モデルデータを公開しています
以上のように折りたたみテーブルを色々作ってきましたが、モデルデータを公開しているので欲しい方は自分で作ってください。
折り畳めるやつを自作するのはあまりおすすめしません。本当に作るのめんどくさいですから。一番上のが一番簡単で頑丈です。
ところで、なぜテーブルに『Geographica』って書いてあるかというと、僕はジオグラフィカというアプリの開発者だからです。登山用のGPSアプリですが街でも世界でもエベレストでも南極でも使えます。使ってみてね。
師走、年末年始、新春、今日。
てっきり終わらない日常を生きるんだと思っていたら新型ウイルスによって映画っぽい世界になってしまった2020年の終わりから2021年の始めにかけて、僕は何をしていたかと言うとキャンプ用のテーブルを作っていました。
テーブル作り以外のことをほとんどしていなかった(あとハンコ作り)ので、今回はその辺を書かせていただこうかと思います。
記録を検索すると、2019年の2月に初めてキャンプ用のテーブルを作ったようです。
適当な板にを折りたたみテーブルにするための脚を設計しました。4mm厚のベニヤ板(20cm x 30cm)に付けてみた。なかなか良い。6kgの鉄アレイを載せても大丈夫でした。キャンプ飯用途なら問題ないでしょう。 pic.twitter.com/yuMimtjLKL
— マツモトケイジ@ジオグラフィカ開発者 (@keizi666) February 8, 2019
どこのご家庭にもある3Dプリンターで足を作って、適当な大きさと厚さのベニヤ板にネジで固定するというテーブルです。
パーツの設計は微妙に違いますが、基本は今もほとんど変わってません。
下の写真で約A4サイズ。幅30cm、奥行き22.5cmくらい。
大量の試作品を作って、3Dプリンターでの生産性(樹脂を積層する時に作りやすい形とそうでない形がある)や強度を検証した結果この様なデザインになりました。
初めて作ってから2年間、登山でテント泊をする時に毎回使ってきました。地面が湿っぽくても雪が積もっていても文化的にキャンプ飯を食べられます。
テントの中で使うときもテーブルがあるとちょうどいい高さになります。床に置くより調理などがしやすい。
というように便利に使ってきました。
2年間使っていると改良したくなってきます。例えば小さくするとか。A4サイズのテーブルは広くて快適なんですが、荷物をコンパクトにしたいテント泊では大きすぎると感じることもあります。そこでB5サイズを作ってみました。
さらに小さいのはどうかな?とA5サイズも作ってみました。
流石にA5サイズはやりすぎかなってくらい小さく感じます。その代わり超軽量。登山は荷物が重いと道中ずっとツライので軽いほどいい。
しかしやはり狭い。軽食を乗せたらもう終わりな感じです。割り切って十分とも言えるけど、やっぱ狭いかなぁ。
使う時の広さと携行時のコンパクトさを両立する方法として、テーブルを折りたたんではどうか?と2年前にも考えました。で、試しにCADで設計してみましたが、うまくいく気がしません。
こんなに厚くなるくらいなら折りたたまないほうがマシって気がしませんか。実物のテーブルの足を重ねてみると厚すぎて目眩がします。
そんなある日『足がぶつかって厚くなるのなら薄いパーツを作ればいいじゃない』って心の中のマリーが言うので薄いパーツを作りました。
こうです。
しかしこれでも重なると厚い。
テーブルを重ねたりいろいろやってたら解決方法が降りてきました。
心の中のマリーが言いました。
『ぴったり重ねて厚いのならずらせばいいじゃない』
なるほど、こうですか。
中央の位置をずらしてカットした板を用意して実装。
折りたたむとこんな感じになります。
広げるとA4で、畳むとA5まではいかないけど大分小さくなり厚みも抑えられました。
賢い人なら2年も経たずに解決するのでしょうが、賢くなくても時間を掛けて考えていればそのうち解決策を思いつきます。僕と同様、賢くない人は長い時間考えましょう。
我ながらよいものを作った、2年前の問題が解決した、などと数時間はニヤニヤしながらテーブルを広げたり畳んだりしてましたが、次第に気になってきます。
ずれてる部分が美しくない。
A4を半分に畳んでもピッタリA5にならないとか、ずれてる分だけ裏が見えているとか、造形物としての美しさに欠けます。気になって仕方ない。
という事で、解決策を考え始めました。
ずれ畳みテーブルを作った日の夜、妻と映画館に『ビルとテッドの時空旅行』を見に行きました。が、どうやら続きものだったらしく僕にはやや意味がわからないシーンが多く(妻は全作見ているので楽しそうに見ていた)、映画を見ながら折りたたみテーブルの事を考えていました。
映画が始まってから90分くらい、ビルとテッドが最後のライブをする辺りで板を半分にしてたたんでも足が干渉しない設計を思いつきました。
レイトショーを見終わって帰ってから設計して夜中にプリント。
こうなりました。
足を伸ばすとこうなります。
ずれ畳みバージョンと比べると、ぴったり半分にたためる方が美しく感じます。
これは本当によいものが出来たと思って、またしばらくニヤニヤしながらたたんだり広げたりしていました。
ちなみに、失敗をはしょって書いてるのでスムーズに出来たっぽく見えますが、実際は幾多のトライ&エラーでゴミの山を量産しています。
0.1mmの違いで出来たてのパーツがゴミになり、設計を変更して再度3Dプリンターにデータをセットして1時間待ちます。出来たらまたチェックしてゴミが増えて、10回くらい繰り返すと非の打ち所がないものが出来たり出来なかったりします。
賢い人なら一発で完成したりするのかも知れませんが、賢くなくても何度もトライすればどうにかなります。泥臭くやればいずれどうにかなります(たまにどうにもならない事もあるが)。
樹脂積層型の3Dプリンターは、積層方向でも強度が大きく変わるので設計もプリントもよく考えないと強度が足らなくなります。
よいものが出来たなぁと思っていましたが、重いものを乗せてみるとたわみます。
1枚板のA4サイズなら6kgくらい問題ないんですが、分割した板を樹脂製のヒンジで留めただけの構造だとたわみが出ます。
どう解決しよう?と思ったら、また心の中のマリーが言いました。
『マリーつまんない!』
じゃなかった。
『真ん中がたわむのなら足を増やせばいいじゃない』
幸い、平行に配置した足は増やすのも容易なため簡単に増やせました。こうです。
6kgの鉄アレイを乗せてもびくともしません。 なんなら10kgでも余裕です。
僕はギャル曽根さんではないため実際に使うとき6kgの食事が乗ることはほぼありません。これくらいの耐荷重で問題ないでしょう。
『ティファニーで朝食を』みたいに言っちゃったね。
試しに地べたに食事を並べてみると、その侘しさにおののきまして、僕はキメ顔でこう言った。
「野蛮」
テーブルに乗せると文明が開化します。
サーモスのスープジャーに入れてきたのでちくわも熱々です。
今年もよろしくお願いいたします。
テーブルはA4サイズでも十分広く感じます。一人分なら余裕ですね。
広げるとB4になるサイズも作りました。B5の板を2枚使います。 広げると幅35cm、奥行きは26cmあります。
余談ですが、永谷園の『はま吸い』がとても美味しいのでここでご報告いたします。
先日たまたま買って飲み、こんな美味しいお吸い物があったのか!という衝撃を受けて以来よく飲んでいます。ホントに余談ですね。
余談ついでにもう一つ。テーブルと言っても高さは10cm程度なので、ヘリノックスのグラウンドチェアみたいな低い椅子と相性がいいです。
ヘリノックスは韓国のテントポールメーカー『DAC社』のブランドで、軽量で丈夫なポールと布を組み合わせた椅子『チェアワン』が有名です。
グラウンドチェアは高さが低いバージョンの折りたたみ椅子。
なぜか最近プレミアが付いているようで、ネットショップでは3倍くらいの値段がついています。定価は1万円程度なので在庫が復活するのを待って正規の値段で買いましょう。
かように良いものが出来たんですが、この折りたたみテーブルには欠点もあります。なにしろ作るのがメチャクチャめんどくさい。
パーツの数が多いし板の穴あけなど加工も手間が多いのです。
6本足のバージョンを作る場合、樹脂パーツが16個とネジ18本、ナット18個を使い、2枚の板には10箇所の穴を正確に間違えず開ける必要があります。穴の位置を間違えたり1mm程度ずれると組み立ての精度が出ずに板がゴミになります。樹脂パーツのプリント時間も6時間以上。手作業で量産する気にはなりません。
これと比べると折りたたみ機能なしのテーブルはパーツ数も少ないし3Dプリントの失敗も少なく組み立ても簡単です。これはこれで一つの完成形だったのでした。
青い鳥は近くにいた、みたいな話でしょうか。違います?
以上のように折りたたみテーブルを色々作ってきましたが、モデルデータを公開しているので欲しい方は自分で作ってください。
折り畳めるやつを自作するのはあまりおすすめしません。本当に作るのめんどくさいですから。一番上のが一番簡単で頑丈です。
ところで、なぜテーブルに『Geographica』って書いてあるかというと、僕はジオグラフィカというアプリの開発者だからです。登山用のGPSアプリですが街でも世界でもエベレストでも南極でも使えます。使ってみてね。
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