特集 2025年7月29日

近所のスーパーでうさぎや猪の肉が普通に売られていたので食べてみた

たまに行くスーパーの精肉売り場に、レアなジビエがしれっと売られていることに最近気づきました。そこで、自宅で調理したことがなかったうさぎ肉と猪肉を買って、食べてみます。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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こんなところに豊富なジビエが!?

我が家の最寄りの隣駅にあって、前からたまに行くことはあったスーパー、西武池袋線練馬高野台駅前の、ピーコック。

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「ピーコックストア 高野台店」

たまにそこへ行く主な理由は、2階にでっかいダイソーがあるからなんですが、先日、なんとなくじっくりとスーパー部分の売り場を徘徊してみたんですね。そうしたら、やっぱりスーパーっていうのは日常のなかのエンターテイメント空間ですね。精肉コーナーが、ものすごく魅力的だったんです。

まぁご覧ください。

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一見ごく普通の精肉コーナーに
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天然ジビエ!?

当然、牛、豚、鶏を中心とした一般的な肉類は揃っているんですが、注目すべきは「ジビエ」コーナー。なんと、馬や鹿はもちろん、猪やうさぎの肉まで取り扱っていたんです!

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左から、馬、猪、鹿、鶏もつ
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味つきでない生肉もあり
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なんとうさぎまで!

地域にもよるのかしれませんが、全国的に見てなかなかなくないですか? 家の近所のスーパーでこんなレアな肉類が気軽に買えること。僕もジビエは大好きで、専門店や、狩猟が盛んな土地へ旅行に行ったときなどに食べたことはあります。また、専門のサイトなどから取り寄せてみたこともある。けれどもまさか、わりと家の近所でこんなに気軽に手に入るとは〜! しかもこのピーコックにはいつもある商品だからなのか、うさぎ肉が割引になってたりするんです。人生で初めて見たよ、割引のうさぎ肉……。

さっそく問い合わせをしてみたところ、ピーコックであればどこの店舗でもジビエの扱いがあるわけではなく、練馬高野台店の精肉コーナーを担当する「肉匠かみむら」が仕入や販売をしている商品たちとのこと。

ちなみにこちらの肉匠かみむら、その他にもかなり興味深い肉商品を数々扱っておりまして。

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かたっぱしから食べてみたい

特に衝撃だったのがこちら。

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巨大豚レバー

ひとつひとつにつけられている値段が安すぎるんで、100グラムあたり? と思ったんですがそうではなく、ひとかたまりの値段。

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このずしっと思い国産豚レバーが

なんと税込587円。100グラムあたりだと42円。めちゃくちゃ買って帰りたかったけど、衝動買いすると持てあましそうなので、こんど客人を呼んでレバーパーティーを開催するときにあらためて買いにきましょうね。

とにもかくにも良いこと知れました。そこで今回は、まだ家で調理したり食べたりしたことのない、うさぎと猪の肉を買って食べてみることに。

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人生初のうさぎ料理

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「信州うさぎ肉」

うさぎ肉、中国のなかでも延辺料理というジャンルに属するお店で、一度だけ丸焼きを食べたことがあったかな。かなり昔なのと、強めのスパイスがまぶされていたこともあり、味の印象は「とっても美味しかった」くらいしか残っていません。

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「国産 うさぎ切り身」という表記の違和感が楽しい

値段は140gで1,408円と、さすがに高級。それでも、スーパーでこんなに珍しい肉が手に入るというだけでありがたいです。味は鶏肉に似た感じなんだろうな〜、くらいのぼんやりとした予備知識で、ひとまず開封してみます。

レアな肉というイメージから、もっと薄っぺらく切られたものを想像していたら、けっこうボリュームのある見た目で驚きました。一般的な鶏胸肉の半分くらいの大きさのものが4枚。

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食べごたえがありそう

そのなかの1枚を、まずはシンプルにフライパンで焼き、塩のみで食べてみましょう。

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じゅーっと焼いて
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塩をふって

ではいただきます。もぐもぐ……お、なるほど、まず歯ごたえが、かなりしゃきしゃきのぷりぷりですね。さっきから鶏肉にばかり例えて恐縮ですが、歯ごたえの強い親鳥と、やわらかいひな鳥の間くらいというか。

味や香りに関しては、くさみはまったくなく、しかしほのかに野生みのようなものを感じます。野山をかけ回っていたからこその力強さのような。

そもそも、我々が食べ慣れているだけで、鶏肉にも豚肉にも牛肉にもそれぞれ、特徴的な味や香りがありますからね。つまりこれが、“うさぎ味”なのかもしれません。とにかく、食べやすくて美味しい肉です。

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「うさ重」にしてみよう

さて、残りをどう食べようかと考えたところ、ひとつ思い浮かんでしまったんですよね。わりとくだらない、ダジャレを。うなぎならぬ、うさぎの蒲焼ってどうだろうか? と。で、それを、うな重ならぬ、うさ重にしてやるのはどうだろうか? と。

思いついた直後に恥ずかしくなったものの、意外と肉の味の方向性と合うかもしれない。やってみちゃおうかな……。

というわけで、

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まずは残りのうさぎ肉を焼き

ここで登場、

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蒲焼のたれ

ちなみに「蒲焼」という言葉の語源にはいくつかの説があるものの、ただ食材を焼いて蒲焼のたれをまぶせば蒲焼と呼べるのかというと、正式にはそうではありません。今回はあくまで、雰囲気ということでご了承ください。

ではたれを思いっきり、

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ジャーッ!
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お重にごはんをよそってたれをかけ

その上にうさぎの蒲焼をのせれば、

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完成! 
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「うさ重」
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せっかくなのでビールも用意して
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いただきまーす!!!

いや〜いやいや、これがですね、もう。はっきり言って最高でした。

濃い味のたれをまとったことにより、塩だけの時よりもさらに食べやすくなったうさぎ肉。心地よい弾力はそのままに、なぜかほんのりミルキーさを感じるような、ものすごく上品な味わいです。

そしてさすがはジビエ。たれの強い味にまったく負けない力強さを感じ、思い込みも含めてなのかもしれないですが、ひと口ひと口食べるごとに元気が出てくる気がするんですよね。

これはいい。心の底から、また食べたい。そして、なんと幸運なことか、今後もうさ重が食べたくなったら、ピーコックへ行けばまた買える可能性が高い。

本当にいい経験になりました。

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山椒も合いすぎる〜

⏩ 「猪丼」も食べてみよう

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