特集 2023年5月19日

ダイエット前に食べておきたい巨大サンド「フランセジーニャ」

ダイエットに取りかかる前になに食う?と自問した結果、フランセジーニャを自作して食べました。

7年前に15kgダイエットを完遂(90kg→75kg)してキープし続けてきたんだけど、今年になってダラけすぎた結果、80kg台にまで戻ってしまったのだ。痩せねば。

で、再ダイエットを始める前に「しばらく我慢したほうがいい食べ物」を食べて、気合いを入れようと決めた。いわば“最期のデブめし”である。

なにが食べたいかあれこれ考えて辿り着いたのが、ポルトガルのド級サンドイッチ「フランセジーニャ」だ。

1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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そもそもフランセジーニャとはなにか?

以前に何かの本で、ポルトガルのB級フードとして「フランセジーニャ」が紹介されていたのを読んだのだ。

曰く、ステーキ、ロースト肉、ハム、生ソーセージ、目玉焼きなどをパンに挟み、メルトチーズを載せ、トマトとビールを煮込んだソースをびしゃびしゃにかけて、フライドポテトをどっさり添えたものだそう。

ちなみになぜ「フランセジーニャ」(Francesinha=フランスのお嬢さん)という名前かというと、元々はフランス人大好き「クロックムッシュ」(チーズとハムを入れて焼いたサンドイッチ)をポルトガル人向けに魔改造したものだから、という説が有力らしい。

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検索すると、“なにかよく分からないけど異様にボリュームのある塊”の画像が大量に出てくる。

どんなものかと画像検索してみても、「……デブだなぁ」以外の感想がまず出てこないはず。

これが果たしてサンドイッチなのか?という厚みは、二郎系ラーメンのインパクトに近似だ。

ちなみにポルトガルではフランセジーニャを出すレストランがいくつもあり、さらにスーパーでは瓶詰めのフランセジーニャ用ソースを売ってたりもするらしい。そんなメジャーな食い物か、これ。

ともあれこのボリュームとカロリーっぷりは、ダイエット前の気合い入れに相応しい。これ作って食ったら、あとはもう潔くダイエットするのみである。

フランセジーニャはビールのソースが定番(らしい)

ポルトガルのレシピサイトを翻訳しながら見て回った結果、とりあえず、パンに挟む中身にあまり一貫性がないことは分かった。

だいたい共通なのは、男子学生が好きそうな肉系のなんやかやをバカスカ放り込む、ぐらいのもの。たまに海鮮系の具やキノコ類などのバリエーションもあったけど、野菜の類はほぼ存在しなかった。その辺りも男子学生感が強い。

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とりあえず美味そうな肉をいっぱい入れりゃいいんだろ、と解釈した。

となれば、まぁ欲望のままにやっちゃえばいいだろう、という話である。

せっかくなので、ソーセージとハムはお気に入りのハム専門店までわざわざ電車で出かけて買ってくる、という気合いの入りっぷり。肉ばかりあれこれ買うとテンション上がるなー。

 

で、材料が揃ったところでまずはソース作りから。

具材はとにかくボリューミーであればだいたいなんでもOK!というフランセジーニャだが、唯一、ソースにビールを使うというのが外せないポイントになっているらしい。

基本的にはトマトベースのソースになるらしいので、トマト缶・タマネギ・ニンニクをオリーブオイルで炒めて煮込み、最期にソースと同量のビールをドボドボと注いで軽く煮詰める感じ。

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普段から酒を飲まないので、料理に使う時は「勿体ないからちょっと飲もう」とか抜きで、躊躇せずに注ぐ。

ひと舐めしてみると、おおー、これめちゃ美味いな。

お馴染みトマトソースの旨味にほんのりとビールっぽい苦みと香りが入って、味がいい感じに複雑化している。

ものによってはもうちょい煮詰めてソースにとろみをつける、という流儀もあるらしいんだけど、そうするとビールの風味が飛んでしまいそう。なので、今回はシャバシャバ派で行こうと決めた。

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フライパンサイズのステーキを焼く。サンドイッチ用なので、油分は牛脂でなくバターで。
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ソーセージは皮が弾けないよう、でも焦げ目はちゃんとつくぐらい、という焼き加減。

ソースさえできてしまえば、あとはただただ肉を焼いて準備を進めるのみ、である。

ステーキとソーセージは軽く焦げ目がつくぐらい。目玉焼きは加熱しすぎないよう(このあとオーブンで追加焼きするので)白身がうっすら固まったぐらいで火から下ろしておいた。

さぁ、いよいよここから挟んでいくよー。

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君は厚さ9センチ超のサンドイッチを見たことがあるか

ということで、パンと肉を淡々と重ねていく動画をご覧いただこう。

下からパン・ステーキ・ステーキ・パン・ソーセージ×3・パン・目玉焼き・ハム・ハム・パンで、最期に溶けるスライスチーズをバサバサと乗っけてフィニッシュ。具材のわんぱくさがすごい。

これと比べると、ビッグマック(パン・レタス・チーズ・パティ・パン・レタス・ピクルス・パティ・パン)の構成は、レタスやピクルスが入る分だけ健康的だなー、という印象だ。

 

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この上からパンや具材を積むと、ソーセージがコロの役割を果たして簡単に崩落を招く。

あと、ソーセージが思ったよりも転がり係数が高かったようで、ピラミッドに積む巨石を運ぶが如く上段が転げ落ちる、というトラブルが作業中に何度か発生した(動画はOKテイク)。

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こちらが積み上がり。サンドイッチというよりも、建造物的ななにかに近い。
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9.4センチは「厚み」ではなく「高さ」と表現するべきかもしれない。

積み上がった時点で厚みを測ってみると、9.4センチ。

これがどれぐらいのサイズかというと、成人男性の握りこぶしの横幅(人差し指〜小指まで)がだいたい9センチぐらい。つまり、握りこぶしをタテにして口に入らない人は、そもそもガブッとかぶりつくことすらできないわけだ。どれぐらいのものか、試してみてほしい。

さすがに「今からこれを食うのか……」と、ちょっと怖じ気づいてきたことは否定できない。

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チーズの足り無さが惜しい。本能がどこかでストップをかけたのかもしれない。

そのままオーブンに投入し(ギリギリ入った)、チーズがとろけるまで3〜4分焼いたものがこちら。

うーん、チーズを乗せる時点で腰が引けていたようで、冒頭の本場フランセジーニャ画像と比べると、明らかにチーズが足りていないっぽい。この倍は必要だったな。

本来なら全体がドロッとチーズに覆われるのが正解と思われるので、ここはちょっと惜しいことをした。

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断面を見せたい料理に必須の電動ナイフ。5,000円前後でQOLを爆上げしたいならこれを買おう。
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フランセジーニャの見事な断面。これに比べたらフルーツサンドの断面とか雑魚ですよ雑魚。

さすがにこの厚みを普通のパンナイフで崩さずに切る自信はないので、料理記事のマストツールこと電動ナイフでスパーッと。

パンと肉だけの断面に黄味がとろーっと滴り落ちる様子は、なかなかに官能的である。腹ぺこ男子高校生だったら、この時点でもう奇声を上げて飛びかかってるはずだ。

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たっぷり作っておいたソースを、船幽霊ばりにすくってはかけ、すくってはかけ。

それぐらいに食いつきたいのをグッとこらえて、温め直したトマトとビールのソースを上からビシャビシャと注ぎかける。

気分的には「えっ、サンドイッチにそんなにソースかける?」という感じなんだけど、最終的にパンや添え物のフライドポテトにソースをガンガン吸わせることで完成するタイプの料理らしいので、そこを信じてさらにビシャビシャと注ぐ。

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脂質と糖質と動物性タンパク質の完全なるマリアージュ!

最終的には一番下のパンが完全に浸る水たまりができたぐらいで、周りにフライドポテトをたっぷり盛れば、フランセジーニャの完成!!

さあ食うぞー。

⏩ 次ページに続きます

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