フォッサマグナが光ってた
帰りの小海線から甲府盆地が見えた。
富士山が奥にあり、手前が甲府のあたりだろう。
ナウマンが気づいたフォッサマグナ(野辺山高原から山梨方面)は土地が平らなので人が住んでいる。つまり夜に光るのだ。
いまフォッサマグナに気づくなら夜だよ。たぶん。
今年のはじめに地図の本を作った。資料として読んだ本に外国人の研究者が長野からの景色を見てフォッサマグナに気づいたと書いてあった。
フォッサマグナって見えるものなのか。
そんな場所があるなら行ってみたい。
その本は地質学者 ナウマン伝。フォッサマグナを発見したナウマンさんの日本でのようすを描いている。
ナウマンさんはナウマンゾウを発見した人でもある。
化石を見つけたのび太にドラえもんが「ナウマンゾウのうんこかもしれない」と言う、あのナウマンゾウだだ(「のび太の恐竜」から)。
というかそのイメージしかない。
この本ではナウマンは自分の妻と不倫をした部下に決闘を申し込んだというエピソードがいちばん派手だったが、地学での最大の功績はフォッサマグナを発見したことである。
フォッサマグナは本州の真ん中にある割れ目。(東側の境界については諸説あるらしいです)
本州が大陸から離れるときに東西に割れた痕跡である。
新潟県糸魚川市に行けば断層を見ることができるが、ナウマンは長野県の峠から見た景色でフォッサマグナに気がついた。
「あ、ここになんかある!」と思ったらしい
その時、私は、自分が著しく奇妙な地形を眼前にしていることを十分に認識していた。(矢島 道子. 地質学者ナウマン伝 フォッサマグナに挑んだお雇い外国人 (朝日選書・朝日新聞出版) (Kindle の位置No.571-573)
風は止み、青空がのぞいていました。そして峠から南西を見下ろしたとき、ナウマンは言葉を失いました。
「こんな光景がこの世にあるのだろうか。こんな大きな構造は見たこともない」
ナウマンは言い知れぬ感動をおぼえたといいます。
(藤岡換太郎.フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体(ブルーバックス・講談社)(Kindleの位置No.137-141)
それが1875年11月13日のこと。2021年11月13日、ナウマンが発見した景色を同じ日に見に行くことにした。
ちょうど146年前だ。記念日だが半端だ。
目的地は長野県南牧村の平沢峠。小海線の野辺山駅からバスで20分ほど。
フォッサマグナ発想の地のプレートもある。発祥の地ではなく、発想の碑が珍しい。
僕もフォッサマグナを見てハッとしたい。
…………。
…………? どこフォッサ?
フォッサマグナはこう通っている、はず。
ナウマン、よく気づいたな…。
本にもいまは木が茂ってナウマンが見たようには見えないと書いてあった。(藤岡換太郎 「フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体」講談社)
駐車場にするために土地を削ったのかもしれないし、ナウマンが見た場所はもう少し高いところだったのかもしれない。ナウマンが身長100mあった可能性も捨てきれない。
帰宅後、地図ソフト(カシミール3D)で景色をシミュレーションした。(ナウマンの碑より少し高い場所で、しかも高さを2倍に誇張してあります)
これだと、この平らなところがフォッサマグナだなと分かる。
地図ソフトでフォッサマグナを確認できた。
現地まで来る必要、なかった!
でも大丈夫。この峠にはこんな素敵な看板があったのだ。
雨水が分かれる境界が分水嶺である。ここは日本海と太平洋の分水嶺だ。
この看板の左右で雨水がたどり着く海が違う。
さっそく水を流してみましょう。
…………。
太平洋に流れていったほうが多いってことになるのだろうか。そもそも駐車場なのでやや傾斜がついているのが気になる。
しかし分水嶺はフォッサマグナよりも人気で、駐車場には「お!分水嶺!」と言ってる人が数人いた。
この峠からまたバスで10分ほどのところにもうひとつ地形ファンの聖地がある。
JR鉄道最高地点 1375m
この石碑がすごくでかいのだ。
5mぐらいある。横についている鐘の音もでかい
鉄道は摩擦が少ないので坂が苦手である。その鉄道が1375mまで来たのだから石碑をでかくしたくなる気持ちは分かる。
近くには最高地点神社。
近くのレストランの店名は最高地点。のれんも最高。
ソフトクリームと最高地点ブレンドコーヒー(美味)
野辺山駅も最高駅である。標高が。
最高な野辺山駅の近くにはシュッポッポ牛乳の工場と直営ショップがあった。
あ、サミットで売ってる牛乳だ!、興奮する妻。
サミットで買い物している人だけが興奮する看板。シュッポッポの聖地が野辺山にあるのです。
売店にはシュッポッポ製品がたくさん並び、シュッポッポグッズもあった。たまらん。
#シュッポッポ ってハッシュタグつけてインスタにあげそうな写真を撮っていた(妻が)
帰りの小海線から甲府盆地が見えた。
富士山が奥にあり、手前が甲府のあたりだろう。
ナウマンが気づいたフォッサマグナ(野辺山高原から山梨方面)は土地が平らなので人が住んでいる。つまり夜に光るのだ。
いまフォッサマグナに気づくなら夜だよ。たぶん。
参考文献:
地質学者ナウマン伝 フォッサマグナに挑んだお雇い外国人 (朝日選書)
フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体 (ブルーバックス)
フォッサマグナがなぞれる本:
日本地図をなぞって楽しむ 地図なぞり
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