食べてみると、それはまるでゴディバのチョコレートがクラッカーと出会ったような…。いや、確かにチョコレートのせいで、香り高いものとなっていた。どちらがいい、という話ではないが、何か得したようなそうでもないような気分だ。
本当のマツタケを味わう日がいつになるかわからないが、この香り高きマツタケの山でも食べて、その日に備えようと思う。
マツタケの季節ですね。食べたことないけど。
かろうじて永谷園の「お吸いもの」をすすり、その味を遥か夜空の彼方に夢想する私だ。
だが他にも、まだ見ぬマツタケを想うやり方がある。例えばこんな風に。
※2010年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
みんな知ってる「きのこの山」。私は長らく「たけのこの里」派の一員であったが、最近きのこの山の良さもわかってきた。ということはどうでもよく、このきのこの山を「マツタケの山」にしようという試みなのだ。「この山、ぜんぶワシのもんやさかい!」とばかりに、ぜひ君たち庶民にマツタケをご馳走してやろう。
きのこの山の良さは、2種類のチョコレートとクラッカー生地の織り成す軽やかなおいしさであろう。って改めて文章にするのもこっ恥ずかしくなってくるが、皆さんも同意に違いない。
だが、申し訳ないが今回はこのチョコレートを剥がし、代わりに高級チョコレートをかぶせ「マツタケ」と言い張ってみたい。
「代わりに高級チョコをかぶせる」と言っても相手はチョコである。一旦溶かして型に流して…という工程は避けられないのである。
型を作ることにする。まずはオス型からだ。
しかしマツタケ様のお姿を拝見することなどめったにないので、例によって画像検索でそのご尊顔を目に焼きつけ、ちびちびと制作していくしかない。
オーブンで粘土を焼いて固め、オス型の完成。次はそれを元にメス型を作る。
ここは、ささっと型取りに使える「おゆまる」でやってみよう。ここにじかにチョコ流していいもんかどうかはわからないが、まあ自分の食べる分ならかまわんだろう。
さて、肝心の高級チョコである。このごろは様々な、ラグジュアリーでハイセンスでモードでリュクスなメゾンのチョコレートがセレブに愛されてると聞くが、今回は誰しも知ってるこのブランドをコーディネイトしてみたい。近所にたまたまあったということでもある。
こちら、ミルクチョコレート・50%カカオ・72%カカオの3タイプのアソートで、¥1155円なり。動揺して円表記が重複してしまったじゃないか。
お店で「贈り物ですか?」と聞かれ、店員さんの親切さに乗ってあやうく全ての事情を打ち明けてしまいそうになる。
「きのこの山にかぶせるんです」という言葉をグッと飲み込み、「自宅用です」とラグジュアリーな風に微笑む。以後、高いチョコをサッと自宅用に買って帰る人を演じなければならなくなった。これは余談。
あまり値段のことをうるさく言うのも何だが、「きのこの山」はコンビニで¥208であった。この1パック¥208のお菓子の、その頭を、この1ピースあたり¥128のチョコへと替えるわけである。まあ値段のことを細かく言うのは、もういいだろう。
バレンタインチョコを手作りするときのように、私は容赦なくそれらを温め、溶かした。
実はこのとき作った型は少々でかすぎ、後からもう一度小さめの型を作るはめになった。
なんとかチョコをかぶせ終わり、軸に多少の模様をチョコペンで施し、小道具も用意して、秋の味覚ができあがった。
きのこの山が「高級御菓子・松茸乃山」に変貌したのだ。
食べてみると、それはまるでゴディバのチョコレートがクラッカーと出会ったような…。いや、確かにチョコレートのせいで、香り高いものとなっていた。どちらがいい、という話ではないが、何か得したようなそうでもないような気分だ。
本当のマツタケを味わう日がいつになるかわからないが、この香り高きマツタケの山でも食べて、その日に備えようと思う。
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