ドーナツを串で食うというギャップ
ミスタードーナツのポン・デ・リング、あれは不思議な食べ物である。
ドーナツの生地を一度球体にしてから、ドーナツ状に成形している。製造工程をわざわざひとつ増やして、ただただかわいい形にしているのだ。
実際は、ポン・デ・リングのタピオカ入りの生地がそのままでは均一に膨らまないから、というすごくちゃんとした理由があるようなのだが、そんなことはどうでもよくなるくらいかわいい形をしている。
あまりにかわいいので、ただ食べるだけでなくあれこれ手を加えたくなるのだ。
実はこれ、『ポン・デ・リングアレンジ界』では定番のようで、これに黒蜜をかけたりベーコンを巻いた食べ方が知られているが、何もせずこの串のまま食べてもすごくおいしいのだ。
だってこれはポン・デ・リングだから。
ドーナツの形で食べるより野性味が強い。糖分が体を走るスピードが早い気がする。バクバク食べたら木の筒に串をカーンと入れて、頭にタオルを巻いて現場に戻る。そんな気持ちになった。
そうじゃなきゃ夏祭りの屋台である。『もちもち串』とかいう名前で売ってるんじゃないかこれは。これを食べながら夜の神社をぶらぶら歩きたい。
食器や皿を変えただけで食べ物の味わいってガラッと変わったりするものだが、ドーナツを串で食べた時の落差がすごくておもしろかった。