のむ豆乳ヨーグルト、おいしかった
あまり味の話をしなかったが、一番好きな味だったのはのむ豆乳ヨーグルトだった。
豆乳とヨーグルトの組み合わせが新しくておいしかった。
紙パックを飲み終えて開くと、上のところに「たたんでくれてありがとう」と書いてあることがある。あれがなんだか唐突でおもしろいと思った。
だからたくさん買って「ありがとう」と向き合った。
紙パックをたたむのはゴミがかさばるのが嫌なだけなので、お礼を言われるような気持ちの準備もしていない。しかしそのお礼はあらかじめ印刷されていて、そのことをたたんだ瞬間に突然知るのだ。
いつもの道を歩いていたら曲がり角に紳士が立っていて、まっすぐこちらを見て「たたんでくれてありがとう」と言われた、そういう気持ちだ。嬉しいが、唐突である。唐突で嬉しい。
この唐突な「たたんでくれてありがとう」をたくさん見たい。驚かされてばかりだったが、こちらから「ありがとう」にぶつかりにいってもいいんじゃないか。抱きしめにいってもいいんじゃないか。
結局、ありがとうの気配を探りながら36の紙パック飲料を飲み、15パックから「たたんでくれてありがとう」をいただくことができた。
この中の約4割の曲がり角に紳士がいて唐突に「ありがとう」と言っているのだ。これが多いのか少ないのかはよく分からない。そもそもありがとうと言う紙パックが偉くて言わない紙パックが偉くない、という話でもないのだ。ありがとうと言われなくたって紙パックはたたんで捨てるのがいい。
だから全体については特に何も言えないが、紙パック一つ一つへの感想はある。「ありがとう」の4つの分類別に紹介します。
一番ストレートなタイプである。プロポーズのセリフだったら「結婚してください」だし、写真撮る時は「はい、チーズ」と言う。そういうストレートさである。紙パックの「たたんでくれてありがとう」の所に「たたんでくれてありがとう」と書いてあるのだ。
いつもはびっくりしていたが、気持ちの準備ができた上で「ありがとう」をいただくとすごくほんわかした気持ちになる。全部ひらがなのところもすごくいい。「どういたしまして」と思う。
そう言えば日頃「どういたしまして」と口にすることがなかなかない。感謝の気持ちを表すことは大事だけど、その気持ちを受け取れたことへの感謝も同様に大事であるはずだ。「どういたしまして」って、機会があったら言おう、と思った。
紙パックをたたむ行為に先回りして印刷された「たたんでくれてありがとう」であるが、その更に先を行ったものが「リサイクルありがとう」である。
たたんだだけでその先どうするかはまだ分からないぞ、などと意地悪なことを考えてしまうが、ありがとうと思ってくれたのであれば、それはどういたしましてである。
しかし気が早い。先回りしすぎてもう未来からのメッセージになっている。開いて洗って乾かして、リサイクルに出さないと「どういたしまして」と言えないのだ。
「たたんでくれてありがとう」にひと工夫されているパターンである。
この豆乳飲料はうまい棒みたいに味のバリエーションがすごく多い。しかもちょっと無茶じゃないか、という味もちゃんとおいしくてすごい。
このスゴイダイズは、本当にスゴくて一口飲んで「スゴイ…!」と言ってしまった。名前の通りスゴイダイズだった。
以上が今回見つかったフレンドリーな「ありがとう」である。「たたんでくれてありがとう」を探す一番の醍醐味があると思う。やはりちょっとした変化があるだけでもそこからサービス精神が感じられて嬉しいのだ。
「ありがとう」の最後の分類。「ありがとう」が無いものである。
僕は今回、表記が無いものからも「ありがとう」というメッセージを感じた。だってお礼が有ろうが無かろうが捨てる時にはたたむのだ。その行為が起きた時点で「ありがとう」「どういたしまして」というやりとりも僕と誰かの間で暗黙のうちに発生しているはずで、表記の有る無しは大した問題ではない。
…何が言いたいのか分からなくなってしまったが、いい紙パックがあったので紹介したいです。紹介します。
まず「がぶ飲みDiet」という勢いのあるワードがいい。
味は、パッケージほどクセはなく、飲みやすくておいしかった。
最後に、これは全ての紙パックに言えるのだが、開くと印刷の時使ったインクが並んでいる面があって、これを見るのも楽しかった。
たくさんの紙パックからたくさんのありがとうをいただいた。やったことと言えばパックをたたんだだけなので、いただき過ぎな気もする。ただ「どういたしまして」と言うだけでは足りないんじゃないか。
そこで特に印象的だった『スゴイダイズ』のメーカーのサイトから、商品の感想を送れるフォームを見つけて「おいしかったです。たたんでくれてありがとうと書いてあって嬉しかったです。」という感じのメッセージを送った。
メーカーのサイトから商品の感想を送るなんて初めてやった。「ありがとう」への向き合い方として正しかったか、自信はないが、なんだか今は清々しい気持ちなのでとりあえずよしとしようと思う。
のむ豆乳ヨーグルト、おいしかった
あまり味の話をしなかったが、一番好きな味だったのはのむ豆乳ヨーグルトだった。
豆乳とヨーグルトの組み合わせが新しくておいしかった。
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