片膝の立て方すらわからない
「位置について、よーい、どん!」のポーズを久しぶりにやると、どちらの足を引くのが正解かわからなくなる。
記事では勢いよく石を割っていたが、はじめはどちらの膝を立てればいいかすらわからなかった。
「手取り足取り教えてもらう」とはこのことである。
石を持ち帰り、早速セッティングに入る。
2個のブロックを土台にしてその上に鉄板を置き、拾ってきた石をセット。わたしたちは鉄板を用意したが、硬いものの上ならなんでもOK。
まずは手本を見せてもらおう。
割る手とは反対側の手で石をつかみ、片膝を立てて狙いを定める。
板割りでは正拳や手刀で板を割るが、石割りの場合“掌底打ち“という手のひらの手首に近い部分で叩いて割る。
イメージだけで手刀で割ろうとしたら全力で止められた。そのままいってたらただただ手を痛めつけただけで終わるところだった。専門家に教えてもらうって大事!
厚さ5cmほどの石がきれいに割れた。
初めて生で見る石割りは思った以上にスマートだった。まるでキットカットを割るかのように一瞬にして割れたのだ。
瓦割りのようにバキッ!!!ドンガラガッシャーン!!!みたいな画を想像していたが、至ってシンプルで、それが逆にクールだった。
次はいよいよイメージだけできあがっている素人の挑戦…の前に、ポイント② テコの原理を利用して割るを忘れてはならない。いくら鍛え抜かれた空手家でも、このポイントを応用しなければ石はなかなか割れないそうだ。
素早すぎて確認できないが、石を割る直前にほんの少し石を浮かせ、鉄板に押し付けるイメージで石を叩き割っている。
そしてなによりハート、ポイント③ 「絶対割れる」という強い気持ちを持つ。なんだかんだこれが一番大事かもしれない。
空手の技術がない以上、気持ちだけは人一倍持って挑む。
さぁ、己を信じ石を割ってみよう!
あきらかにビビっていたのが手に伝わって、一発目は不発に終わった。そりゃあ怖いよ、怖さのあまり笑っちゃってるもん。
叩き方が悪く、手を痛めるのではないかという恐怖。
そしてなにより、せっかく通ったこの企画が怪我によりお蔵入りになるのがライターにとって一番の恐怖!
しかし、こんなマインドでは割れる石も永遠に割れない。
気合を入れなおし、改めて挑戦。
旦那が割った石ほどの厚みはないものの、厚さ約3cmの石を見事割ることができた。
喜びより安堵の方がでかい。正直割れなかったらどんなオチをつけようかとビクビクしていた。
そして割れた時の爽快感はくせになりそうだ。
ちなみに手へのダメージは石が割れた時はさほど感じなかったが、割れなかった時は手を打ちつけることになるので普通に痛い。
あきらめない心も大事だが、失敗し続けると痛みが蓄積されていくので10回ほどが限度だ。
2回目の挑戦で割れてこのあと3回目4回目と続けたが、この日は結局一度しか割れなかった。
旦那はさまざまなかたちの石を最終的に4つほど割っていたので、コツはあるにせよやはり日々の稽古で習得した技術と強さが必要だと感じた。
板の次は石を割って、また新たな経験を得た。
先ほど書きながら偶然次の企画案を思いついたが、石の次はぜひ瓦割りにも挑戦してみたい。手ばかり酷使しているの、脚を使ってバット割りなんかもよさそうだ。
板割りも石割りももちろん痛いが、今のところ痛みより割れた時の達成感の方が上回っている。次々と割ってみたいものが増えるところをみると、もともと割ることが好きだったのかもしれない。
予想だにしない過程から新たな自分を発見した。
空手も習おうか検討しよう。
「位置について、よーい、どん!」のポーズを久しぶりにやると、どちらの足を引くのが正解かわからなくなる。
記事では勢いよく石を割っていたが、はじめはどちらの膝を立てればいいかすらわからなかった。
「手取り足取り教えてもらう」とはこのことである。
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