ベローチェになんで炒飯があるのかよ
コーヒーチェーンのベローチェにはよく世話になる。
現在は宮城県から福岡県まで全国に157店舗があるそうだ(取材時しらべ)。
うち95店舗が私の暮らす東京都内に位置し、都民的には街を歩いているとそれなりに見かける喫茶チェーンである(知らなかったのだけど、カフェ・ド・クリエと珈琲館もベローチェと同じグループ会社なんだそうだ)。
価格帯が安いのが特徴で、以前より値上がりしたとはいえ、コーヒーはレギュラーサイズが280円。
そしてこれは私見だけれど、ドトールにコンパクトな店舗が一般的なのに比べるとベローチェはワンフロアが広い店舗が多い。
名物メニューはやはりコーヒーゼリーだろう。足のついた平たい皿にコーヒーゼリーがかためられ、上にどしっとソフトクリームがのる。
期間限定でコーヒーゼリーの部分をパンナコッタやプリンにしたタイプも販売されることがあり、そのたびにファンはざわつく。
以前こんな記事を書いたのだけど……
デザートだけじゃなく、以前からじわじわとフードメニューにも力を入れるようになったのは感じていた。かつてからあるサンドイッチに加え凝ったホットドッグやパスタメニューがあらわれ、へえ、結構ちゃんとご飯が食べられるんだなあなどと思ってはいたのだ。
けれどなんとなく注視することもなく、いつものように小腹がすいてコーヒーゼリーを食べに行ったり、空いた時間にコーヒーだけさくっと飲んで帰るような日々だった。
油断していた。
私の目をぬすみ、出してきたのだベローチェが炒飯を。
炒飯……?
コーヒーの店で、なぜ!!!!!!!
ちょっと展開早くないですか
炒飯の販売開始は2024年1月11日。
全国に先駆けて数店舗で行われた先行販売の好評を受け、ライスメニューとして満を持して登場したらしい。
オスカーだに゛ゃ(= ^)ω(^ = )
— カフェ・ベローチェ公式(C-United) (@PR_VELOCE) January 10, 2024
一部店舗限定販売だったライスメニューが
本日より全店にて発売開始に゛ゃ?
ボリュームがあって、
食欲をそそる味に゛ゃ!?
レシートご提示でお得なキャンペーンも開催中?
ぜひ食べにきてに゛ゃ〜!#ベローチェ pic.twitter.com/K3h0BaePBd
登場したライスメニューは2品。ひとつはビーフカレー。これは分かる。コーヒーにしっかり合いそう。で、もうひとつがタッカルビ炒飯だ。急な炒飯の登場。
コチュジャンの味はおいしい。タッカルビの炒飯なんていったら絶対にうまい。でもベローチェは喫茶店なのだ。
ライスメニューでカレーと炒飯って、世界にそんなにご飯の料理の数なかったっけと思ってしまう。
ドリアとかピラフとか、なんならパエリアとか、もっとコーヒーと並べたときに安心なメニューが世の中にはたくさんあるんじゃないか。
コーヒーと一緒に食べさせようとして炒飯持ってくるってそれなりに生々しさをもって仲良くなってからな気がする。
「えっ、これ炒飯だよね、ウーロン茶とかないの」
「べつに、コーヒー好きだし」
みたいな気心の知れたレベルの会話ができるようになってからにしてほしい。店というか、もはや家でする会話だ。一緒に住んでる。ちょっとまだ私たちには早くないですか。
ベローチェは、私のことそれくらい近しい関係だと思ってるの。ねえ? 私の顔見てる? 目え合わせてよ。
不安だよ、だって、まだそんなに仲良くなってないのに、急に炒飯にコーヒー合わせるなんて、ベローチェ、私に遠慮がないっていうか、マイペースじゃん。それって意地悪だよ。
自分のことだけ考えて、ぜんぜんわかんない、私のことなんかこれっぽっちも……(両手に顔を伏せる)。
というわけで、結局、あんたが好きなのだった。
無事に告白したので落ち着いて続けます。
食べたい方は11時以降に行ってください
ここでひとつ大切なことをお伝えすると、ベローチェのライスメニューとパスタメニューの扱いは11時からだ。
朝ごはんとして早い時間に食べようとすると食べられないのでご注意いただきたい。楽しみすぎて8時に行くところだった。
11時になるとフードメニューが開放されるほか、セット販売もスタートし、コーヒー、紅茶をセットにすることができる。
公式サイトの画像を見ると、セットの紹介写真として、タッカルビ炒飯にはホットコーヒーがセットされていた。
ウーロン茶的なものはもちろんセットドリンクのメニューには無い。ここはコーヒーの店だ。「えっ、これ炒飯だよね、ウーロン茶とかないの」とまたパートナーシップの構築がはじまってしまいそうになるところを押さえ、アイスコーヒーをセットで注文した。
私の行った駒沢店では、フードコートのように番号が鳴る装置を渡してもらって、鳴ったら取りに行く仕組み。
すぐに呼ばれると「できたててございます!」と店員さんが笑顔で渡してくれた。これか、コーヒーチェーンのできたての炒飯は。
見ると、なんだかピラフっぽい。
甘辛いおいしそうなかおりでちょっと私には判別できなかったのだけど、てっぺんにちらされているのはパセリではないか。
炒飯と銘打ちながら、見た目的にはピラフかのように仕上げてあり、アイスコーヒーとならべて写真を撮っても極めて違和感はゼロだ。
なるほど、これだったら「なんで炒飯にコーヒー?」と怒り出さずに済むかもしれな……と思って食べたら炒飯だった。
甘くて辛い、コチュジャン味が口内を360度埋める。うまい。具はネギと鶏肉。いわゆる中華だしの炒飯とは違う、ちゃんとしたタッカルビ味だ。
付け合わせが福神漬けというところがまた急で憎い。
そうか、同時展開されているのがビーフカレーだものなと、簡単すぎて脱出には至らない程度の謎を解いてしまい照れる。
それにしてもこの炒飯、それなりにちゃんと辛い。喫茶店で辛味をとるというとかつてはマスタードくらいのものではなかったか。急にコチュジャンが登場するとは思わなかった。
なんで私が東大に(なんで私は炒飯を)
昼時、となりの人はナポリタンをセットで頼んだようだ。どうしても、そちらが喫茶店として正しく本来的なように感じてしまう。
「なんで私が東大に」と思う機会は、残念ながら人生にはおとずれなかった。そういう方は多かろう。
けれど、「なんで私は炒飯を」と思う機会だったら、みなさん、ベローチェに行けばあります。
タッカルビ炒飯は美味しかった。ぜひまた食べたい。こんどはドリンクをアイスティーにしてみよう。
ところで、コーヒーチェーンは意地悪なほうが好きですが、人間は優しい人がいいです。お騒がせしました。