もう少し豆腐に似るだろうと思っていたが…地の色は黒だからイマイチか。窓越しに見た豆腐か。そもそも豆腐ではなかったかもしれない。
早く元に戻して、久々に3面揃えに挑戦しようと思う。
ルービックキューブ。1974年に建築学者のルービック氏により考案されたこの立体パズルに関しては、今さらの説明は不要であろう。
1980年には日本でも発売され大ブームとなった。自分の家でも弟が親にせがんで買ってもらったが、今思うにあれは海賊版だったかもしれぬ。そういうものがすぐ出回るくらい、ものすごい人気だった。
時は移ろい2011年、3月某日、乙幡家。麻婆豆腐を作ろうと、豆腐を賽の目切りにしていたとき、ふと思った。ルービックキューブに激似じゃないかと。
※2011年3月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
というわけでパッと近所の雑貨屋へ行き、ルービックキューブを購入。レジに並ぶとき、なんとなく手で隠すように持ってしまった。「あの人、今からルービックキューブ?失われた青春を取り戻そうとでも?」と思われかねないからだ。
今からこのルービックキューブを、豆腐にしたい。
「ルービックキューブを豆腐にしたい」とサラッと書いたが、何言ってんだ?と思われただろう。いや、特別なことをするわけではなく、「豆腐の写真を貼ったら、ルービックキューブが豆腐に見えるのか?」ということを検証したいだけなのだ。このご時世に、なんだか申し訳ない気持ちだ。
キューブに貼ってある6面6色のシールを剥がすときは、ちょっともったいない気がした。人生で初めて「正規品」のキューブを買ったからだ。そのキューブの要ともいえる6色のシールを、いきなり剥がす時が来るなんて・・・まるで出世したみたいだ。シール剥がして、出世気分が味わえた!
ところで全部のシールを剥がして真っ黒になったキューブには、何のゲーム性もない。ここで初めて、あのぺらぺらのシール6色×9=54枚が、このパズルにおいてどれだけ重要な役割を担っていたのかを改めて理解した。
6面×9=54枚の豆腐シールを貼って、「ルービックトウフ」、いや、意味から言えば「トーフィックキューブ」の完成である。
豆腐ともキューブともつかない、なんだか微妙なものができあがった。だってそれは「豆腐」だからだ。豆腐は元から表情に乏しいと、相場は決まっている。
試しに、ちょっと動かしてみよう…と思ったのだが。
最初にシャッフルする勇気が出ない。この漠然過ぎる白い大豆加工品をひとたびシャッフルしてしまったら、もう2度と元に戻せないのでは・・・と思うと、足が、いや手がすくんで動かない。自分のルービックキューブ最高記録は3面揃えだが、これは1面も揃える自信はない。
まあそれ以前に「元々がよくわかんないんだから、どう動かしても同じ。全部正解!」ともいえるのだが、やはり動かせない・・・!
もう少し豆腐に似るだろうと思っていたが…地の色は黒だからイマイチか。窓越しに見た豆腐か。そもそも豆腐ではなかったかもしれない。
早く元に戻して、久々に3面揃えに挑戦しようと思う。
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