メタリ可!
シオカラトンボも!
シオカラトンボも!
ナナフシは…さすがに無理!メタリ不可。っていうか顔こわい。
ナナフシは…さすがに無理!メタリ不可。っていうか顔こわい。
大概いけるんだけどもオスのクワガタと比べるとソードは短くなりがちでいまいち鋭さに欠ける。こんなのでもメタリカと言っていいのか。

その答えは「METALLICA」に続くアルバム「LOAD」「RELOAD」にある。
メタリカの新たな方向性を打ち出したアルバム。個人的には好きなんだけどいろいろ言われている。
メタリカの新たな方向性を打ち出したアルバム。個人的には好きなんだけどいろいろ言われている。
ブルースやカントリー、オルタナティブロックなど他ジャンルの影響を多く取り込み、彼らの音楽性の多様さをさらけ出した作品。一方、もはやヘヴィ・メタルにこだわらないスタイルには従来のファンによる手厳しい批判もあった問題作だ。
短い!パキンと折れちゃったのか?
短い!パキンと折れちゃったのか?
スラッシュ・メタル色からの決別を宣言するかのように、両端のメタリカソードは短くなり、普遍性をたたえたメタリカに変化している。

こんなフレキシブルなメタリカならいろんな昆虫のメタリ化が可能だ。
こんな扁平なアオカナブンもメタリカ。
こんな扁平なアオカナブンもメタリカ。
新作のたびに新たな領域への挑戦を繰り返し、時には旧来のファンの批判を受けながらも成功を収めて来たメタリカの懐の深さはクワガタだけでなく多くの昆虫を取り入れるに至ったのである。
器でかいよね、かっこいいよね。となんだかよくわからない収束をしたところで「メタリカはクワガタである」検証を切り上げようと思う。

メタリカはこの後、2003年「St.Anger」から2008年の「Death Magnetic」にかけてヘヴィ・メタルへ回帰の方向を見せ、ビジュアルもメタリカソードが鋭いあれが復帰。そうかと思えばあのルー・リードとセッションしてアルバムまで出してしまうなど、相変わらず型にはまらない活動でシーンをやきもきさせている。
私もこれからのメタリカは長くなるのか、短くなるのか、それともMS Pゴシックみたいになってしまうのか。やきもきしながら見守っていきたい。頑張れメタリカ、頑張れクワガタ。
最後に奄美大島でみたアマミノコギリクワガタがめちゃめちゃかっこよかった事を報告します。
最後に奄美大島でみたアマミノコギリクワガタがめちゃめちゃかっこよかった事を報告します。
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