今年は理由もなく暑い
林:
7月は暑かったですね。11日ぐらいから少しのあいだ涼しかっただけで。
増田:
その前にがーっと気温が上がってて、もうこれ梅雨明けだろうみたいな話があったけど、気温が下がるタイミングで梅雨前線が南に下がったんですよね。
林:
梅雨明けは7月の……
増田:
18日ですね、関東甲信は。
林:
梅雨明けして、そのまんまどんどん上がってます。雨は20日のあたりに降ってますね。
増田:
それは雷雨なので、
林:
さいきん毎日のように夕立がありますね
増田:
記録的な猛暑のときって夏の太平洋高気圧がガーンって強くて、すっごい晴れるので、高気圧が強いということは、基本的には雷雨とかって起こりにくいんですよね。
林:
なぜ太平洋高気圧が強いと雷雨ができないんですか?
増田:
高気圧って下降気流なので、雲ができても頭を押さえつける。かわいらしい入道雲で終わるわけですよね。
だから雨は降らない → 雷にも当然ならない → そしたら空気冷めない → 熱い空気がどんどんたまっていって熱が蓄積されていって → 気温がどんどん高くなる。
っていうのがこれまでの猛暑パターンだったんですけど、今年は高気圧がそこまで強いわけじゃないから、あちこちで雷雨も起こる。でもその割には気温がやたら高かった。
西村:
どっちかだったんですね。雷雨か記録的な暑さか。
増田:
あんまりこの言葉を使いたくないんですけど、気候が本当に変わってきている。そういう雰囲気がまた一段と濃くなってきている2024年の7月だったなと。
林:
高気圧がそんなに強いわけじゃないのに、暑い
増田:
暑さも激しい雷雨も同居しちゃってる。一言でまとめると、熱帯じゃん。
林:
他の天気予報で高気圧が二重にあるからという解説を見ました。太平洋高気圧の上にチベット高気圧があるという。
増田:
高気圧の2段重ね。ふとんの2枚重ねのように熱が蓄積されるって解説よくしてたんですけれども、もう、毎年のようにそんな状況起こってますし。
もう、ひと昔前とは同じ説明ができない。そんな顕著に2枚重ねになってなくても、簡単に気温上がっちゃう。
どう考えればいいかというと、気温のベースが上がっている。もっと広範囲、日本だけではなくて、北半球規模とか、地球規模とか、そういったベースが上がっていると考えざるを得ない。
実際そうですからね。今年7月21日が、これまでの観測史上、地球全体の平均気温が1番暑い日だった。
林:
太平洋高気圧が強いから暑いのかなって思った。そんなに強くないんだ。
ハワイは涼しい
林:
太平洋高気圧はハワイのあたりにあるって聞いたんでホノルルの気温を見たんですけど、涼しいですね。
増田:
33℃いってないですね
林:
いってないですね。涼しい
西村:
沖縄が涼しいのと同じですね。
注:沖縄は海から涼しい風が吹くので気温が上がりにくい
沖縄でも36℃をこえた
増田:
沖縄も35℃にはめったにいかないのが定説だったんですけど、
林:
だったんですけど!?
増田:
那覇でも35℃を超える日が増えて、今年7月19日に36.0℃というのが出まして、とうとう記録更新してます。
西村:
記録が。
増田:
それこそハワイと同じでまわりが海に囲まれているから涼しいはずなのに36℃という記録更新をしてしまった。
まわりの海がだんだんあったまってきているので、今までほど涼しくない。だから気温が上がりやすくなって、と考えたときに、 これって 日本全体の将来の姿なんじゃないかという可能性はある。
大陸とかは40℃台後半とか50℃出ますけど、日本でそこまでの気温が出ないのは、周りを海に囲まれて、基本的には海の方から涼しい風が吹いてくるから。
海水温がだんだん上がってくると 今年の沖縄と同じように、日本の夏の気温のベース上がる、という感じがする那覇の記録更新ですね。
牛久は取り扱い注意
林:
7月の日の最高気温ランキングで5位までに出てきた地名を数えてたんですけど、名瀬(奄美大島)が1位でした。
5回 牛久 (うしく)
5回 勝沼 (かつぬま)
5回 仲筋 (なかすじ)
4回 佐久間 (さくま)
4回 佐野 (さの)
4回 小浜 (おばま)
4回 静岡 (しずおか)
4回 天竜 (てんりゅう)
4回 那覇 (なは)
4回 波照間 (はてるま)
林:
あと気になっていたのが今年の千葉県の牛久。
増田:
ちなみにこの牛久は天気予報での扱いを慎重にしなきゃいけないところで、普通に千葉県の牛久でって出すと「牛久は茨城だ」という視聴者からの電話がたくさん来ますから。
我々も何回もそれを経験してきてるので、「千葉県市原市牛久」と必ず言うんですよ。
西村:
これって市原?
小林:
そうなんですよ、
林:
五井から出てるローカル線で行くところ。小湊鐵道。
※ ここです
増田:
最近はもう牛久というのを出さずに千葉県市原市っていう天気予報も出てきました
今年、静岡が暑いときは西風でフェーン現象が起きている
増田:
個人的には天竜・佐久間。僕、前回、昔はよく出てきたって話をしましたよね。
林:
そう、ニュース見ながら『増田さん出てますよ~』って思ってました。
増田:
今あんまり聞かないですもんねって言ったそばから
林:
今年の静岡が暑い理由はなんですか?
増田:
静岡で暑くなるときは基本西風が上空に吹いてて、西風を山が越える西風フェーンっていうのが起きている。
西村:
静岡って東西ってイメージありますけど、確かに地形見ると山が南北に走ってますね。
増田:
静岡で今年初めて40℃いった。7月の上旬でしたけれども、西から風が吹いてきて、結構な山ですよね。
林:
海が近いから涼しいと思ったら
増田:
海から風が入ってきたら一気にガクンって気温が下がるんです。山を越えてきた西風が海からの風を入れさせなければ高温がキープされる。
林:
天竜もですか
増田:
同じ市内の「浜松」の観測所で日本記録が出た2020年の41.1℃の時は、その西にある山のフェーン現象が効いたんじゃないかって言われてます。
林:
フェーン現象ってちょっとした山でも起こるんですね。
西村:
本当そうですね。100メートルあるかないかぐらいでも結構違うものですもんね。
増田:
100メートル空気が下がると1℃上がりますから。
空気が乾いてる時は
西村:
300メートルとかあれば、もうそれで3℃ぐらい。
増田:
この0.1℃の違いのなかでは、山があるかどうかって大きいですよね、
林:
天気予報で明日は40℃って言っても、たいてい39℃とか1℃ぐらい下がるじゃないですか。やっぱりちょっと高めに言うもんなんですか
増田:
コンピュータが計算したのをそのまま予報で出すんではなくて、過去どうだったかの統計に当てはめて、微妙に修正をするんですよね。気温がそんな上のパターンってあまりないから、そこの精度はいまいちなところはあるのかもしれないですね。
西村:
記録になるぐらいのやつって過去にあんまりないからってことか